Baby-Pro REPORT(7)-2 [マシュマロフィッツ 取り付け・試乗偏] |
<取り付け・試乗レポート> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
取り付け偏 自分の子供(4歳直前)をサンプル品(Vシールド)に乗せてみることにしました。(本当は1歳前後の子で試したいところですがスミマセン。) 取り付けは手順は極めて簡単。カーシートの背中に車のシートベルトを通して、ベルトロッククリップで挟み、引っ張るだけ。カーシートの上にひざを載せて、しっかり沈み込ませてベルトを絞りましょう。 大型のワゴンで座席も大きめの車ですが、ヘッドレストまで完全に覆われてしまいました。ヘッドレストが前側に飛び出している座席ではぶつかるので基本的に取り外すことになっています。 リクライニングがついていますが、Vシールドのアジャスターは小ぶりなのと、カーシートが一体成型なので、あまり角度は変えられません。背もたれ角度に沿うので、大きな角度の調整は出来ないと思ってください。お子さんがちいさく、リクライニング機能を期待したいときは、車のシートの背もたれがリクライニング式であることが前提となるでしょう。
上記表のような条件がありますが、実際はメーカー表記の数字ぎりぎりではうまく固定しにくいので、余裕があることが望ましいです。チャイルドシートとして使用するときはカーシートの背面に車シートベルトを通しますが、座席に対してシートベルトが後ろのほうから伸びていると、カーシートを後ろ方向に締め付けてくれるのでうまく付きます。少しでも前位置から出ている場合は、少し固定感が損なわれます。どの位置だったら、シートベルトが最短コースで通るか見定めて下さい。
このあたり、腰のシートベルトを少し前側に迂回させて固定する仕組みを追加できたら、より固定感が高まり、「全方位の安全性能」が一段と信憑性のあるものになるような気がします。(メーカーにお願い!) ただし、3点式固定なので衝撃時には肩ベルトでもカーシートを保持してくれます。ですから、めちゃくちゃがっちり止めなくても衝撃時の挙動はある程度少ないだろうと期待できます。 取り付け後、カーシートの正面から両手で本体を持ち、前後左右に揺すってみて、極力3センチ以内のブレに収まるよう締め付けを工夫してください。
最近の車にはたいてい付いている「チャイルドシートロック機構(A-ELR)」も使用可能です。シートベルトを全部引き出して、ギアがかかるのを確認して戻します。このときもカーシートを座席に押し付けて出来るだけ車のシートベルトが短くなるようにしましょう。(ジュニアシート使用時は使用してはいけません。)
出来るだけ後ろのほうが安全だからと言って、スライドさせたはいいが、肩ベルトの位置関係が逆になってしまうと事故時に体が大きくふり出されます。 最近一部の車メーカーが、「エアバックのある座席でもスライドを目いっぱい下げることによって、カーシートの使用を許可する」傾向が現れたようですが、闇雲に下げると、このような弊害もありますので、ご注意下さい。 |
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取り付けのコツ(チャイルドシート時) 1.車の座席にリクライニングのある座席は少しリクライニングを倒してから 取り付け作業し、作業の最後に起こすとうまく固定できます。 2.車の座席にスライドがある座席も、すこし後ろにずらしてから取り付けし、 最後に前にずらすと固定感が高まります。 3.上記の仕組みがない車の場合は、ベルト締め付け時にカーシートにひざを 載せてしっかり体重をかけ、かるく上下に揺さぶりながら行いましょう。 |
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試乗偏 さて、乗車です。モデルは3歳(もうすぐ4歳)、体重17キロ、身長102センチです。
体重17キロで、体格的には目一杯でしたが、本人はまったく窮屈がることなく、手足も自由に動き、頭のホールドも「気持ちいい」といってニコニコしてました。(ただしこの子は顔が小ぶりです。大きい子には狭いかな。) 乗せ降ろしを何度もやっているとき、一度手が滑ってVシールドを子供の足に落としてしまいました。でも痛がるそぶりはなく問題なし。このVシールドは金具がベルトで繋いであるだけで固定ではありません。そのため片手でカチッとロックできない歯がゆさがありますが、万一子供の上に落としてしまっても、危なくなくて良いのかもしれません。 ただし、現在の仕様はオスバックル側もメスバックル側も動くので、はめにくさがあります。差し込みやすいように、形状を工夫する余地がありそう。 標準の体格の子供ですが、まだまだ幼児体形なのでおなかが出てます。Vシールドを止めるとき、少しおなかを圧迫する感じがしました。しかし、これも本人には全く問題にならない範囲のようで、「おなか苦しくない?」「ん?ちっとも」という返事。 ジュニアシートとしても使用してみました。サイドのでっぱりが少し気になるものの、自分でベルトの付け外しも可能。本体は固定をしていないので、子供が自分で乗り降りしようとすると、少しシートが揺れます。座面と背もたれがセパレートだと、あまり気にならないのですが、一体式なので全体が動いてしまうのでしょう。 そういえばこの手のジュニアシートには座席に仮固定するような補助ベルトがあると、位置がずれずに便利なのですが、案外ないんですよね。フィッツには是非つけて欲しいと感じましたが、国の規制の問題があるようです。安全機能とは独立した補助具は積極的に認めて欲しいものです。 乗り心地はもちろん問題なし。クッションが良いだけに夏場はウレタンの熱のこもりが気になりますが、それは他のメーカーのものも同様。その点を考慮して造ってあるのはレカロシートくらいです。 |
