サ「今回は会場の関係で、11/3の祝日に開催されました。」
ご「いつもは日曜開催じゃが、今回は金曜だったわけじゃな。」
サ「そう。そんな訳で、いつもは前日の土曜に東京入りしてたのが、今回は当日の朝に東京入りでした。」
ご「で、今回、調子はどうじゃった?」
サ「それがもう最悪。カゼが一週間たっても抜けなくてノドは痛いし鼻はズルズル。本当にどうなることかと。」
ご「ほほう。それは災難じゃったのう。」
サ「かてて加えて、せっかく持っていったデジカメは電池が切れてるし、ビデオの留守録は忘れるし。」
ご「それは自分の責任じゃ。」
サ「そんなこんなで、試合前から今回はやばそうな気がしてたんですわ。」
ご「まあ、それでもチームの昇級(3部→2部)はもう決定していたから、気は楽じゃったろう?」
サ「そこなんですわ、問題は。勝たなくても良いからはっきり言って今回は気が抜けたコーラ状態。
さらに2,3日目の主軸を勤めた原岡さん、前川さん、高橋(聡)さん、大田さんといった有力選手を欠き戦力的
には4枚落ち。相手チームに失礼がないよう、方々手を尽くして7人そろえるのがやっとでした。」
ご「そんななか、参加してくれた川田さん、丸山さん、木戸さんには感謝せんとあかんぞ」
サ「わかっております。ご三方、今回はありがとうございました。来年も一緒に一部昇級目指してがんばりましょう。」
ご「さて、いよいよ決戦じゃ」
サ「第一試合、ワタクシめは五将で出場。今回選んだ戦形は升田式石田流。」
ご「ちょっと待て。」
サ「は?またですか??」
ご「おぬし、居飛車党宣言しとったのではなかったか?」
サ「(いらん事ばかり覚えとるな、こいつは)ええ、しましたが。それがなにか?」
ご「しからば、なぜ升田なのじゃ?」
サ「ご隠居、人間、小さな事にこだわっていては進歩しませんぞ」
ご「ワシはもうジジイじゃから、進歩なんぞせんでもいいのじゃ」
サ「ぐっ」
ご「さあ、なぜじゃ。言うてみい」
サ「ご隠居、人間、食べたい物を食べたい時に食べるのが一番いいんですよ。
それと同じように、一番指したい戦形を指すのが精神衛生上、一番いいのです。」
ご「ははーん、居飛車じゃ勝てんと思って、日和見おったな?」
サ「ぐぐっ」
ご「まあよいわ。これ以上おぬしをいじめても何の得にもならんからのう。で、どうなったのじゃ?」
サ「それが、、、一番指したくない相振り飛車にされちゃいまして。」
ご「天罰よのう。」
サ「、、、。」
第1図
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 第1図以降の手順
| ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・
・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v桂 ・
・|三 ▲6四歩 △同 歩
|v歩 ・ ・ ・v銀v角v飛
・ ・|四 ▲同 角 △6三歩
| ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 ・v歩v歩|五 ▲8六角
△2六歩
| 歩 角 飛 ・ 銀 ・ ・ ・
・|六 ▲同 歩 △同 角
| ・ ・ 桂 ・ 歩 歩 歩 歩
歩|七 ▲4五銀
| 香 ・ ・ ・ 金 金 玉 銀
・|八 (第2図)
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂
香|九
+---------------------------+
先手サイトウの持駒:歩
手数=52 ▽3四飛
まで
サ「駒組が進んで第1図。ここではすでに指しづらい。」
ご「角の利きの違いが大きいのう。」
サ「なんとかしなくちゃ、ってもうあせりまくってました。」
ご「で、仕掛けさせてそれに乗じようと思ったわけじゃな。」
第2図
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 第2図以降の手順
| ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・
・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v桂 ・
・|三 △3七角成
|v歩 ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・
・|四 ▲同 銀 △4五桂
| ・ 歩 ・ ・ ・ 銀
・ ・v歩|五 ▲3五歩 △3七桂成
| 歩 角 飛 ・ ・ ・ ・v角
・|六 ▲同 金 △2四飛
| ・ ・ 桂 ・ 歩 歩 歩 ・
歩|七 ▲3三角 △2三飛
| 香 ・ ・ ・ 金 金 玉 銀
・|八 ▲1一角成 △4九銀
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂
香|九 ▲同 玉 △2九飛成
+---------------------------+ (第3図)
先手サイトウの持駒:歩四
手数=61 ▲4五銀
まで
サ「やっぱり美味しい話はそうそう無い訳で。」
ご「あっという間に囲いがバラバラじゃ。」
サ「でもって、さらに悪いことに4九銀を見落としてました。飛車攻めていけば何とか手になるかなあと軽く考えてて、
指された瞬間、終わってしまいました。」
ご「第3図となってはもう受けなしじゃな。」
第3図
後手の持駒:銀 桂 歩三
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・
馬|一
| ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・
・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・
・|三
|v歩 ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・
・|四
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・v歩|五
| 歩 角 飛 ・ ・ ・ ・ ・
・|六
| ・ ・ 桂 ・ 歩 歩 金 ・
歩|七
| 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・
・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・v龍
香|九
+---------------------------+
先手サイトウの持駒:銀 桂 香 歩三
手数=74 ▽2九飛成
まで
サ「この後、いくばくもなく投了。1手違いにもならなかった。」
ご「まあ、弱いのじゃから仕方が無いのう。」
サ「、、、。」
サ「1回戦終了後、昼食休憩。これで流れを変えたいところ。」
ご「このままじゃジリジンじゃからの」
サ「で、 今回はどんな戦形にしようかな、と悩んでいたら」
ご「悩んでいたら?」
サ「岩崎さんに、『サイトウ、悪いけど大将で出て』と言われちゃいました。」
ご「ほほう、おぬし、大将の経験は?」
サ「もちろん初めてです。まあ、自分としては将棋を指しに来てるので相手が誰でもかまわなかったのですが、、、。」
ご「ですが?」
サ「ちょっと相手が大物すぎました。大将の席に座って顔をあげたら、そこには小林庸俊さんがいました。」
ご「なんと!!」
サ「小林さんをアマ棋界の大横綱とすると、こっちはいいとこ序二段ですからね。もう、ほんとにどうしようかと。
当たり前ながらこちらの有利な点なんて1つも無い。へたな飛び蹴りなんて通用しないし、がっぷり四つに組むなん
てとてもとても。」
ご「で、どうしたのじゃ?」
サ「とりあえず、振りゴマで先手番が来るように念力をかけてなんとか(?)先手をゲット。ここで選ぶのは5筋位取り
中飛車!だったのですが」
ご「ですが?」
サ「7六歩、8四歩、5六歩に5四歩と受けられてあえなくオジャン。で、結局、いつもの居飛車風車へと。」
ご「進歩がないのう」
サ「ほっといてください。」
(初手より)
▲7六歩 △8四歩
▲5六歩 △5四歩 ▲6八銀
△3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲4八銀 △4二銀
▲2六歩 △3二金 ▲6七銀
△4一玉 ▲7八金 △7四歩
▲2五歩 △3三銀
▲4六歩 △5二金 ▲3六歩
△8五歩 ▲7七角 △4四歩
▲4七銀 △3一角
▲3七桂 △4三金右 ▲2九飛
△7五歩 ▲同 歩 △同 角
▲7六歩 △8四角
▲4八玉 △6四歩 ▲3八玉
△6三銀 ▲5八金 △1四歩
▲1六歩 △3一玉
▲9六歩 △9四歩 ▲6九飛
△7四銀 ▲4八金 △6二飛 (第4図)
第4図
後手:小林 庸俊
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 第4図以降の手順
| ・ ・ ・v飛
・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・v金v銀v歩
・|三 ▲6八金 △7二飛
|v歩v角v銀v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 ▲5八金左
△7五歩
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩
・|五 ▲2九飛 △6五歩
| 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・
歩|六 ▲4五歩 △7六歩
| ・ 歩 角 銀 ・ 銀 桂 ・
・|七 ▲同 銀 △6六歩
| ・ ・ 金 ・ ・ 金 玉 ・
・|八 (第5図)
| 香 桂 ・ 飛 ・ ・ ・ ・
香|九
+---------------------------+
先手:サイトウ
先手の持駒:なし
手数=48 ▽6二飛
まで
サ「今回、棋譜は相手に敬意を表して初手から。第4図の局面は囲いは完成したが左翼の圧迫感が大きい。まあいつも
のことですが。」
ご「それにしても振り飛車側、指す手が無いのう。」
サ「そう。で、左金を囲いに回してあとはいつも通りのカウンター狙い。4五歩に全てをたくして左翼は焦土戦術。」
ご「確かにいつも通りじゃの。」
サ「感想戦では、『4五歩のところで6筋にまた飛車をまわして徹底的に受けに回るかと思った』と言われました。」
ご「まあ、難しいところじゃ。」
第5図
後手:小林 庸俊
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 第5図以降の手順
| ・ ・v飛 ・ ・ ・v金 ・
・|二
| ・ ・ ・ ・ ・v金v銀v歩
・|三 ▲7五歩 △同 銀
|v歩v角v銀 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 ▲8五銀
△5一角
| ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩
・|五 ▲7六歩 △6四銀
