インフルエンザの診断・治療情報


インフルエンザ治療におけるアマンタジンの投与量

     米国専門委員会勧告ガイドライン

1-9歳

10-13歳

14-64歳

65歳以上

5mg/kg/日
150mgを上限

200mg/日
体重40kg以下
5mg/kg/日

200mg/日

100mg/日以内

 1日2回分服(不眠があるため出来れば朝・昼がよい)
 腎機能低下者では100mg/日以上の投与は禁
 但し、これは米国でのガイドラインで、本邦での保険投与量は成人100mg/日です。
 小児への投与量は示されていません。


塩酸アマンタジンの市販薬の種類と薬価

商品名

製薬会社

薬価(円)

シンメトレル

チバガイギー

100mg錠 84.40
50mg錠 44.60

トーファルミン

ファルマ

100mg錠  33.80
50mg錠  17.80

アマゾロン

澤井

同上

アテネジン

鶴原

同上

ルシトン

辰巳

同上

                             散剤・顆粒もあります
 このうち、今回保険適応が認められたのはシンメトレルだけです。
 発売後20年以上経過した薬ですが、認可は1種のみ。お役所仕事です。


追加情報
「インフルエンザ迅速診断キットの件」-その1-

 今年(1999年)も、そろそろあちこちでインフルエンザ様疾患の流行がはじまっています。当地ではまだ幼稚園、小中学校の流行は確認できていませんが高校生と大人に突然の発熱、関節痛、食欲不振を伴う発病がみられ、例年の流行と少し違っています。
 さて、インフルエンザの迅速診断キットが1月20日より発売されることはすでにご存じだと思いますが、本日の問屋さんからの情報では「保険適応はない」とのことで、検査は自己負担になるようです。
てっきり保険適応になると思っていましたが、適応追加は秋になるとのこと。
「アマンタジンを認めたならば迅速診断キットも認めるべき」という考えは甘かったようです。
はっきりした流行が地元で確認されれば検査は不要かも知れませんが、やはり最初の例や、肺炎合併等では確認して治療を開始すべきだと思います。
厚生省の対応のまずさでしょうか。

 インフルエンザ迅速診断キット
 「ディレクティジョンFluA」 日本ベクトン発売 1月20日より
 小売価格 20セット分 5万円 
 1セット2500円 自己負担。
 地元の問屋情報ではセットの小売りはしないようです。
 診療所では何軒かで共同購入もいいかもしれません。
 鼻腔洗浄液かぬぐい液診断しますが、インフルエンザはあまり鼻水はでないので取り方や希釈には少し工夫がいるようす。感度は92-95%とのことです。
 詳しくは能書を参考にして下さい。
               11年1月20日


「インフルエンザ迅速診断キットの件」-その2-
 その1でインフルエンザ迅速診断キットの件をお知らせしましたが1月はじめに注文していたインフルエンザ迅速診断キットが本日届きました。

箱を開けてびっくり。
 なんと複雑な作業(と言っても単純作業ですが)をこなさないと診断できない仕組みで、検体を採取し、生食で希釈、その一部を取り出しキットの上に垂らし、その後8種類の試薬等を4滴〜12滴ずつ、時間を見ながら落として行き、最終の滴下後、5分で判定する仕組みでした。
 検体の採取も、鼻汁がない人ではかなり難しいものです。スポイド等で鼻腔に生食を注入し、直後に吸い出すように記載してありましたが、これも果たしてうまく出来るのでしょうか。
 キットを数人で購入して分けて使えるのではないかと思っていましたがこれは無理でした。
 20キット分が一箱に入っており、単品の分割使用は不能です。
 従って検査室のある医療機関なら検査可能でしょうが、診療所では検査に時間もかかりますし、流行時にも20キットも使うことは少ないでしょうから、購入は控えられた方が良いかも知れません。
 近くの診断可能な医療機関へ検体(鼻汁)を早く送る連携があれば、検査出来るかも知れません。
ただし、前回述べたように保険適応はなくキット1人分2500円ですから、検査手技など含めるともっと高くなり、誰でも検査するわけにゆきませんね。
   診断キットの写真です。

