医療費の不思議Q&A


医療費の不思議

 保険医療制度や医療費の仕組みについては別に説明してきましたが、我々医師も不思議に思う多くの制度の矛盾があります。
今回はQ&A`式で解説します。
一般・老人医療についてが主体で、今回は小児・幼児診療は省略します。

Q 病院と診療所では医療費が違うことがあるのですか

A 医療費の仕組みで述べたように同じ人が同じ医療を受けても、病院や診療所で外来の医療費は異なり、窓口での支払いも違うことがあります。
 お年寄りは今は老人保健で月の最初の受診日に1020円を支払うだけですので、実感がないと思いますが健康保険、国民保険の家族、本人では病院と診療所で支払いが違います。
 まず初診料が違います。一般・老人では診療所 250点(2500円)、病院 230点(2300円)で診療所が200円高く、2回目以降の診察時の再診料も一般・老人では 診療所 70点(700円)、病院 59点(590円)と決まっています。
 (医療費は1点は10円で計算されます。)
 他院からの紹介状がある場合には少し加算され、一部の総合病院には紹介状がない場合には初診料に加算されることもあり総合病院の初診料は高いことがあります。

 特に違いがはっきりするのは慢性疾患で通院されている場合です。
 高血圧、糖尿病、胃炎などの慢性疾患|の場合には診察料とは別に月2回を限度に指導料が加算されます。これは一般では特定疾患療養指導料、老人保健では老人慢性疾患生活指導料などと呼ばれ「特定疾患療養指導料は診療所では1回200点、100床未満の病院では135点、100-200床の病院では80点、200床以上の病院ではなし。老人慢性疾患生活指導料は診療所では1回210点、100床未満の病院では135点、100-200床の病院では80点、200床以上の病院ではなし」、となっており月で換算すると特定疾患療養指導料は診療所と大きな総合病院とでは4000円の差があります。3割負担なら月1200円の違いとなります。
 この原因は、はっきりしているわけではありませんが、一般開業医の保護の目的があるものと思います。しかし大学病院や総合病院での専門外来などでの専門的な指導を行ってもこれらの指導料が算定できない矛盾、病床数によって外来の指導料が違うなど納得できない項目の一つです。
 この指導料があるため、一般診療所の受診の際に月2回以上受診した場合には、3回目は同じ治療を受けても窓口で支払いが異なることがあるわけです。
このように外来では診察料・指導料とも診療所を優遇しています。

   |慢性疾患の対象疾患
    甲状腺障害、糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、虚血性心疾患、
    不整脈、心不全、脳血管障害、慢性気管支炎、肺気腫、喘息、
    気管支拡張症、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃炎・十二指腸炎、
    慢性肝障害、肝硬変、慢性膵炎、結核の19疾患。と悪性腫瘍


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