なかよしToyッチャーって何だろう?
まずはUFOキャッチャーで皆さんがチンパンジーのエサを取ってあげてください。するとそのエサはチンパンジーさんのお部屋の中にある、円柱の中へと転がっていきます。それをチンパンジーたちが棒を使って穴に落とすと、転がって出てきて、エサを食べる事が出来る装置です。
環境エンリッチメントの一つとして・・・
近年、動物園では『環境エンリッチメント』というものを大切にして、飼育展示を行っています。池田動物園では動物達のヒマな時間を少しでも有意義なものにしようと、なかよしToyッチャーを作りました。今まで、朝ごはんを食べてしまえば夕方まで何もすることがなかったチンパンジーたちが、お客さんたちが来るたびにわくわく、そわそわ!そしてエサを食べるために皆さんにはどんな行動が見えるでしょう?
なかなか取ってくれない時は…
チンパンジーもその日の気分があったり、3頭の間には複雑な力関係やかけ引きがあり、取りたくても取れない事情があったりします。すぐに取らない時は、ゆっくりと見守ってあげて下さいね。数分間、かかる時もあります。チンパンジーは人間に一番近い動物です。エサ場をめぐっての3頭のかけ引きや、譲り合いなどを見るのもとても勉強になると思います。
チンパンジーなかよしToyッチャー!!
あそべるじかん 10:00~エサがなくなるまで
1日のエサの量が決まっているので、エサが無くなってしまったらおしまいです。
(動物さんの体の具合によって中止することがあります。おねがいします。)
棒を使ってじょうずにエサをとることができるよ♪
トム君
1996年8月26日、多摩動物公園生まれ 2000年11月13日来園大きな群れで育ったやんちゃ坊主、今はボスとして群れをまとめているが、お人好しで2頭の女の子の思い通りに動く、優しい男の子。
レーナちゃん
1998年3月6日、日本平動物園生まれ 2000年11月13日来園母親に育児放棄され、人間によって育てられました。おてんば娘、ようやく群れになじんで、今ではみんなで仲良くしています。
人工アリ塚完成!
倉敷芸術科学大学 生命動物学科作成
生命動物科学科の皆さんが卒業論文の一環として、池田動物園のチンパンジーたちのエンリッチメントを考えてアリ塚を作成してくれました。アリ塚の中にはジュースが入っており、棒を突っ込むとジュースが付いて来ます。退屈な時間を少しでも有意義に過ごしてもらう取り組みです。早速、トム君とレーナちゃんは棒を突っ込んでジュースを舐めていました。朝の早い時間でないと見る事が出来ません。
2013年12月
制作:平成25年度研究生 野島千佳子、藤村美祐貴
蟻つり
野生のチンパンジーはアリ塚を少し壊して、その穴から棒を突っ込みます。すると、アリたちは怒って棒にかみつきます。棒に噛みついたり、這い上がって来たアリを釣り上げて食べます。全てのチンパンジーが蟻つりをするわけではなく、文化として定着している群れのみが蟻を釣って食べます。
チンパンジー
霊長目ショウジョウ科
分布:アフリカ西部から中央部
サイズ:頭胴長は雌70~85cm、雄77~92cm、体重30~90kg
人間と同じで尾は無い。
妊娠期間:230~240日
寿命:40~45年
体型的特徴
多くの個体は黒い毛をしています。20歳を超えると背中が灰色になるものが多いです。雄雌共に短い白いあごひげが生えています。赤ちゃんの頃はお尻に白い毛が生えているが性成熟に達する前に無くなります。大人になるにつれて頭がはげる個体も多く、雄より雌の方がはげやすいです。皮膚の色はピンク、茶褐色、黒など様々ですが、年齢が増すほど黒みを増していきます。
食性
チンパンジーの主な食べ物は、果実、種子、木の葉、芽、花、昆虫、蜂蜜、鳥類、哺乳類などを食べます。植物の地下器官(イモなど)、キノコは食べません。1日に20種1年間に300種類もの植物を食べています。動物質の食べ物はハチやアリが最も多い。薬草も利用しているともいわれています。
生活
チンパンジーは数頭~数十頭の大きな群れを作って生活しております。その群れはパーティーと言うグループに分かれ離合集散をしながら食物を探し移動しています。
道具を使うチンパンジー
チンパンジーは道具を使う事でとても有名です。アリ塚などの穴に棒を突っ込んでアリを刺激します。怒った兵隊アリは棒にかみつきます。枝にかみついたときに釣り上げて食べます。木の洞穴を棒でつつき、中にいる小動物なども追い出して食べたりします。堅い木の実を石で割って食べたりもします。採食行動以外では風邪をひいたときに鼻孔を細い棒で刺激して、くしゃみをおこし、鼻水を意図的に外に出すこともします。道具を作り、道具を使う事は人間と同じです。チンパンジーは人間に一番近い生き物で、人間の3歳児位の頭脳を持っているといわれています。
チンパンジーのディスプレー
大人の雄のチンパンジーは自分が優位に立っていることをまわりに知らせるために、1日に数回ディスプレーを行います。ディスプレーは「準備」「突進」「クライマックス」の3段階から成り立っている。準備段階では毛を逆立てて体をゆすったりします。突進段階では地面を踏みつけながら大きな音を出しながら走り、クライマックスでは棒などを引きずりまわしたり、石などを投げて大きな音を出しながら走ります。動物園では木の枝の代わりに鉄板などをたたいたりして大きな音を出します。音がしないとやる気が出ないようです。