     
                 11年1月25日



「インフルエンザ迅速診断キットの件」-その3-

この迅速キットの一番の問題は、検体の採取法だと思います。
個人的にうまくゆかず、色々な先生方にメールで相談してみました。
昨日2人の先生からお答えをいただきましたのでご紹介します。
群馬県の耳鼻科の先生から
実は私もここが一番苦労しているところなんですが、私の本日のやり方は、5mlのディスポの注射器に永島医科器械の外径5mmのシリコンチューブ(耳の手術の時の吸引嘴管につなぐチューブ)を5cm切って接続し生食2mlを引き空気が混じらない様に先端まで生食で満たします。ちなみに昨日はチューブは点滴の延長チューブを用い長さはFlu Aキット添付の説明書通り20cmにしていたのですが、これだと注射器の内筒を目一杯押してもこのチューブの中に多くの生食が残ってしまいます。上記のシリコンチューブでも30cmで2mlの容量がありますので説明書通り20cmではデッドスペースが大きすぎます。
 よって自分勝手に5cmにしてみたのですがそれが良いのかどうかは分りません。まあとにかくそれを鼻鏡など使わずに盲目的に前鼻孔から挿入し(総鼻道にスルリと挿入せず鼻甲介に当てる感じで)素早く(強くでは無い)生食を注入し即引き戻す、これを3〜4回繰り返す。濃盆を持たせておいて咽頭に落ちてきた生食は吐き出させる。検査に必要な量は125μL(スポイド3滴分位)の少量なんですが、上記の方法で回収できるのはやっとそれに間に合うくらいの少量です。本日は9例に施行してみましたが(結果は3勝6敗、どうもすみません)内1例は必要量が回収できず、スマンスマンと心の中で詫びながら、濃盆に吐き出させたやつを使ってしまいました。結果は(−)でした。又他の1例(2才)は回収液が注入量より多くなんじゃこれは、と思いつつ検査したら結果は強陽性でした。
結論:内科の先生でも上記の様にチューブを短くし、スルリと全部奥まで突っ込まずに、適当な所で鼻の中のに押し当てて、強くでは無く素早く注入し即吸引回収すれば(私の様に3〜4回繰り返さず1回だけやる)必ず必要量は回収できると思います。
PS.ただしこれは昨日から始めて未だ11例しかやってない大先輩からのアドヴァイスだと言う事を御忘れ無く。しかも負け越しております。」

広島市の小児科の先生から

 「今日2例目をしました。やはり咽頭ぬぐい液です。今度は綿棒を生食でぬらしておいて 咽頭をこすりました。発熱2日目37.5度37歳女性で家族が2−3日前に高熱がありました。本人はたいした熱ではありません。陽性にでました。3例目もしました。これも臨床的にはインフルエンザですが綿棒に生食をつけて
おきませんでした。陰性でした。陰性だった1例目も生食をつけていませんでした。
こうしてみると「綿棒を生食でぬらしておくと細胞がうまくとれるのかな」と思いました。」  

私の経験      
 鼻腔洗浄液採取は我々内科医には難しいので、鼻腔を拭う方法にしました。
本日朝78歳の女性が昨日から39℃の発熱と全身倦怠、関節痛、食欲不振で来院され、典型的なA型インフルエンザの症状を示しておられました。
 この患者さんにはこの方法でやってみました、これは簡単な方法で、綿棒を用意し、これを生食で濡らし、鼻の中を数回こするだけです。結果は下の画像のように強陽性。いままで数人試していたのですが今回初めて陽性でした。この方法は感度が落ちるようですが簡単です。
 典型的と思っていた患者さんでも陽性とならなかったりしますが、いろんなウイルスタイプが考えられますので、陽性と出れば確診できますが、陰性の場合は苦慮します。
 
    
   左は昨日から熱発のあった病棟の患者さん。陰性
   真ん中はコントロールで写真ではわかりにくいのですが陽性のコントロールです。
   右は本日の患者さんで濃い紫色の三角形のマークがはっきりしています。
                         1月30日


臨床現場でのアマンタジン使用経験報告
    実地医療研究メーリングリスト  五十嵐 秀之先生のホームページへ   2月7日
    臨床現場でのアマンタジン治療の使用経験が報告されています。

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