ビデオの修理

弟から、ビデオデッキを預かりました。機種は三菱のHV-S64という機種で10年以上前のS-VHSビデオです。
症状は「早送り、巻き戻しはできるが、再生すると静止画しかでない」というものです。
ここここのサイトを参考にして、とりあえずは、定番の消耗品交換を行ってみました。

部品は某大手家電販売店(MDの時の店じゃないです)に注文しました。
すんなり受け付けてもらえて、約5日で入手できました。
詳しい交換方法は上記サイトで詳しく述べられていますので、ここでは割愛します。
手順書もついており(非常に参考になります)そんなに大変な作業ではありませんが、消耗品キットが複数の
機種に対応しているにも関わらず、手順書はどうもどれか1機種のみの説明であるように見えます。よって、
ある程度の判断を行わないと、「書いてあるネジが見つからない!」といって騒ぐ羽目になります。
(ま、それくらいの判断ができない人はいじっちゃダメ!ということなんでしょうね)

無事交換は完了しましたが、症状は改善しませんでした。
実機をじっくり見て、いろいろサイトを調べてみていたところ、再生時のみテープが回らないことと、そのときに
テープがふき出さないことから、ピンチローラ/キャプスタンあたりがおかしいことが分かりました。
たしかに、ピンチローラを手で強く押さえると、わずかにテープが進むことがあり、間違いないと思います。

ということで、次はピンチローラを注文しました。
これは型番が分からないため、デジカメでピンチローラを撮影して印刷し、ビデオの機種名、製造番号をメモして
お店で見てもらい、注文しました。受付はおばさんでしたが、「ピンチローラ」で通じたようで、特にデジカメ写真は
受け取られませんでした。

またまた約5日後、ピンチローラが入手できました。

これが注文していたピンチローラです。1個1,000円と思っていたより高価です。
このビデオ、あちこちがCリングで止めてあり、(左図の赤丸がそう)これを外すのが一苦労でした。専用工具(と思われるもの)を買ったのですが、なんと買った日に壊れてしまい、結局ラジオペンチでつけ外しをしました。

で、交換が終わったのですが、やはり症状は改善されません。

が、この時にひとつ気がついたのですが、ピンチローラにプラスチック製のカバーがついているのです。(上の写真で黒いものです)
メカの動きを良く見てみると、どうもこのカバーがローディング時に邪魔をしているようにみえるのです。
おまけに、ピンチローラ交換時に分かったのですが、はめてあるだけで手でも動く程度のものです。
(交換するまではしっかり固定されていて、動くとは思わなかった)

ためしに、90度ほど向きを変えてみると...

上の画像と比較してみてください。時計回りに約90度ほど向きが変わっているのがわかると思います。

動きました!!
ばっちり再生できるようになりました。

根本原因はわかりませんが、とりあえずピンチローラのカバーの向きを調整することでキャプスタンとピンチローラ
が密着するようになり、テープが進むようになりました。

手持ちのVHSテープで色々試していたら、この機種は貴重(?)なNEヘッド搭載にもかかわらず、サーチ時のノイズ
が消えません。ヘッド上部のブラシが原因であることが多いとの情報を上記サイトで見つけ、さっそくサンドペーパ、無水
アルコール、綿棒、鉛筆(?)を駆使して清掃したところ、ほぼNE状態を復元することができました。

これがNEヘッドの要となるブラシ(正式名称は不明)です。ヤスリでゴリゴリ削ったという例もありましたが、ヘッドの近くでもありますので、私はサンドペーパを細く切って磨いてみました。

さらに、S−VHSテープがうまく再生できないことが分かりました。これまた修理系サイトで「ハイブリッドICに
多用されている表面実装型の電解コンデンサの液漏れでSVHS再生ができない」事例を見つけました。
ただ、メーカはPANASONICで三菱の事例は無かったのですが、とりあえず基板とにらめっこしてみることと
しました。ちなみに、基板は3枚に分かれていましたが、矢印記号があるビスを外していくだけで繋がったまま
きれいに開くことができ、複雑な構造の割にメンテナンス性の良さを感じました。

すると、なんと!三菱ビデオにも同じような表面実装型電解コンデンサが小さな基板にのっかったものを
見つけることができました。

これがその基板です。ほかにも似たような小さな基板はあるのですが、表面実装型電解コンデンサがついているのはこれだけでした。

とりあえず、半田吸い取り線を駆使して小さな基板を取り外して、じっくり見てみました。

電解コンデンサ自体はなんとも無さそうなのですが、周りを見るとパターンが黒くなっていたり、半田が曇っていたりしてなんだか怪しそうです。手持ち部品に同容量の電解コンデンサがありましたので、交換します。
基板から電解コンデンサを剥ぎ取り(半田ごてで何とか取れました)、アルコールでパターンを清掃後、コンデンサを半田付けしました。あと、曇っている半田部分にも半田を盛っておきました。

念のため、取り外した電解コンデンサをチェックしてみました。


コンデンサ容量計のついたテスタ(秋月で買ったものです。重宝してます)で計ってみたところです。上が交換に使ったコンデンサ(小数点が見にくいですが、4.778マイクロF)、下が基盤に付いていたコンデンサ(0.2ナノF = 0.002マイクロF)です。
やはり、見た目はなんともないですが、下側のコンデンサは容量がぜんぜん少なく、壊れていたようです。

基板を元に戻し、再度SVHSテープを再生してみたところ、今度はばっちりです。

一応、修理完了しました。ややNEサーチが不安定でありますが、しばらく使ってみてもらうことにします。
(SVHS再生不可については弟も知っていましたが、「テープが悪いんだろう」ぐらいにしか思っていなかった
そうです)

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