山下 宏
97/02/13 00:38
今年でこの大会も7回目を数え、少し歴史を感じさせる回数になってきました。
会場は東京ディズニーランド側のシェラトン・ホテル。今回の会場はホテルの中庭
にあるテント状の建物、グラン・パオでした。ホテルが広い上に、会場への入り口
が一つしかなく、迷子になった方も大勢いたのでは?と思います。(もちろん私も
迷いましたが^^;)
今回もシェラトン・ホテルには相当の便宜をはかって頂いており、多くの方々の
貢献でこの大会が行われているのは感謝したいです。
にしても、ウエディングドレスを着た花嫁さん達が優雅に歩いているさなかを、 重たいコンピュータを抱えて運んでいる我々関係者はかなり場違いな雰囲気ではあ りました(^_^;)。
YSSは前回4位だったのでシードから外れ、予戦からの参加でした。
予戦でなんと言っても印象的だったのは 200Kg 以上ある大型コンピュータをトラッ
クで!運んできた IS将棋 のチームでした。本体は人が二人程は楽に入りそうな大
きさで、口の悪い人たちは(あれは中にプロ棋士が入っているんじゃないか)など
と囁いていました。(それは手強そう^^;)
対戦は基本的に、マシンを隣同士に運んで行うのですが、当然 IS将棋 は重すぎ
て動けません。他にも S1.2 は Pentium マシンを2台並列に繋いでおり(1台は詰
将棋専用)、これも動かせず、不幸にも予戦最終戦でこの2つが本戦出場を賭けて
ぶつかりました。
対戦は野下件の学生さんが2つのマシン間を走って指し手を伝える、という体力
勝負の将棋になり、結果は軽量級の S1.2 に凱歌が上がっていました。
他には天野将棋と天野将棋Jrの親子対決もあり、こちらは親父さんが貫録を見せ ていました。
題名:第55手、△8二飛に▲6一角成です。
後手:S1.2
後手の持駒:角 歩
先手:YSS7.0
先手の持駒:なし
YSS は相手のミスに助けられて4連勝。5戦目で前述の S1.2 と全勝でぶつかりました。
図で YSS が馬を作ったのですが、人間ならこの馬を殺す筋を比較的簡単に読めることと思います。4三にある後手の金を4二、4一と引いてきて▽5一金、まででしとめるのですが、コンピュータには、この一連の金の動きを読むことは非常に難しいところです。特に、▽42金▽41金が具体的な意味のない手なので私はまず殺しに来ないだろう、とたかをくくっていました。しかし現実はそう甘くなく、S1.2の次の指し手は▽42金引!。以下、見事に馬を殺されてしまいました。
題名:第106手、▲1二龍に△1四銀打です。
後手:S1.2
後手の持駒:角 桂 歩
先手:YSS7.0
先手の持駒:銀 桂 香二 歩
相手の疑問手もあって、有利に終盤に持ち込
んだのが左図。しかし、下手に下から追うと入
玉されそうです。
どう指してくれるのか、と期待して見ていた
ところ、YSSはわずか1秒で23手詰!を宣言して
▲13銀を指します。
以下、S1.2 が受けを間違えたり無駄合をしま
くったものの詰は避けられず、137手まででYSS
の勝ちになりました。
これだけ長手数の詰を読み切ってくれたのは
初めてで、感激でした。
後2戦を勝ちきり、YSSは本戦出場を果たしました。
今回、予戦には招待を含め30チームが参加し、その内、上位5チームしか本戦には
残れませんでした。予選通過には対戦相手による運の要素も大きいと感じました。