最近のデッキ事情

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 さて、ベースドブースター2の発売を控えての時期に何だが、現在の環境を再確認してみよう。

 まず、最新のエクスパンションである相克の軌跡(以下、9弾)によって追加されたデッキタイプはどのよう
な展開を見せたのだろうか。

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 まず、世間の目を引いた白のSeed勢力である、各PS装甲ユニットを利用したデッキ、Seedデッキな
どと呼ばれるデッキだ。
 「リロールインするが、出撃すると補給しない限り手札に戻る。」という【PS装甲】を主軸にし、今までの
白に無い展開力を見せる。

 戦略としては2パターン。

 一つは返答やOzプライズを投入しコントロール色を強めるパターン。これは完全に白単色で組めるために、
以前の赤白カウンターウィングほどではないが相手を勝負どころで制限することが出来る。全体的なデッキパワ
ーが向上した今の白であれば何ら問題は無いだろう。

 もう一つの戦略としてはダメージ量を求める方法がある。ゼロ・システムを使うダメージ上昇は一般的である
し、無償の愛やカトル・ラバーナ・ウィナーとPS装甲のコンボによってユニット数を稼ぐパターンもある。無
償の愛の場合、コンボとの相性から青と混色し「戦いの合間に」を投入する形が一般的なデッキのようだ。

 Seed系のデッキは主戦力となる格闘力5のユニットが4国力と1点軽く、またPS装甲で有る為にリロー
ルインする。結果、今までの白系のデッキと2ターンほど早く動き出すことになる。
 また、白対策としてよく利用された混戦や転向も無効化されると言う利点もある。混戦環境下であれば補給能
力を利用せずに手札に戻せばよいし、転向を使うデッキに補給要素は少ない。また、補給した際に転向されたと
しても部品泥棒を利用すれば対処のしようも有る。結果、白のデッキはこれまでのウィングユニットをメインに
したデッキとは異なる、まったく別のデッキになったと言って良いだろう。

 カウンターPS 無償カトル
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 9弾最高の環境の変化といえば、特殊Gの「中立地区防衛部隊」の追加であろう。
 今までにユニット化できるGは白と茶にしか存在せず、ユニットとしては1・0・1と小さく、Gとしては配
備フェイズしか国力を発生しないなど、一般的に使われるカードではなかった。また、同様にGをユニット化す
るカードが存在するが、それらでもG一枚につき1点しか見込めないカードであった。

 しかし、今回の「中立地区防衛部隊」はそれらと一線を画す強さである。紫国力であるが、常に国力を発生し
、廃棄というコストが必要ではあるが、ユニット化した際は「2・1・2 宇地 リロールイン」とそこいら辺
りのユニットに比べても優秀な能力を持つ。またGであるが故に配備制限にかかることは無い。

 言い換えれば、どのデッキにも「Gを1枚廃棄することで配備できる一国力 2・1・2 宇地 リロールイ
ン 配備制限に含まれない」ユニットを手に入れたと言えよう。つまりザクやジムより強いと言えば解かり易い
だろうか。

 さて、それではどのようなデッキタイプに利用するべきであろうか。デッキ中利用する最大合計国力は多いが
、基本的にそこまで国力を使わないデッキ、例えば3国力まで利用するウィニーの様に指定国力が押しなべて低
く最大利用国力はある程度必要なデッキがそれに当たる。例えば最近の黒ウィニーなどもそうだろう。

 また、合計国力は多く必要だが、後半は余ってしまうようなデッキも利用すると便利なデッキタイプだろう。
中速域のカードを中心としたデッキだと、後半にGばかり引いてしまって困ることも有ると思われる。そういう
デッキにこそ、このカードの真価は発揮されるのではないだろうか。

 中立地区デッキ
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 さて6弾のコスモ・バビロン、7弾の決戦前夜で勝ち目が薄くなったとされるジオンウィニーを筆頭にしたウ
ィニー群だが、それなりの盛り返しを見せてきた。特に緑と黒に至ってはクルセイド効果(*1)を持つ「背水
の陣」や「相克の軌跡」が投入されたため、今までとは比べ物にならない爆発的なダメージ量を持つようになっ
た。
 全体的にゲーム展開が遅くなっている今、逆にウィニーが再評価されてきている。

 元来、GWではコントロールや中速が流行しなかった理由のゲーム自体が圧倒的なウィニー有利であった点に
ある。それに対し、決戦前夜やコスモバビロンなどの回復カードの追加で中速やコントロールが利用可能になっ
たのだ。しかし、今回の背水の陣や相克の軌跡はその回復カードを無視できるだけのダメージ量が実現可能にな
った為、ウィニーの復権となったわけだ。

