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ポートフォリオ評価について     2000.5

                           広島県福山市立水呑小学校  教諭  粟村啓史
 
1.ポートフォリオ評価とは何か






 

 学習活動において児童生徒が作成した作文、レポート、作品、テスト、
活動の様子が分かる写真やVTRなどをファイルに入れて保存する方法を
ポートフォリオ評価という。
      (『教師と子供のポートフォリオ評価』
            エスメ・グロワート著、鈴木秀幸訳:論創社)
 






 
@子どもを多面的に見て評価し、その評価を積極的に授業に生かそうという方法である。
A子ども一人一人に、ファイルを個人に一冊ずつ作る。
B子ども一人に対して、一冊のファイルを作る。これは子どもが持っており、普段は例えば個人のロッカーの中な
  どにしまっておく。或いは教室で一括して集めておく。この(ex.総合的な学習の)授業の時だけ机に持ってきて個
 人使用する。
C授業で使ったプリントや、実験・観察カードなどを全部このファイルに綴じ込む。
 
 
2.ポートフォリオ評価の目的


子どもに、何ができ、何が課題であるかを示すこと。
 
 
 @子どもに何ができるのか、これを見る。子どもに何ができないかを見るのではない。
 A子どもを肯定的にとらえる。
 Bできるところを見付ける。
 C肯定的な見方をする教師の言葉掛けは子どもに自信を与える。益々やる気を引き出す。
 
 
3.何をファイルするのか


ファイルするのは、次の五つの重要な達成事項だけでよい。
  (ア)身体技能の発達   (エ)概念の把握、概念の理解における進歩
  (イ)社会的技能の発達  (オ)学習過程上の技能の発達
  (ウ)態度の発達                    (前掲書)
 
 
 @子どもの技能や思考に変化が見られた作品。或いは変わっていくきっかけとなったもの。
 A子ども(ex.A君)が初めて見付けたことは、その子(A君)のファイルにファイルしておく価値がある。
 B子どもの思考に変化が見られたときの作品はファイルしなければならない。なぜなら、思考の変化は思考の段
   階が上がったことを意味するので、当然評価するからである。
 C子どもが、初めてできたり分かったりしたときは、必ず評価する。そのための作品はファイルして残しておく。
 D新しい視点からの発言・作品は、子どもが変わるきっかけとなり得る。肯定的にとらえ、見逃さない。
 
 
4.作品について教師の言葉を残す


作品一つ一つについて、何が評価できるのかを教師の言葉として記録しておく。
 
 
 @作品一つ一つに赤ペンを入れよ。
 A赤ペン指導は、終始一貫、子どもを肯定的に認める。
 B普段呼んでいる名前の呼びかけから始める。
 C努力を認める。良い点を見付け誉める。決して悪い点をけなしてはいけない。
 D子どもへのメッセージとなるような評価をする。
 
 
5.評価は必ず子どもに返す


評価は必ず子どもに伝える。
 

 @評価はあくまでも子どもの励みにならなくてはいけない。
 A子どもがどれだけ達成できたのかという裏付けがポートフォリオ評価である。 
 Bだから、教師は評価する観点を前もって子ども達に伝えることが必要である。
 
 
6.子どもを評価し、励ます


一時間の中で一回は子どもと対話をする。
 

 @ある活動をさせる場合、子どもが理解できる言葉で、なぜその活動をする必要があるかを説明することが大
  切。
 A全て評価は子どもの励ましにする。
 B対話の中には指導も含まれる。
 C「励ます」「認める」という言葉だけに囚われ、「悪いことは悪い」と指導できないのでは困る。「悪いことは悪い」
  と指導することも教師の大  切な仕事である。
 D「注意しない」教師が「優しい教師」ではない。子どもを信じる教師が優しい教師なのである。
 E「励ます」ことは、子どもに次の課題を与えることも含まれる。
 Fポートフォリオ評価は、評価し、それを生かして次の課題を与えることである。その子どもにあった課題を与え
   ることも大切である。


7.ファイルの見直し


(1)子どもの達成事項を見逃していないか。
(2)子どものレベルに合っている課題であったか。
 

 @子ども一人一人にファイルを渡し、作品を綴じ、赤ペンを入れていく。作品を評価し、次の課題を与える。こうし
   て学習が進められていく。
 Aせっかく子どもが達成しているのに見逃してしまうことがある。プリントやカードなどに表れるものならまだ大丈
   夫であるが、態度や動作などは危ない。子ども中心に見ていこう。
 B難しすぎれば課題を達成できない。やさしすぎる場合も顕著な変化は見られない。
 C問題や課題を決めるとき、その子どものレベルにふさわしいものであるかどうかは教師が判断するべきことで
   ある。難しすぎる(或いはやさしすぎると)と教師が判断したら、子どもと話し合い、ふさわしいレベルの問題や課
   題に変える必要がある。
 D子どもが努力すれば達成できる課題が学習に最適である。




※以上は、『向山式ファイルで教師の実力アップ術』(向山洋一・新牧賢三郎 著:明治図書)のP31〜P48をまとめたものです。



                                        

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