| 歩 ・ 銀v歩
歩 ・ 歩 ・ 歩|六 ▲4四歩 △同 銀
| ・ 歩 角 ・ ・ 銀 桂 ・
・|七 ▲8六角 △4二角
| ・ ・ ・ ・ 金 金 玉 ・
・|八 ▲6五歩 △5三銀右
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛
香|九 ▲7五角 △4五歩
+---------------------------+ ▲6六角
先手:サイトウ (第6図)
先手の持駒:歩
手数=58 ▽6六歩
まで
サ「手を変え品を変え、なんとか居飛車の角銀を後退させ一息ついたが、よくよく見ると後手陣は金銀四枚の堅陣。
うまいなぁと思いました。」
ご「確かに遊び駒を作らず陣形をまとめあげる指しまわしはさすがじゃのう。」
サ「目障りな6六歩を払ったのはいいが、4五の位を取られたのが痛すぎる。」
第6図
後手:小林 庸俊
後手の持駒:歩三
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 第6図以降の手順
| ・ ・v飛 ・ ・v角v金 ・
・|二
| ・ ・ ・ ・v銀v金 ・v歩
・|三 △9三桂
|v歩 ・ ・ ・v歩v銀v歩 ・v歩|四 ▲2四歩
△同 歩
| ・ 銀 ・ 歩 ・v歩 ・ 歩
・|五 ▲9四銀 △7六飛
| 歩 ・ 歩 角
歩 ・ 歩 ・ 歩|六 ▲7七角 △6六歩
| ・ 歩 ・ ・ ・ 銀 桂 ・
・|七 ▲4五桂 △同 銀
| ・ ・ ・ ・ 金 金 玉 ・
・|八 ▲4六歩 △同 銀
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛
香|九 ▲同 銀 △4五歩
+---------------------------+ ▲5七銀
△4六桂
先手:サイトウ
▲同 銀 △同 歩
先手の持駒:歩
▲2三歩 △4四銀
手数=73 ▲6六角
まで (第7図)
サ「9三桂がまったく見えて無かった手で、7六飛とさばかれ、6六歩と押さえられてしまったところでプッツン。」
ご「無茶もいいところじゃ。」
サ「まあ、よく持った方ですよ、これでも。でも途中で息切れしちゃって、2三歩のおまじない。」
ご「柄にも無く高級そうな手じゃのう。」
サ「5二銀から4三歩で手になればいいのですが、4四銀でそれも不発に終わりました。」
第7図
後手:小林 庸俊
後手の持駒:銀 歩四
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 第7図以降の手順
| ・ ・ ・ ・ ・v角v金 ・
・|二
|v桂 ・ ・ ・ ・v金 ・ 歩
・|三 ▲6四桂 △2三金
| 銀 ・ ・ ・v歩v銀v歩v歩v歩|四 ▲5二桂成
△7五角
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・
・|五 ▲8六角 △同 角
| 歩 ・v飛v歩 歩v歩 歩 ・
歩|六 ▲同 歩 △6七歩成
| ・ 歩 角 ・ ・ ・ ・ ・
・|七 ▲4一角 △3二銀
| ・ ・ ・ ・ 金 金 玉 ・
・|八 ▲同角成 △同 玉
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛
香|九 ▲4一銀 △2二玉
+---------------------------+ ▲6七金
△7八飛成
先手:サイトウ
▲5八銀 △4七角
先手の持駒:銀 桂 歩
▲同 金 △5八龍
手数=92 ▽4四銀
まで まで後手の勝ち
(第8図)
サ「あとはもうダメ。支離滅裂な指し手が続く」
ご「最後もひどいのう」
サ「まあ、今回は小林さん相手に秒読みまで持ったので満足満足。」
ご「志がひくい奴よのう。」
サ「高望みしないだけです。吉本新喜劇風に『今日はこれくらいにしといたろ』ってギャグができる相手じゃない。」
ご「まあ、そりゃそうじゃのう。で、大横綱相手に指してみた感想は?」
サ「大満足。なんべん負けても良いからまたやってみたいですね。まあ、個人戦で当たれる機会は皆無ですけど。」
ご「当然じゃ。おぬしが全国で活躍できるわけがない。」
第8図
後手:小林 庸俊
後手の持駒:角 銀 歩五
9 8 7 6 5 4 3
2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ 銀 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ 圭 ・ ・v玉
・|二
|v桂 ・ ・ ・ ・v金 ・v金
・|三
| 銀 ・ ・ ・v歩v銀v歩v歩v歩|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・
・|五
| 歩 歩 ・ ・ 歩v歩 歩 ・
歩|六
| ・ ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・
・|七
| ・ ・ ・ ・v龍
・ 玉 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛
香|九
+---------------------------+
先手:サイトウ
先手の持駒:角 歩二
手数=112 ▽5八龍
まで
サ「終了後は、岩崎さん、吉田さん、鈴木先生と私の4人で旧交を暖めました。」
ご「ほう、で、どうじゃった。」
サ「徹夜はやっぱりきつかった。あと、やっぱりあそこはガマンして大三元をめざすべきだったかと。」
ご「やれやれ。来年も前途多難よのう。」