山下 宏
97/02/20 02:08
対局開始前に運営の方から最終戦の結果にかかわらず優勝が決まった、と聞かされ、
ここで緊張の糸がぷっつりと切れてしまいした。
こんな時、人間ならばふらふらとひどい将棋を指してしまうのでしょうが、コンピ
ュータはいつでも全力!なのでありがたいです。
第20手、▲3六歩に△8五歩です。 後手:YSS7.0 後手の持駒:角
先手:森田将棋6
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将棋は森田将棋の3手目角交換で、本戦では
7局中5回目の角換わりの将棋となりました。 序盤のこの局面で飛車先の交換を受けずに森 田将棋が▲37桂と跳ねたのがやや疑問で歩交換 から▽35歩、と攻めて YSS の桂得になります。
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題名:第36手、▲3七銀に△7四飛です。 後手:YSS7.0 後手の持駒:角 桂
先手:森田将棋6
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しかし、図の局面から▲85歩、と伸ばされて
みると、歩切れもあってと金作りを防ぐ上手い
手が見あたりません。 以下、▽24銀▲84歩▽35銀▲83歩成とあっさ りと金を作らせてしまいました。
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第42手、▲8三歩成に△6五桂打です。 後手:YSS7.0 後手の持駒:角 歩
先手:森田将棋6
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ここから暴れるんだろう、と思っていたら
予想通りに▽65桂。 ここで先手が▲75歩、と飛車取りに突いた ため、以下、▽77桂成▲74歩▽78成桂▲同飛 ▽87銀、と一直線に進みました。 まだまだ難しいとは思うのですが、実戦的 には王様の薄い先手が勝ちにくい将棋で、以 下、会心の指し回しで寄せきり、望外の14戦 全勝の結果となりました。
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今回は YSS が優勝したことより、金沢将棋の5連覇が止まったことの方が意味が 大きいと思います。多くの人が書かれていますが同一のプログラムが勝ち続ける状態 では、(その作者も含めて)進歩は少ないでしょう。
将棋プログラムを作るのは根気がいる作業ですが、来年以降もより多くの参加者が 出て、上位を脅かすプログラムが現れて欲しい、と思います。そして1年でも早く、 人間のプロ、と対等に戦うプログラムの出現を願っています。
山下君は望外の14戦全勝などと書いてますが、本ページの読者なら 予告全勝優勝であったのはご存じですね。
実は、山下君に”今大会の抱負を聞かせて下さい。”などとメールに書いて
返ってきた返事を見て”しまった。”と私は思いました。
山下君ならいつ聞いても”ぶっちぎりの全勝優勝”と答えるに決まってました。(^_^;
”まあ、面白いからいいか。”と考えてそのまま載せたのですが、世の 中で生じる出来事には、時として、こういう偶然とは思えないめぐり合わ せがあるもんなんだ、と思い知らされてしまいました。
優勝後、山下君は”願いは強く願えばかなうものなんだ”といったことを語っ
てくれました。私は必ずしも賛成ではないですが、少なくとも”願いは願
わなければかなわない”というのは間違いないですね。