Baby-Pro REPORT8 [とことん知りたい!ベビーカー徹底検証] どこが違うの?何が便利なの?どれが赤ちゃんに優しいの? |
<Baby-Pro 研究所 A型ベビーカーの検証> 小さな赤ちゃんを乗せるA型ベビーカーは、何かと気を使うものです。 赤ちゃん優先にすれば大きく重くなるし、親の使い勝手優先にすると コンパクト軽量ながら、シートが狭かったり対面ハンドルがなかったりします。 ちょっとかたい表現も増えますが、何でも知りたい勉強熱心な方のために Baby-Proのデータを一部公開します。 商品選択の決め手が見つかるといいですね。 今回は「i-thru 599」「ドッチモターン599」「eye to eye 739」の3機種をセレクトしました。 |
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Aprica カルッコベッド両対面・ふわっとベッド両対面は、重量バランス、段差越えの特徴がネルッコベッドと極めて類似しているので、下記内容を参考にして取り扱いください。 |
ベビーカー スヘック比較表 | |||||||
i-thru 599 | ドッチモターン599 | eye to eye 739 | |||||
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重量 | 7.4キロ | 7.6キロ | 5.6キロ | ||||
使用時サイズ | W524×D1110×H967mm | W520×D755〜970×H930〜995 | W495×D858×H1010mm | ||||
収納サイズ | W524×D472×H913mm (対面 背もたれ収納時) W524×D455×H960mm (対面 フルリクライニング時) |
W520×D390×H885〜1020 (サイズに幅があるのは、ハンドルの角度調節や高さ調節があるため) |
W390×D415×H980mm (結構背が高いです) |
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収納時体積指数 | 229 | 179 | 159 | ||||
収納時スペース(面積指数) | W524×D455(238) (約A4 4枚分) |
W520×D390(203) (約B5 4枚分) |
W390×D415(162) (約A4 3枚分) |
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シートサイズ | 幅:腰部 330 肩部 230 長さ:660 (mm) 面積指数:185 |
幅:腰部 320 肩部 225 長さ:700 (mm) 面積指数:191 |
幅:腰部 295 肩部 200 長さ:660 (mm) 面積指数:163 |
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振動吸収率(推定) | 95%以上 | 95%以上 | 88% | ||||
開閉の仕組み・ハンドル切り替え | |||||||
折り畳み方式 | 2つ折り | 2つ折り | 4つ折り | ||||
(写真はイメージです) |
(写真はイメージです) |
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対面・背面切り替え | シート脱着方式 | ハンドル切り替え (手元スイッチ) |
ハンドル切り替え (ハンドル両脇レバー) |
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内容 | シート向きが対面のとき、他のベビーカーと違って、そのままたため、開けば即体面、というところがミソ。ハンドル手元操作可能。 対面時には重心が高い位置に来るので、片手操作はちょっとだけ慣れが必要ですがね概して2つ折りのシンプル構造なので安心。 |
開閉は手元操作で簡単にできます。開閉はハンドルを背面側にしてから行ないますので、開いた直後は背面ハンドル。対面にする時は手元レバーでロック解除し、ハンドルを対面側に移します。 4連キャスターなので、対面時、背面時に適したキャスター配置に調整する手間がかかりますが、背面使用が増えれば手間はほとんどかりません。 |
アップリカ独特の4つ折りといわれる、ワンタッチで前後左右に縮まる開閉方式。広告ではパッと簡単に開閉ができるイメージを与えていますが、そんなに簡単ではないので、練習をしましょう。(FAQにもガイドあり) ハンドルの切り替えはハンドル左右の付け根のレバーで行ないます。両手が必要です。また、開閉操作は背面にハンドルを戻してから行ないます。 |
