MRI
検査前の注意事項は?
(1) 身体に装着している金属製品など
 次の物をMRI検査室に持ち込むと磁石に吸引、検査中に加熱される可能性があり危険であるだけでなく、画質の低下、持ち込んだ電子機器およびMRI装置の故障の原因にもなりますので検査前に必ず取り外してください。
 金属類
      眼鏡・補聴器・入れ歯・指輪・時計・指輪ネックレス・イヤリング・ヘアピン・
      磁気治療器具・ベルト・金属の付いている下着・鍵など
化粧品
      アイシャドー・マスカラ 
      微量の金属類が含まれている場合があり、火傷を発症する可能性があります。
その他
      金属を含む貼付薬 (ニトロダームTTS、ニコチネルTTS)
       カラーコンタクトレンズ・使い捨てカイロ
磁気カード・電子機器類
      MRI装置から発生している磁気によって使用できなります。

(2) 食事や水分摂取の制限について
 検査の種類によっては検査数時間前から食事や水分摂取を制限していただくことがあります。
食事制限がある場合、服用中のお薬については担当医と相談してください。
造影剤の副作用はありますか?
 MRI造影剤は比較的安全な薬剤ですが、他の薬剤と同様に副作用が発現することがあります。副作用の発現頻度は軽微なものを含めて約1。3%程度です。残念ながら副作用を確実に予測する方法はありません。
 次の既往のある場合は副作用の発現頻度か高くなりますので、造影剤の使用が禁忌または原則禁忌となります。

ガドリニウム製剤 (脳・脊髄・躯幹部・四肢の検査に用います)
ガドリニウム製剤に過敏症の既往歴がある方
気管支喘息がある方
重篤な肝機能障害がある方
重篤な腎機能障害がある方

酸化鉄製剤 (肝臓の検査に用います)
本剤の成分または鉄注射剤に対し過敏症の既往歴がある方
一般状態の極度に悪い方
ヘモクロマトーシス等鉄過敏症がある方
出血している方
何故大きな音がするのですか?
  MR信号を画像化すためにはMR信号の位置決めが必要です。位置決をするために磁石の中の電線に電流の入,切を高速に行い、磁場を高速に変化させます。この磁場を変化させる際に電線にある一定方向に力が働き(フレミング左手の法則)磁石の内部が振動するため、どうしても工事現場のような大きな音が発生してしまうのです。最近の装置は静音化技術が進み、以前の装置と比べ静かな装置が増えつつありますが、撮像の原理上、完全に音を消すことはできません。
 従いまして、防音の目的で検査中はヘッドホンまたは耳栓を着用していただきます。
検査中の注意事項は?
 ほとんどの検査は、寝台の上に仰向けに寝た状態で行います。
身体が動いてしまうと鮮明な画像が得られませんので、楽な姿勢の状態で検査部位を軽く固定します。身体の力を抜いてリラックスして検査を受けてください。
 検査中に異常を感じたときのために、連絡ブザーを手に持っていただいて検査を行いますので異常を感じた場合はためらわずに連絡ブザーを使用してください。また、検査中はマイクを通じて検査担技師と会話することができます。
検査を行うことができない方
次の方は危険ですのでMRI検査を行うことができません。
   妊娠または妊娠の可能性のある方
   高度の閉所恐怖症の方
   体内に以下の金属性の物質などがある方
    心臓ペースメーカ
    埋め込み型除細動器
    人工内耳
    神経刺激装置 (深部脳刺激装置)
    脳動脈瘤クリップ
MRI検査とは?
  MRI(Magnetic Resonance Imaging)は日本語では「磁気共鳴画像」と言います。
MRI装置は、大きな磁石の中心に身体の入る穴(トンネル状または円盤状)が開いた構造になっています。検査はこの穴の中の寝台に仰向けに寝た状態で行います。
  身体を強力な磁場内において、特定の電磁波(FMラジオの周波数とほぼ同じ)を照射すると身体内の中の水素原子が一定の周波数の電磁波(MR信号)を発生します。このMR信号をアンテナで受信して画像化する検査法です。
人体に害はないのですか?
  放射線を使用しないので、放射線による被ばくはまったくありません。
現在のところ、MRI検査を受けることによって、磁気や電磁波が成人の身体に対して影響を与えることはないとされています。
  ただし、胎児に関しては安全性が未だ確立されていませんので、妊婦または妊娠の可能性のある方は必ず担当医または検査担当の技師に知らせてください。
痛くないのですか?
使用する磁気や電磁波は体に感じるものではありませんので、痛みはまったくありません。
検査時間は?
検査の種類によって異なりますが、20分から長くても1時間くらいです。
検査終了後の注意事項は?
 検査終了後は安静などの必要はありませんので、食事、入浴など日常生活は普段どおりの生活を送ってください。
検査ができない場合がありますか?
脳 横断像
脳血管(非造影)
検査にかかる費用は?
 検査の内容(MRI装置の磁場強度、造影剤の使用の有無、造影剤の種類、フィルムの種類、フィルムの使用枚数など)によって異なりますが、自己負担金は3割負担の方でおおよそ次のとおりです。

