この文章はフィクションです。
英会話教室のlevel が5になった。
木曜日、僕は、指定された部屋に入った。
すると、見慣れた女の人が座っていた。
でも向こうは、多分僕のことを知らないはずなので
「智子さんですよね?」
と言うと、
僕を怪訝そうにしばらくみてから
「ああ、」と言って、「ニヤッキさんなんだ・・」
「背広着ているニヤッキさんなんて見たことがないから・・」
「そんなに感じ変る?」
「ああ、変りますね・・・」
智子は、2・3回voice roomに来たことがある。
美咲や、ざーますのいなくなった、広島本校で、
唯一といっていい幻影の対象だった。
マ○ダにつとめているらしい。
1週間に一回ぐらいくるらしい。
スキューバ・ダイビングがすきらしい。
my tankはないけど、my wearはあるらしい。
普段は、近くで、スキューバダイビングをするらしい。
「どういうふうにするの?」と聞くと
shopに集まって、漁船で瀬戸内海にでて、
きれいそうな海まで行って、ダイビングするそうです。
昼食とかは、漁船で弁当みたい。
船酔いがひどいそうなので、
いつも、酔い止め薬を携帯しているらしい。
「ニヤッキさんもやったら? ハマリますよ・・」と言っていた。
voice roomで、tongue twister(早口言葉)をやったとき、
かなりきれいに発音していた。
智子の発音に、「きれいな発音だな・・」感心していた。
baby Englishは大嫌い。
nativeそっくりに話すのも、ちょっと抵抗がある。
変に高い声や、ハスキーボイスもあまり好きではない。
丁度耳に心地よい感じで聞こえる。
僕は智子の声が好きだった。
年齢は、多分20代後半、髪は長く、眼鏡をかけていた。
落ち着いた感じで、とても賢そう。
こんな言葉は使いたくないけど清楚な感じだった。
「スキューバとかやってるの?」
「今は寒いですから、まだですね・・・」
「お仕事忙しい?」
「まあまあですね・・・」
「1週間に1回ペース?」
「そうですね・・・」
「あ、今週の週末、ウォーキングラリーっていうので、
下関まで行きます。」
「だれと?」
「会社の同僚です。」
「何人ぐらい?」
「7・8人かな・・」
「どうやって下関まで?」
「同僚の自動車です。」
「何キロぐらい歩くのかな?」
「28キロぐらいです。」
「何時間ぐらいかかるものかな?」
「10時間ぐらいですかね・・・」
智子はその物腰から受ける感じは、
とても、活動的とは思えないんだけど、
かなり活動的な、女性だった。
『女の子って感じじゃないの・・・』
「いつも、眼鏡かけてるけど、コンタクトにはしないの?」
「コンタクト恐いんです。・・」
「あ、ぼくも・・・」
「ニヤッキさん、bridgeのあたり、痛くありません?」
「え、よくわからない、日に焼けるってこと?」
「いえ、長くかけてるのと、痛くなるんです。」
「あ、ぼくね、暇で、眼鏡には人一倍気を使うから、
暇さえあれば、眼鏡屋さんに行って、直してもらってるの・・
ただだし・・」
「そうなんですか?それはいいかもしれないですね・・」
不意に、智子がくしゃみをした。
「どうしたの?風邪?」
「花粉症なんです・・・」
「多いな、花粉症が、英会話学校の生徒、
ほとんど花粉症なんじゃない?」
「そうかもしれませんね・・」
「症状は重いの?人によって個人差があるときいたけど。」
「私は、意外と軽いほうかも・・・」
「薬とか毎日飲むの?」
「毎日飲んでます。」
「それはたいへんだ・・・」
「ニヤッキさんは、花粉症じゃないんですか?」
「運良くね・・・」
「いいですね・・・」
授業が始まった。
自己紹介とかあるんだけど、
そんなのは、どうでもいい。
後1人は、男で社会人で、6の時2から3回一緒でした。
やっぱり、男のだみ声と比較しても、
智子の英語の発音は、際立ってよかった。
『levelは高いし・・・』
僕は、5になっても、授業態度はぜんぜんかわらず・・・
男の社会人は、1コマで終わって、帰ってしまいました。
智子と2人になりました。
教室移動をしました。
「私、ちょっとお手洗いに・・・」
「僕は、先に行って待ってます。」
先に教室に入っていました。
『何はなそうか??』
今日買った、携帯を見ていた。
『カメラあるから、智子をとってみようか?』
容姿は、ぼくは、根本的に容姿から入るから、
僕のタイプです。やせ形、ぺったんこの胸、
丸くない顔・・・智子はロングスカートをはいているので、
脚の太さはわかりません。
「細いほうがベター」
で、しばらくして、智子が部屋に入ってきました。
「おまたせ?」
「ねえ、今日、僕携帯かったんだ。カメラで、
君をとっていい?」
「いまですか?」
「うん、できれば・・・」
「べつにいいですけど・・」
でも、智子の顔は明らかに曇っていた。
「あんまり、写真撮られるの好きじゃないの?」
「そうですね・・・」
「じゃ、いいよ、ごめんね・・・」
「ちょっと、写真撮ってみたかったんだ。」
といいながら、マニュアルを見ていた。
「本当に今日買ったんですね・・・」
さも意外な感じで、智子はつぶやいた。
その表情がとても印象的で、目に焼き付いた。
少し、にこやかで柔らかくて、とても好感が持てた。
「就職活動に必要なんだ・・・」
「就職できそうですか?」
「できたらいいね・・・」(まるで他人事)
「そうですね・・」
次の授業は、授業ではなかった。
智子の発音を聞き、智子の顔を見ていた。
全然、授業には集中していなかった。
『なにやってたんだろう?』
授業が終わって、
「また来週になるのかな?」
「そうですね・・」(少し残念そう??)
「じゃ来週は、ウォークラリーの話でもしてもらおうかな?」
「そうですね・・・」
「じゃあね・・・」
「さようならです・・・」
といって、智子は帰っていった。
後ろ姿を目で追っていた。
僕は、もう1コマ授業を受けることになったいた。