”ひらりんFの迷宮”
あなたの眼前の洞窟の入り口には巨大な看板がかかっていた。”ひらりんFの迷宮”看板には血塗られたような赤い文字でそう書かれてあった。
あなたはもちろん元来た道を引き返すべく洞窟に背を向けたが、そのとたん首筋に生暖かいものが走った。
「ぎゃあー」
後ろには突然降ってわいたように一人の人物が立っていた。
あなたの首筋にそっと息を吹きかけたその人物は、ニヤニヤと笑っていた。
どこかで見覚えのある人物だ。・・・・・・この人は、そう勝・・・・・・いやそうではない!パンツ一枚の服装からいって・・・・・・。
「あなたはひょっとして”ひらりん”ですか?」
あなたは尻餅をついたまま間の抜けた声を発した。
「いや、・・・・・・・・・・」
その人物は言葉をつなげた。
「わしは”ひらりん”などという人物ではない!”ひらりんF”じゃ!!」
その人物、ひらりんFは胸を張った。
「ひらりんF?」
「とぼけても無駄じゃ。お主、わしの迷宮に隠された宝を盗みにやってきたんじゃろう。」
「た、宝?」
「ふっふっふ。3歩あったら継歩に・・・・・・おっといかん。」
ひらりんFはあわてて口を押さえ、呪文らしき言葉を途中でやめた。
「やり直しじゃ。」
「は?」
「ふっふっふ。この迷宮の各所には、それぞれ選り抜きの人材を配置しとる。彼らを突破できるというものならやってみるがよい。はっ
はっ
はっ
はっ
はっ
。」
ひらりんFは後ずさりしながら、わざわざ少しずつ声を大きくしている。演出のつもりのようだ、が案の定、石につまずいて倒れた。
ひらりんFは後頭部を打ったのかそのままのびてしまった。
前のページに戻る