特 徴 |
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サイドプロテクション機能(側面衝突対応)を備えた大きく深いサイドウイング
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11段階、最大18cm高さ調整可能なヘッドレスト |
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快適なドライブのためのリクライニング機能 |
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ジュニアシートというと、おしりの下にひくだけの簡便なもの(ブースターシート)を想像される方もまだまだ多いと思いますが、実際的にあれで高い安全性が得られるのかというと「NO」という返答になります。
基本知識として、シートベルトは体の一番強い部位、【腰骨】【鎖骨】を通らせることで衝撃時のダメージを最小にしてくれます。この位置が少しでもずれると骨格のない腹部を圧迫して内臓を損傷したり、首にかかって重度の障害を被ったりします。車のシートベルトを直接使用して安全を保てるのは身長140センチ以上です。小学生高学年が該当するでしょう。
ジュニアシートを必要とする3歳以上の子供の場合、座面を底上げすることによって、正しい位置に腰ベルトを通らせることができます。ブースターシートはこの役割を担います。
ただし、子供がお人形さんのようにきちんと座っているはずもなく、眠ってしまっても姿勢は大きく崩れます。そうした際に役立つのが「KID」のような背もたれ付のジュニアカーシートです。上半身を常に一定の範囲に留め、体格にあわせた肩ベルト位置も細かく設定できますので、うっかり首にベルトがかかってしまうこともありません。段階調整も確実で強固な仕組みを持っています。
特にKIDは側面衝突にも対応させるため、サイドのシェルを大きく張り出させ、大事な頭部は従来品の倍近い深さを持たせました。このおかげで側面衝突の検証も厳しくなった欧州のアセスメントの「グループII/III」にてトップの好成績を得ました。
Bild |
Marke |
Type |
ECE-
Gruppe |
Siche-
rheit |
Bedie-
nung |
Komfort |
Reini-
gung
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OAMTC Empfehlung |
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Romer |
Kid |
II
/ III |
+ |
++ |
++ |
+ |
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私もこのカーシートのユーザーです。子供にとって深いヘッドサポートは若干視界を遮ることもあって、おとなしく頭部を納めておいてくれないこともありますが、眠ってしまったときなどは、すっかりシートに収まって、姿勢が崩れることもないので、親は安心して運転に集中できます。(それまでは寝てしまった子供の頭がカーブの度に左右に振られて、気になって仕方がありませんでした。)
背もたれ付きジュニアシートには、ある程度体格が大きくなると背もたれ部を外して使わなくてはならないものがあります。幼稚園から小学生まで子供がいる私ですが、このKIDは身長150センチ12才程度まで、背もたれが有効に使える設計なので時々入れ替わって使用しても簡単に切り替えができ快適です。ロングライフジュニアカーシートとして、長期にわたり高い性能を期待できます。
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本体は「過激」なまでの強度設計が施されていて、適度な重量感があり、触ってみれば剛性の高さを体感できるでしょう。類似商品に比べ、操作感もたいへんしっかりしています。やや黒めに仕上げてある本体樹脂は、衝撃によって変形が生じた際に樹脂の白化(プラスチックが外部圧力で白く変化する)を目立たせる意図があるそうです。
本体構造は一般に「中空構造」のものと、このキッドのような「インジェクションモール構造」のものがあり、前者は軽くできますが、後者の方が剛性が高くでき、車内の高温化による熱のこもりも早めに発散できる性質を持ちます。
写真を見てもらうとわかると思いますが、見えない部分でありながら、ここまで入念に強度設計し、緩衝材である発泡材も繊細なつくりで、衝撃を均等に本体に伝達する形状を作っています。商業主義でない職人の知恵と義務感が作り出す構造美と感じました。特に期待せずにばらしてみたものの、思いがけない発見にうなってしまいました。やはりレーマーは只者ではない・・・。
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本体底面は衝撃時にシートへの力の分散を狙うラバーマットが施してあります。
真ん中のボックスは説明書入れ。
ショルダーのベルトホルダーは軽い引っ掛けがあって、開閉します。ベルトを通してロック。
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シートのクッションは、硬度の高い樹脂製ボディの上に薄いウレタンと少し荒めのファイバークッションをはさんで表皮がきます。単純にウレタンと生地だけのものかと思いましたが、汗かきの子供のことを考慮してか、通気性を保つ化繊綿がウレタンとの間にあることはありがたいです。
生地の縫製も非常に高いレベルです。正確な裁断と縫製ができないときちんと被せられない独特の掛け方をします。海外製品にはめったに見られない高い技術を垣間見られます。
生地の素材は綿が主体なので、正直言って色褪せは少しします。化成のような耐久性はありませんが使うほどに優しい手触りになります。(最初はのりが効いていて少し硬い印象ですが)
あまりふわふわのシートではありません。高いクッション性を求める方にはイマイチかも。しかし、子供の体重を分散するには充分なものです。
シートクッションの理想は実際の高級乗用車と同じように、フレーム構造に弾力性のあるネットやスプリングで座面を支えるものが、クッション性と通気性を兼ね備えた理想的なものになります。実例としてはレカロスタートが実装しています。重量がかさみ、コストもかかるのが難点です。KIDは重量増を嫌い、合理的な構造に徹したものと思われます。
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仕様変更 2004/11 |
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この度キッドの肩ベルトガイドの形状が変更になりました。
ガイド部分が太く滑らかになったので、以前よりベルトの引き出しがスムーズになりました。
また、ガイド部分を背もたれと垂直に設定変更することで、車のシートベルトが最短コースで体に巻き付きやすくしてあります。一般のジュニアシートに多い、背もたれ側にガイドが付いているものでは、ガイド部分でシートベルトが迂回して、衝撃時に余分なたるみとなり、体が振り出されやすい傾向があります。ジュニアシートを載せる位置と肩ベルトの出口が極端に近い場合でも、支障がなくなりました。
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