オールド・ノリタケの魅力


特集

アール・デコ

The World of Art Deco in Old Noritake



かなりの私見だと批評を受ける覚悟で解説する。

オールドノリタケにおけるアールデコの魅力のひとつは、
大正時代にこんなデコが日本に存在したのか!
という驚きのような感慨そのものにある。
素晴しいデコに出会うたびに、
嬉しいような誇らしいような気持ちで胸が一杯になる。

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具体的には、まずFiguralものでその気持ちはビシビシと揺さぶられるのである。




「大正ロマン」という言葉があるけれど、
オールドノリタケのアールデコにもこの言葉は
ぴったりだ。いや、そのためにあるような言葉である。





アールデコは、世界の人々が第一次世界大戦を経て、
モダンな生活を始めた時期に合わせて、登場した。
わが国では、それがちょうど大正時代に一致する。
クラシックなNipponものを、明治期のオールドノリタケの代表とすれば、
アールデコものは、大正期のオールドノリタケの代名詞である。

その次に、あのGeometricなデザインに心をときめかす。
上に紹介したFiguralものに目を奪われがちだが、
Geometryの渋みにはまると、
もう、ノリタケ・ファンから抜け出せなくなる!?





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西暦2000年も間近に迫った今日であるから、
我々はオールドノリタケのアールデコへの感慨を、
こんな言葉で表現できるが、
つい20年前まで、殆ど見向きもされなかったものなのである。

アメリカでさえ、オールドノリタケのアールデコが
注目され始めたのは、1980年代の始め頃からである。

それは、ワシントン州立大学やスミソニアン博物館主催の
Howard Kottlerのコレクション展覧会で幕を開けた。

当時の展覧会のパンフレット
(古書として入手は十分に可能!$20程度)


Noritake Art Deco Porcelainsと銘打ったこの展覧会は、
1982年に全米を巡回したという。
この頃から、人々はノリタケのアールデコものの良さに気がつき、
今では熱狂的なファンを生むに至っている。
西海岸の明るい気候や人々の陽気さも、
アールデコ復興と無縁ではなかったであろう。
・・・・・
実は、わが国でもこの展覧会が開催されたのである。
1983年、ノリタケがこれらの作品を取り寄せて
名古屋のショールームで公開した。
これらの影響を受けてか、やっと最近になってわが国でも、
若い人のノリタケのアールデコの人気が上昇してきている。


David Spainの著書の表紙にも
使用されているJam Jar
Super Decoだ!




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最も衝撃的なのは、その斬新さであろう。
これが大正時代に日本で??と多くの人が感じるはずだ。
ノリタケは当時New YorkにMorimura Brothersという貿易会社を有しており、
デザインセンターも併設していた。
そこの主任デザイナーであったCyril Leighの功績が大きい。
彼の指導のもと、1922年から1929年にかけて
ノリタケは活動的にアールデコを生産した。
その後、次第にディナーウエアが主流となり、
また、1930年代後半になると第二次世界大戦へと時代が動き、
戦後は暫くの間、人々の記憶からも消えてしまったわけだが、、、。


それがたとえ外国人(Leighは英国人だった)の指導で作られたものであっても、
国内で心を込めて丹念に作られたに違いない。
だから、我々の気持ちを揺さぶる特別な魅力を持っている。

今後ますますオールドノリタケのアールデコ・ファンが
増えるにちがいない!
私は、これが21世紀の骨董界の最先端をいくと思っている。


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