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結果、重箱の隅をつついかない限り、マイナスな情報はほとんど出てこず、Vシールドも案外見た目で思うほどの狭苦しさはなく、それどころか子供は「安心感」をすぐに感じ取れるのかもしれないと、考えをめぐらしました。(※反応に個人差はあると思います。今回は年齢の高い子の試乗でしたので問題ありませんでしたが、使い始めの小さいお子さんの場合、慣れない不安から泣き出してしまうことは充分考えられます。) 子供はとても柔軟性があります。シートベルトの義務化が始まったとき、大人は多くの人が長く拒否反応を示しましたが、チャイルドシートの義務化が始まってしばらく経った今、子供たちが大人の予想を覆して、すぐにチャイルドシートに馴染んだのを多くの親が体感しているでしょう。 「窮屈そう」という大人の的外れな心配が子供の安全を疎かにしてきただけなのかもしれません。 |
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その他 メーカー提示は体重9キロからとなっています。そのあたりの体格で使用開始する際には、体の収まり具合をよく確認して使用しましょう。Vシールドにあごが当たらない状態で乗れる身長が必要です。ベビーシートをお使いの方は、早いうち窮屈感を感じて早めにこうしたシートに移行したいと考えやすいですが、無理に早めに移行すると、姿勢が崩れて中に埋もれてしまう感じがします。また体が小さいときは窮屈とは逆で、Vシールドのなかで隙間が大きく感じる場合もあるでしょう。 太り気味で顔も大きめのお子さんだと、小さいうちからおなか周りに余裕がなく、顔もはまってしまって、機嫌がとりにくいことがあります。やむなくキャンセルになった例も出ていますので、不安のある方は展示のある地元店舗でフィッティングを確認して購入されることをおすすめします。ホールド性は高いのですが、その分形が固まっているので、体格・体形が合わないと使いにくいかもしれません。 適正体格であれば、最初は不慣れから泣くこともあるでしょうが、必ず馴染みますので、気にしないで機会ごとに慣らしていきましょう。 ジュニアシート兼用タイプのチャイルドカーシートというと、どうしてもリクランニングが簡便なものになります。このマシュマロフィッツもごく僅かしか傾斜しませんし、取り付けをやり直さないと変更がききません。背もたれ固定の座席ではリクライニングして取り付けできない可能性すらあります。 上記に加え、子供が小さく、体格のフィットに懸念がある方はマキシコシチャイルドとのようなチャイルドシートを繋ぎに使用し、ジュニアシートの使用を先にずらす方法も検討下さい。兼用タイプはロングライフで経済的ですが、どうしても体格差が大きくなり、フィット感に欠けます。お子さんに負担がなく、快適に乗せてあげたいなら、チャイルドシートとジュニアシートという連携プレイが無難です。 (組合せで考えるカーシートの選びかたを「Baby-Pro REPORT6」で解説してます。) |
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< レカロチャイルドシートと比較して > 安全重視、乗り心地重視のユーザー様は多くの方がレカロのチャイルドシートを比較対照にされるでしょう。レカロ独特の幅広い調節機構、蒸れにくく、体にフィットする座面構造は一朝一夕にまねのできるものではありませんので、レカロの秀逸さが見劣りするわけではありませんが、<V>の可能性はたいへん気になります。 冒頭の写真でも示したとおり、アップリカは全方位からのGを想定して開発を行っています。レカロにインパクトシールドとヘッドレストを取り付けた場合のサポート性能と、<V>のサポート性能は近似したものを感じます。 と、同時に、拘束感や、体重9キロ程度での使い始めの時期に、収まりの悪さも同様に懸念します。 「拘束感」について捕捉しますと、レカロのヘッドレストはサポート性能が高いかわり、幅が狭く(約14センチ)、嫌がる子供もいます。<V>も同様のことが考えられます。インパクトシールドとVシールドのくびれの最下部の高さは合わせたように同じ高さです。小さい子では少し埋もれてしまいまが、序々に慣れてもらえるでしょう。ゆとりを持って使い始められるといいですね。 両者を比較するときポイントは限りなくありますが、思いっきり省略して絞り込むと ・折り畳みの必要があるか。(レカロは畳めます) ・シート性能の高さ(レカロ)と、乗せ降ろしの簡単さ(Vシールド)ではどちらを重視するか。 ・全方位からの衝撃を考慮したフィッツをどの程度評価するか。 このあたりがポイントでしょう。 全方位からの衝撃、車両の回転までをも考慮したフィッツの設計と簡単な装着性能に魅力を強く感じるならマシュマロフィッツVシールド。 基本的なシート構造、性能、ヨーロッパでの実績等が捨てがたいとなればチャイルドレカロ。 まだ若干荒削りなところのあるVシールドに比べ、細かいところまでたいへん良く煮詰めた設計となっているAprica チャイルドレカロは、その密度の濃さからも依然筆頭のおすすめモデルです。ただし、アップリカでは生産が打ち切られているので、いつまで比較対照と出来るかわかりませんが・・・。 |
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長い記事をお読み頂き感謝申し上げます。参考になれば幸いです。 (2003/12/21) |
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●関連リンク | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・アップリカ メーカーのホームページです。 ・マシュマロフィッツ・Vシールドの適合確認ページはこちらです↓ http://www.aprica.co.jp/products/seat/seat_set/v-torituke.html |
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