 造影剤を使用しない場合
  約4,800~6,700円
造影剤を使用した場合 
  約6,500円~11,500円 (ガドリニウム製剤) 
  約11,000円~1,1700円 (酸化鉄製剤)
約5,500円~7,300円 (経口消化管造影剤)
*2007年4月現在
MRI装置の磁場の強さは?
 磁場の強さを表す単位は、テスラまたはガウスが用いられ、1テスラは1万ガウスに対応します。現在のMRI装置の磁場強度は0.2テスラから3テスラが主流です。地球の磁場(地磁気)は約0.5ガウスであり、1テスラのMRI装置は地磁気の約2万倍になります。わかりやすい例で比較すると、家庭用の冷蔵庫の磁石は約100ガウス、肩こりになどに用いる磁気治療器具は約800ガウスとされていますので、MRI装置の磁場は非常に強力です。従いまして、もしも誤って強磁性体物質をMRI検査室に持ち込んだ場合、強い力で磁石吸引されますので大変危険です。
短所
体内に金属性の物質を有している方は検査ができないことがある。
検査時間が長い。
高度の閉所恐怖症の方は検査ができない(沈静剤が必要)。
石灰化の描出ができない。
造影剤を使用した方がよくわかるのですか?
 すべての検査に造影剤が必要なわけではありません。
 MRI造影剤は静脈注射または経口的に飲用します。
MRI検査は、造影剤を用いなくても血管の画像化が可能なこと、軟部組織をコントラストよく画像化できることなどが大きな特徴ですが、病変によっては造影剤を使用することでより正確に診断できるようになります。また一部の疾患では造影剤を使用しないと正しい診断ができない場合もあります。
授乳中の方が造影剤を使用された場合
ガドリニウム製剤
母乳中への移行が報告されていますので、最低24時間は授乳を中止してください。
酸化鉄製剤
使用経験はありませんが、投与された場合授乳は停止してください。
検査に注意を要する方
次の方はMRI検査を行うことは可能ですが、注意が必要です。
  刺青
           微量の金属類が含まれている場合があり、火傷を発症する可能性があります。
 小児など安静が保てない方
           鎮静剤が必要なことがあります。
 磁石を用いた義歯
      MRI装置から発生している磁気によって使用不能になる可能性があります。
 上記以外の金属性物質などが体内にある方

  上記以外の金属性物質などが体内にある場合も検査中に電磁波を照射することによって金属性物質などが加熱される可能性があります。また、金属性物質などが原因で画質が低下し、十分な検査ができないことがありますので、必ず担当医または検査担当の技師に知らせてください。
  血管内コイル、ステント、フィルタ
          挿入後6週間以上経過していれば検査可能です。
  人工心臓弁
             近年の製品は検査可能です。1970年以前の製品は禁忌です。
  外傷、手術などによって眼などの臓器に強磁性体の金属が残存する場合
  永久的なアイライン
              微量の金属類が含まれている場合があり、火傷を発症する可能性があります。
近年の製品であれば、クリップが原因で画質が低下することがありますが、検査可能です。大変古い製品で強磁性体のクリップおよび安全性の確認とれない材質のクリップは禁忌です。
どんな特徴があるのですか?
長所
仰向けに寝たままであらゆる断面の撮像ができる。
放射線を使用しませんので放射線被ばくがない。
造影剤使用しなくても血管を撮像することがでる(造影剤が必要な場合もあります)。
軟部組織をコントラストよく描出することができる。
MRI装置
腰椎 矢状断像
脳 冠状断像