もし私が厚生大臣だったら、こんな報告するかも


国民の皆様、介護保険制度関係者の皆様

1999年12月 厚生大臣 

前略
 皆様方には2000年4月の介護保険制度の実施に向けて日夜ご努力・ご協力いただき厚く御礼申し上げます。
 ただ、10月から始まりました要介護認定制度に関しましては、今回の1999年一次判定ソフトの欠陥が数多く報告され厚生大臣としても頭を悩ませているところであります。数年前から全国規模で要介護認定のモデル事業を行ってまいりましたし、その都度問題点の改善を行ってきたと思っておりましたが、今回99年の一次判定ソフトの判定結果を見ますと、過去の問題点がどれ一つ改善されておらず大臣としては、どうして過去の反省が出来なかったのかと、今更反省もし、省を代表して改めてお詫びいたします。
 また、10年度モデル事業で予測した要介護者の介護度分布も、予想違いの結果となることが確実視され、これでは皆様に負担していただく介護保険料も再見直しを迫られているのが現状です。当初の2500円平均が、10月には3000円となりましたが、このままではもう少しご負担を増やさざるを得ません。

 今後どうしたらよいかと、これまた頭を悩ませていますが、少なくとも2000年4月からは介護サービスが今の判定結果でスタートしますし、スタートさせねばなりません。

 前述しましたように、現在の認定では多くの問題があり、ご不満だとは重々承知しておりますが、要介護認定制度をこの時点で全面改定や中止することは、もはや出来ない時期に来ており、ここで中止すれば、介護保険制度自体の破綻ともなりうることもご理解下さい。

 そこで、先日、自民党の提案、国会で承認されましたように、来年4月から6ヶ月間はお年寄りからは保険料をいただかないこととしました。またその後6ヶ月間も半額とさせていただいています。従ってこの1年間は安い保険料で介護サービスを受けていただくことが出来るようにいたしました。ですからこの6ヶ月間の認定審査の不都合は少し大目に見ていただき、自己負担以外は、無料でサービスを受けていただきたいと思います。
 私もこの時期の保険料徴収延期は反対しておりましたが、決まったことですから「これも国民の税金や借金だ」などと堅いことをおっしゃらずに、この保険料徴収延期は介護者にとっては何よりのプレゼントであると考えてください。これで認定制度の欠陥を少しでも穴埋めできればと思います。

 さて、その後の制度の改定は私の責任で必ず行います。たとえ総選挙で2000年早々に新しい内閣が組閣され、大臣が替わってもこのことは正しく申し送ります。
 が、介護保険が審議され初めてのこの数年間に5-6名の大臣が替わっている日本の内閣ですので、絶対にとは言えないのが私のつらい立場ですし、過去の大臣からも詳しい報告はありませんでしたし--。

 さて、今後の制度改革の計画ですが、認定審査制度は6ヶ月を1クールとするシステムですので、2000年4月から10月までに新しい一次判定のソフトの改訂を行います。もっと言えば2000年に限り現在の認定を引きずりますから、6ヶ月と言うより新規の申請と再認定をのぞけば1年間の間に改訂すれば良いとも言えますので、その間には一次判定ソフトの見直し以外にも、調査員の調査項目の見直しや、調査員の資格の問題(民間委託の廃止など)、その他審査の在り方なども検討したいと考えております。また認定審査そのものにお金がかかりすぎるとも批判が出ていますし、膨大な量の資料とそのコピーは、エコロジーの面から地球環境には悪影響を与えており、ペーパーレスの審査も模索しながら、厚生省で新しいチームを構成し検討させることといたします。

 またその際には厚生省のメンバーだけでなく、広く民間や介護の現場に拘わっておられる方達のご意見も聞きたいと思いますし、新介護認定ソフトの開発には現場の意見も尊重することが出来るよう是非メンバーに入っていただかなければならないと思っております。

 と言うことで、国民の皆様、介護申請済みの皆様、関係者の皆様には誠に申し訳ありませんが、今後1年間は色々ご不満はあると思いますが、今の認定制度でやらせていただきたいと伏してお願いいたします。またこれまでに申請され判定を受けられた方で、判定結果に納得がゆかない方は、役場に専用窓口を設置しますのでどうぞ気楽にご相談ください。特に問題行動の多い「老人性痴呆」のご家族の方は認定結果をよく見て判断ください。
 勿論、現在の認定審査会で二次判定のネックとなっております「要介護状態区分の変更等の際に勘案しない事項について」の通達は廃止させていただきます。また広く国民の皆様にも理解していただくために、私が「テレビ」や「新聞」で詳しい経過のご説明とお詫びをさせていただきます。ごめんなさい。                


てな 厚生大臣のお詫びでもしない限り、このままでは収拾はつきませんね。
でもこれは要介護認定審査だけの問題でもこんな現状ですので。
ケアプラン作成での大混乱も確実で。頭痛いですね。

     12年12月22日  吉岡春紀

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