一部で話題になっている(なっていた??)電流帰還型パワーアンプの実験を行ってみました。
簡単な改造(ただし、ベースになるアンプによっては面倒)で意外に効果があります。
電流帰還型アンプについてはここで詳しく述べられています。
いつも秋葉原は秋月電子通商にいったらとりあえず買ってしまう「ステレオヘッドホンアンプキット」(\400)が改造に適しているようなのでこれを使うことにしました。ただし、最大出力は700mWと、あんまり音量は稼げません。また、今回の改造を行うと、アースが左右で共通のヘッドホンには使えなくなります。
改造前と改造後の回路図を以下に示します。
これが改造前
で、改造後
太い線になっているところが変更点です。
1.ICの9番および6番につながっている抵抗とコンデンサを反対にする(基盤上で入れ替えます)
2.1KΩの抵抗を適当な銅線(0.3mmのラッピングワイヤがあったのでこれを5cmほど)に付けかえる(これが0.3Ω相当です)
3.スピーカのアース側を銅線とコンデンサの接続点から引っ張る
4.低域を伸ばすため(効果があるかどうかは不明)ICの2番および4番にある220μFのコンデンサを470μFに交換
はい。以上です。実に簡単です。
また、このICの場合、9番および6番は抵抗なしでアースに繋いでも大丈夫なので、発振する可能性は低そうです。
基盤の写真は以下のとおり
もともとコンデンサがあったところにラッピングワイヤで作った0.3Ωがついています。
で、もとの1KΩがついていたところに100μFのコンデンサを移動して、220μFのコンデンサを470μFに換えたので、えらく窮屈になっています。
さて、アンプはできましたが、なにに使うか。出力は小さいといっても、普通のスピーカならかなり大きな音でならすことができます。
ミニコンポのスピーカ等つないで、CDやウォークマンから鳴らすのもいいでしょう。
私の場合は、パソコンに組み込んでみました。もともとこのNJM2073というICは1.8Vから動作するため、パソコン内から簡単に供給できる5Vでも十分動くはずです。
ハードディスク用の5インチベイマウント金具を流用して、パソコンに内蔵してみました。
コイルが見えますが、ノイズ対策のおまじない(?)です。また、ヘッドホンジャックが見えますが、先に書いたとおり使えないので繋いでいません。(もともと別のアンプを組み込んで使っていたのですが、ノイズは多いし、ボリューム上げると発振するしで、つかってなかったのです)あと、黄色いワニグチクリップは、ノイズが少ないアース点を探すために仮に繋いでいるものです。(今回は、なぜかケースに収めてしっかりねじ止めしただけでノイズが消えてしまったので、特にアース用配線は行っていません)
ヘッドホンが使えないということは、よくパソコン用スピーカで使われているステレオミニプラグも使えないということで、左右独立したスピーカ端子をが必要です。また、スピーカの付けはずしでいちいちケースを開けるのも面倒ですので、スロットカバーを加工して、本格的な(?)端子を用意しました。以下の写真の赤黒端子がそうです。
耳に自身はないので、こういった評価は苦手なのですが、とりあえず自作の超小型密閉型スピーカ(FE87のコーン紙にコンクリボンドを塗って低域を伸ばしたものを使用)に繋いでみました。
たしかに、改造前とは違います。電流帰還アンプでは低音が良くでるという話を良く聞くのですが、私の場合は高域が澄んできて、歯切れがよくなったように感じました。また、音の広がりがよくなったようにも思います。低域もよく聞こえるようにはなったのですが、重低音というよりも少し高い音(「ずうんずうん」ではなく、「どんどん」あたり?)が強くなったように感じます。なんとなく、「スピーカの得意なところがますます強調される」といった印象を受けました。(きっとバスレフ式なんかだともっと低音がでるんだと思います)
また、不思議なのですが、いままでさんざん苦労して解決しなかった「ノイズ」がほとんど聞こえなくなりました。
どんなアンプを作っても、パソコンの中に入れたとたん、ハードディスクの動きにあわせたノイズが出てしまい、いろいろなフィルタやアースポイントを試してみたのですがまったく効果がありませんでした。なので、最近は「パソコンの中はノイズのかたまり」とあきらめて、外付けでアンプを繋いでいたのです。これは、電流帰還型の効果なのか、NJM2073というアンプの効果なのかは不明です。
ということで、個人的には音質向上よりもノイズが無くなったことが一番うれしいかもしれません。
ただ、回路によっては非常に簡単な改造で実現できるので、スピーカ一体のラジカセやパソコン用アンプ内蔵外付スピーカ等にやってみると思わぬ効果が得られるかも?
追伸:銅線で作った0.3Ωの抵抗を、固定の0.3〜0.51Ωの抵抗に変えて試してみました。抵抗を大きくすると、帰還量が増えるため、アンプのゲインは下がります。そのため、ますます強調が強くなり、ラウンドネスをかけたような感じになってしまいました。(中音域が小さくなる)私の場合、もう少し抵抗を小さくしたほうがいいかもしれません。
理想的にはカット&トライで最適値を探し出す必要があると思います。