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 解釈を問う


                             広島県福山市立水呑小学校  教諭  粟村啓史


 ※この実践は、石黒修先生の本の中に書かれていた内容の追試です。5年生28名の教室でした。



  黒い目のきれいな女の子


  黒板に上のように書き、全員に(各自それぞれに)読ませました。
  そして、特徴的な読み方をした数名を指名して再度読ませた後、

(問1) 今の、聴いていてどうですか。何となく感じが違うでしょう?

 と問うてみました。子どもたちの中からは、最初の読みの段階から、「、」(読点)の位置を問題にする声が出ていました。
  私は、「大変よいことに着目しているね。」と言い、「(、)読点の打ち方によっていろいろな解釈ができる。」旨を伝えました。

  続いて、次のように問題を出したのでした。

 (問題) 簡単な絵と文を使って、10通りの解釈(考え方)を説明しなさい。

 用意しておいたプリントに自分の考えを書いていくように指示しました。約12分ほど時間をとり、その後、黒板に出てきて書きたいという希望者数名の子に、それぞれの考えを黒板に書かせました。
 授業時間も押し迫ってましたので、その場では十分な検討とまではいかなかったのですが、いくらかの解釈の検討をして、その後は「家でもう一度考えてくるように」と言って、個人の課題ということにしておきました。
 その翌日、28名ほとんど全員がプリントを提出していました。
 提出されたプリントをずっと見ていきました。子どもたちの解釈のいくつかを紹介してみます。(本当は絵図を伴って解釈を説明した文章表現なのですが、この場では解釈の要点のみ簡潔に紹介します。)


(1) 黒い目の、きれいな女の子 
      (黒い目をした、きれいな女の子)


(2) 黒い、目のきれいな女の子  
      (肌の色が黒い、目のきれいな女の子)  


(3) 黒い目のきれいな、女の子 
      (黒い目がきれいに見える、女の子)


(4) 黒い目のきれいな女の、子 
      (黒い目がきれいな女の人の、子ども)


(5) 黒い、目のきれいな、女の子 
      (色が黒くて、目がきれいな、女の子)


(6) 黒い目の、きれいな、女の子 
      (目の色が黒く、とてもきれいに見える、女の子)


(7) 黒い目の、きれいな女の、子 
      (黒い目をしていてきれいでもある女の人の、子ども)


(8) 黒い目の、きれいな女の、子 
      (きれいな女の人の子で、その子は黒い目をしている。)


(9) 黒い目のきれいな、女の、子 
      (ある女の人の子で、その子は、黒い目がきれい。)


(10) 黒い目のきれいな、女の、子 
       (その女の人の子で、その女の人というのは、黒い目がきれい。)



 結構、「考える」問題であったと思います。
 子どもたちの中には、意欲的に挑戦してくる子もいるのですが、「分かる」・「分からない」ということが先に立ち、「粘って考えてみる」という姿勢になりにくい子がいるというのも事実です。「粘って考えてみる」という姿勢は、何としても培っておいてやりたいものです。
 また、「合っているか」・「違っているか」ということを必要以上に気にする子もいるのですが、私はいつも、「そんなことは気にしなくてもいいよ。たとえ違っていても挑戦したことが素晴らしいじゃないか。」と励ますことにしています。
 「まず自分の考えを確立する」ということ、それは正誤に囚われるよりももっと大切なことであり、学習者の学習姿勢の起点であるといってもよいかもしれません。
 「粘って考えてみる」という姿勢は、今後の子どもたちの学習の上に益々必要となってくることでしょう。さらに成長していってくれることを期待しています。

                                                         

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