いろんなことが出来るというのは、いろいろ面倒なこともある・・・ シンプルというのは、あまりアレコレ出来ない不便さがある・・・ どちらがいいかはその人の好みの問題でしょうね・・・。 (ひとりごと) |
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段差越えの操作性と安定性 | |||||||
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ハンドル操作でベビーカーの前輪を持ち上げ、段差を越えるという想定で 前方車輪が浮き上がるために必要なハンドルへの負荷を 計測しました。(ダミー人形は5キロ・生後2ヶ月相当) 【背面ハンドル時】 @足で押さえて、ハンドルを引く A足を使わず、ハンドルだけ押し下げる 【対面ハンドル時】 B足で押さえて、ハンドルを引く C足を使わず、ハンドルだけで押し下げる |
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< 軽快度 > ★★★・・・大変良い ★★・・・良い ★・・・普通 (☆は★の半分) < 安定度 > ★★★・・・大変良い ★★・・・良い ★・・・普通 (☆は★の半分) |
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i-thru 599 | ドッチモターン599 | eye to eye 739 | ガイド | ||||
@足で押さえてハンドル を引く |
3.4キロ ★★ (ステップがやや遠い) |
2.9キロ ★★☆ (軽く出来る) |
1.9キロ ★★★ (極めて軽く出来る) |
@大抵のベビーカーにはステップのような左右に延びたフレームがあるので、そこに足をのせてから、ハンドルを引くと比較的軽い力で前輪が浮きます。 | |||
A足を使わず、ハンドルだけで押し下げる |
7.5キロ ★★ ★★ |
6.9キロ ★★ ★★ |
6.3キロ ★★ ★★ |
A足を使わず、ハンドルだけを押し下げて前輪を浮かせるのは結構力が要るものです。 推奨しませんが、もし荷物をハンドルに引っ掛けるとしたら、この程度の重さでひっくり返るということです。 |
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B足で押さえて、 ハンドルを引く |
3.0キロ ★★ (軽い反面、ステップが やや遠い) |
4.6キロ ★★ (出来る) |
3.8キロ ★★☆ (軽く出来る) |
B対面ハンドルの場合は概して重心から遠ざかるので、足で押さえて、ハンドルを引いても、背面時よりは力のいることが多いです。i-thruは例外的で軽くなりますが、ステップが遠いので、ちょっとやりづらい感があります。 |
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C足を使わず、ハンドルだけで押し下げる |
6.0キロ ★★ ★ |
(10キロオーバー) ハンドルがしなって 持ち上がろうとしない。 (なし) ★★★ |
(10キロオーバー) ハンドルがしなって 持ち上がろうとしない。 (なし) ★★★ |
C対面ハンドル時に、足を使わず、ハンドルだけで押し下げる方法は利用できない車種がわりと多いです。 (正式コメントではありませんが、メーカーサイドは、ハンドルに荷物をかけるユーザーも多いので、安定性を重視しているとのことです) |
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分析 | ハンドルが長めで手元操作だけでも(足を使わずとも)前輪が浮き、概して平均か軽い数値なので、段差越えの操作は軽快。 | ハンドルだけで前輪を浮かせる操作は対面時には出来ません。そのかわりハンドルにちょっと荷物やかばんを引っ掛けても転倒の心配がありません。 対面以外のシーンでは平均的な成績。 |
足を併用すれば、問題なく段差をクリアできます。力もあまりいりません。本体が軽量のメリットがでています。 ハンドルだけで前輪を浮かせる操作は対面時には出来ません。 |
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評価 | 癖のない操作感で好感が持てます。ハンドルを荷物掛けに使用したい人は掛けすぎに注意を。 | 段差越えについては無理をせず足を併用した方が良いでしょう。癖を知って利用すれば問題なし。 | 段差越えについては無理をせず足を併用すれば軽快。 | ||||
重量バランスもベビーカーの旋回性能に影響します(ダミー5キロ荷重) | |||||||
[括弧]の数字は進行方向前側の車輪の荷重割合。 前輪キャスターの場合、括弧の数字が少ないほど先回性能が上がります。 ちなみにハンドルの切り替えをすると、実際にはキャスターの軸位置が微妙に変わるため 背面時と対面時と両方で計測をしています。 |