 しかし、それまでのウィニーに比べてクルセイド頼りという形になったウィニーは通常のウィニーと違って「
いびつ」な形にならざる負えない。対処する側にとって見れば、唯一の救いといえばその点であろうか。

 背水ウィニー 相克ウィニー

 *1 クルセイド効果 クルセイドとはMtgの白のエンチャント。全てのクリチャー(GWで言うユニット
)が+1/+1される。転じて、全ての攻撃カードを強化できるカードをクルセイド系などと呼び習わす。

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 実は9弾のカードの中でトーナメントシーンを最も揺るがしたのは「見え透いた嘘」では無いだろうか。今ま
でコンボではシュート系(*2)がメインで有ったがこのカードにより「破滅の終幕」をメインにしたコンボが
実用レベルになってきた。
 今まで主流であったシュート系のデッキは、ほぼノリス・パッカードに頼り切っていた所がある。コンボを決
めた瞬間に勝ちを決めるための選択で有ったが、ノリス・パッカード自体に起動コストによる制限が設定された
ため利用自体が難しくなった。
 それに対して破滅の終幕のコンボデッキはコンボを決めれば逆転されない構造とするのが基本だが、これまで
破滅の終幕の構造上、決め手に出来るユニットはプレイできることが前提であった。しかし、逆を言えばコンボ
を決めた後でも対処できるレベルのユニットでしかなかった。
 しかし「見え透いた嘘」の登場により「捕獲兵器」によって場に出たユニットを決め手にすることが出来るよ
うになった。つまり、決め手になるユニットが大型化し相手の逆転のチャンスをさらに狭めることが出来るよう
になった。

 嘘破滅

 *2 シュート系 Mtgのゴブリン・シュートが語源と思われる。
    Mtgのトーナメント創世記に多く見られた赤単色の決め手の一つに「Gobbrin Grenade(ゴブリン爆弾
)」という物があり、ゴブリンを生贄にすることで5点(つまりライフの4分の1)のダメージを与える。ゴブ
リンを投げる事から、転じてシュート呼ぶに至ったと思われる。

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 ウィニーが復帰することを見越してか、サイコミュも新たな展開を見せた。
 「戦士、再び・・・・」と「キュベレイMk2(プル専用機)」の登場だ。
 「戦士、再び・・・・」は手札にサイコミュセットを抱えなくともサイコミュの準備が出来る。つまりそれ以外の
作戦の看破や撤退命令などの対応カードを手札に保持しつづけることが出来るのだ。例を挙げて言えば「エルピ
ー・プル」「プルツー」をサイコミュユニットにセットしサイコミュ3点を実現するために今まではドロー操作
(*3)系のコマンドを何枚も使わなければならなかった。これからは1枚の「戦士、再び・・・・」で間に合うの
だ。今までより早く、確実にサイコミュ3点セットが出来てしまう。

 また、「キュベレイMk2(プル専用機)」のマルチプル効果により一時的にでは有るがサイコミュセットの
数を増やすことが出来る。つまり、場に配備されているサイコミュの点数よりも常に多めに計算しなければなら
なくなった。防御力やユニット数が足りているからと言って、攻撃が成功するとは限らなくなった。撤退命令や
女性レポーターが有ったが、それらと異なりデッキの中に余剰カードを仕込まなくても可能になったことが重要
だ。

 これまでのサイコミュといえばある一定サイズのウィニーまでしか対処できない、中速以上のデッキに不利が
存在するなど、ある種メタデッキと言ったイメージが有ったがこれからはウィニー以外にも対処できる為、サイ
コミュデッキはユニット数の逆転が可能で、突破力のあるデッキ生まれ変わった。
 これからトーナメントでの出現頻度の上がるデッキ、つまりメタの対象になったと言って良いだろう。

 赤単サイコミュ

 *3 ドロー操作 ドローの順番、スピードを操作するカードを総称する。例えば「密約」の様に規定の効果
以外でカードを引く。「内部調査」の様に引くカードを幾らか操作できるカードを指す。

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 全体を通してみると8弾環境に比べそれ以前に「強かったデッキ」が再び強化されて戻ってきた感じだ。
 しかしそれぞれのデッキタイプのポジションが変わってきた。今まではウィニーと言えば安定して勝てるデッ
キの一つであったが、それも正しいとは言いかねる。逆にコンボデッキである嘘破滅の方が安定しているぐらい
だ。メタゲームを相関図として考えるとそれぞれのポジションが一つずつずれた感じ。

 もう一度、デッキ毎の相関を考え直す時期であるのは間違いない。
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