熨斗(のし)
「熨斗」とは、「延(の)しあわび」(←伸ばした鮑)の略称です。海の幸が豊富な日本では、古くから魚介類が神事のお供え物になっていました。中でも貴重品であったあわびは大事な祝い事などには必ず贈られました。
現代では、魚介類に代わって色々なものが贈り物として選ばれるようになりましたが、熨斗をつけることによって「新鮮な魚介類に代えて」という意味になり、改まった贈り物としての体裁を整える様になりました。
また「熨斗」は、延し=伸し、つまり引き伸ばす意味にも通じますので、慶事全般と、おつきあいでの贈答に用いられます。
結婚(慶事)とは対照的な弔事に関しては、悲しみ事を引き伸ばしてはならないとして用いないのが普通です。病気見舞いや災害見舞い、転居・転勤などの「餞別」にも使いません。
もともと「新鮮な魚介類に代えて」と言う意味なので、水産加工物や生鮮食料品には、熨斗を用いないのが正式です。 |
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結び切りと蝶結び
水引には様々な結び方がありますが、基本的には「結び切り」と「蝶結び」の二種類があります。
「結び切り」の水引は、両端を持って引くとさらに強くしっかりと締まる結び方なので、しっかりと結び固める『結婚』には、必ず「結び切り」にします。
同様に弔事全般も、「これきりにしたい」との意味で「結び切り」にします。
結婚と弔事は”一度きり””二度とあってはならない”ということなので、必ず「結び切り」なのです。
慶事の場合の「結び切り」は
・結婚祝い
・初節句
・病気のお見舞い(快気祝い)
と覚えると良いでしょう。
また、出産のお祝いを結婚と同様に考え、「結び切り」にするのは間違いです。
「蝶結び」は、結んだときに上に蝶の羽のような輪が二つできることから、「輪→円→縁」の意味に転用され、幾度も重なってほしいお祝い事や、重ねてのお付き合いをお願いする贈り物に用いられます。
しかし、水引の両端を引っ張ると、「解ける→戻る→別れる(離れる)」ことになるので、「結婚祝い」には決して用いません。
「蝶結び」は、出産祝い、お礼、一般的な手土産、挨拶などに広く用いられます。 |
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