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i-thru 599 | ドッチモターン599 | eye to eye 739 | |||||
【背面ハンドル時】 A : B [46]:54 【対面ハンドル時】 A : B 54:[46] |
【背面ハンドル時】 A : B [40]:60 【対面ハンドル時】 A : B 36:[64] |
【背面ハンドル時】 A : B [35]:65 【対面ハンドル時】 A : B 39:[62] |
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分析 | i-thruはシートをのせ替えて背面と対面を切り替えるタイプ。そのため向きによってバランスが逆転しますが、常に前輪キャスター側が軽くなるので操作性は良好です。 バランスも適当で癖がありません。 |
背面ハンドル時は前輪キャスターの荷重が軽く旋回性能に優れます。 反面、対面時の前輪側は荷重がかかりすぎて少し重い感じ。 幸い4輪キャスターの仕様なので、小回りを優先したいときは前輪固定、後輪キャスターにすると、たいへん軽く旋回できます。 |
背面ハンドル時は前輪キャスターの荷重が軽く旋回性能に優れます。 対面時に前輪側に偏って負荷がかかるので、小径タイヤと相まって段差に引っかかりやすい傾向。ただし、キャスターが足元になるので、余計な力がいらず旋回自体は軽くできます。 |
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評価 | ハンドルが長い分、赤ちゃんの位置と親が立つ位置が若干離れるのと、全体に大柄な感じが否めませんが、分かりやすい操作感が、それを補ってくれています。 | 前後のバランスは良いとは言えませんが、4輪キャスターの自由度がそれを補ってます。特徴をつかんでうまく使いこなせば自在な操作感を楽しめます。 |
背面時はかなり快適に操作できます。対面時にはその反対の性格がでるので、使用する環境が路面の凹凸の大きいところには向きません。 | ||||
補足 | 出荷直後の商品はキャスターの左右輪が固くつながっていて、独立して回転しないため、せっかくの旋回性能を少し損なって感じます。 Baby-Proでは一旦キャスターを解いて注油して組みなおしてから出荷しています。これだけでキャスターの反応が向上します。 参考: Baby-Pro REPORT1 |
初期モデルの足回りがとても固くて、改善要請を出したところ直ちに調整をしてくれました。そうした経緯を踏まえ、今のモデルは、2輪ずつセットになっている車輪の左右が「同軸解除」タイプで、完全に独立して回るので、キャスターはクイックに反応します。 本当はご法度なのですが、4輪ともキャスターフリーにすると自在な操作性が楽しめ車格のわりにとても小回りがききます。(4輪フリーでの使用はユーザーの責任で行なってください) |
小径タイヤを採用しているので、大きめタイヤのものに比べれば、段差の乗り越え性能に劣りますが、フラットな路面では何の問題もありません。 家の周囲に段差、凹凸が多い方は、対面での使用がしにくいと思います。逆に背面にすれば、段差越えも楽にできます。 |
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キャスターの位置と旋回性能 | |||||||
「前輪キャスター」とか「対面時後輪キャスター」とか表現がありますが、どう違うのかピンとこない方もあるでしょう。 まずキャスターというのは左の写真のような、方向転回を楽にしてくれる装置です。 そして、進行方向前側の車輪がキャスター付のものを「前輪キャスター」といいます。 キャスター付には2輪キャスタータイプと4輪キャスタータイプがあります。4輪キャスターは進行方向に対し前側でも後ろ側でも自分の使いやすい方にキャスターを設定できます。 2輪キャスターだと、背面ハンドル時に前輪がキャスターになり、両対面ハンドル仕様の場合、ハンドルを切り替えて赤ちゃんと対面の状態の時には、後輪側がキャスターとなります。 |
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予習が出来たところで、その動きを見てみましょう。 右図(アニメーション)はi-thruの解説用に作ったものですが、 ・右側の動きが「前輪キャスター」タイプ ・左側の動きが「後輪キャスター」タイプ の方向転回の様子です。 前輪キャスターは後輪側を軸にして向きを変えるため、とても自然な動きでスムーズに方向を変えていくことが出来ます。ハンドルとキャスターの位置関係が対角線上になるので、キャスターにかかる荷重や回転のスムーズさによっては反応が鈍くなることもありますが、操作に馴染みやすく、だれにでもイメージどおりに押せるところが特徴です。 |
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後輪キャスターの場合は、行きたい方向と逆の方向に大きくハンドルを送り出してやることで向きを変えます。上記の動きのように自分の動きも大きくなりやすく、慣れないと大回りをしてしまいますが、ハンドルだけをオーバーぎみに動かすという要領が分かれば右のように最短距離の移動で鋭角な方向転換が出来ます。 これらは自動車の例で良く分かります。前車輪の向きが変わる自動車は、ベビーカーでいう「前輪キャスター」タイプ。前向きには直進性も良く自然に走れます。 では、バックで走るとどうでしょう。バックでまっすぐ走ろうとすると、結構フラフラして向きが定まりませんよね。これがベビーカーでの後輪キャスタータイプ。ハンドル操作がシビアに出やすいのです。 ところが狭い車庫入れなどはバックでなければ融通がききません。倉庫の中をちょこまか動くフォークリフトも後輪がキャスターで、旋回性能に長けています。双子用ベビーカーなど重量が重いときは後輪キャスターだと方向転換がスムーズです。 ハンドルを対面で使用するとなかなかまっすぐに転がせないという声が多いのは、このような特徴からです。個別のベビーカーの不具合ではありません。 |
述べたように後輪キャスターは、「大きめのハンドル操作」がコツで若干慣れが必要ですが、キャスターとハンドルが同じ位置関係にあるので、反応が良く、極めて軽い力で動くのも特徴です。 (単純にテコの原理です。) |
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<一例 eye to eyeの場合> 5キロのダミーを乗せ、ハンドル上部に横方向の力をかけてベビーカーが回転を始めるのに、 【前輪キャスターの場合】必要荷重2.0キロ 【後輪キャスターの場合】必要荷重0.6キロ なんと1/3以下! |
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各メーカー、それぞれに商品のよさをうたっていますが、実際には使う人がその特徴を良く理解しないと、よさを引き出せません。そうした観点からもう一度上記の製品を分析し、まとめてみましょう。 | |||||||
i-thru 599 | ドッチモターン599 | eye to eye 739 | |||||
まとめ | 全体に大柄でハンドルも長いので体格の良い方には最適な一台。車輪と足がぶつかることもなく快適に押せます。 対面、背面ともに前輪キャスターなので、操作は感覚的に馴染みやすいものです。重量バランスも理想的で、シンプルで基本に忠実な構造が製品の魅力です。 急に方向を変える時、一瞬力がいりますが、常識的な範囲。 出荷時のキャスターの状態がもう少しスムーズだとよりいいのですが、これは当方の勝手な見解です。当面Baby-Proでは出荷前調整を続けますが、バランスが良く、前荷重ではないので、さほどの問題ではありません。トータルには完成度の高い商品です。 |
基本は前輪キャスター(後輪固定)ですが、対面時には重心の問題で前輪キャスターの負荷が大きくなるので、赤ちゃんが重くなって操作性が悪くなったら、後輪キャスターに切り替えるといいでしょう。4輪キャスターなので、自在に使い勝手を変えられるのがこの製品のウリです。 逆に言えば器用に使いこなす楽しみがあるかわり、特性を良く理解してないとただの複雑なベビーカーとなります。 ハンドルが比較的短く、角度も立っているので、赤ちゃんの近くに立てる安心感があります。そのかわり足に車輪が当たりやすいかもしれませんが、対面ハンドル時だけなのでご勘弁。 マルチdeフードやメディカルシステムなど付加価値も高いので高機能ベビーカーとしてトータルな魅力はとても高い製品です。 |
B型ベビーカーをA型のように使おうというのが開発の出発点なので、赤ちゃん本意に考えると少しシートが狭いとか、対面時の段差越えが苦手とか、意外と重量、サイズとも大きいとか、ウィークポイントもありますが、収納や使い勝手の都合で、出来るだけコンパクトなものをというユーザーが多いことは売れ行きを見れば良く分かります。 eye to eyeはいろいろな要求の一つの妥協点を商品化したものでしょう。 人気があるから選ぶのではなく、その内容が自分のイメージに合っているかが大切です。 ・両対面ハンドルがほしい ・収納場所が狭い ・車にも載せたい ・使用環境は比較的 フラットな路面ばかり ・・・そんな方にとってはベストな選択でしょう。 |
徐々に掲載アイテムを増やしていきます。 お楽しみに。 (2003/2/21) |
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