NEON GENESIS
EVANGELION
二人の希望
written by 流れる星の流れ星第四話
−あたしはあたしの大切なあなたを奪う−
地上は大雨の所為でジメジメしている。しかしジオフロン
ト内は清々しい位晴れ晴れしている。
今日は朝からアスカはシンジと本部に来ていた、それはア
スカのシンクロ率が回復の兆しを見せているからだ。
昨日の時点でアスカのシンクロ率は15%だったが、今朝
もう一度シンクロ率を計ってみると、アスカのシンクロ率
は昨日より更に+3%上がっていた。
「アスカ頑張ったわね、更に3%も上がっていたわよ」
管制室に集まったシンジとアスカはリツコに聞かされ、二
人して喜ぶ
「アスカッ!よかったじゃんっ!!」
「へっ!な〜にがじゃんよっ・・・・でもありがとね、シ
ンジっ!」
シンジ君とアスカ・・・昨日から何だか仲が良いお友・・
・いいえ、まるで幼馴染み見たいね。ココロが落ち着いた
様に見えるわ
「あの、リツコさん・・・」
シンジが先ほどとは違って何処かすまなさそうにリツコに
話しかけていった
「ん、どうしたのシンジ君?」
「昨日はすみませんでした・・・」
「・・・昨日?・・・あ、あぁ〜・・・あれは私が悪いの
よ、アスカが昨日調子が悪かったのに無理やり本部に来さ
せてテストを受けさせたんですからね・・・だからシンジ
君が謝ることはないのよ」
「でもっ」
「シンジくん、リツコもああ言ってるんだから良いじゃな
い・・・ね?アスカ」
「え?あ、うん」
「好きな女の子の為に怒るか・・・羨ましいわね」
「「・・・・」」
と、シンジとアスカは顔を赤くして黙り込む、そんな二人
を見たリツコとミサトはかなり驚く
「っえ?!・・・昨日のやり取りでまさかって思ってたけ
ど、あなた達・・・両思い?」
「ちょ、ちょっと、何を言うのよ?ねぇ、シシシンジ?」
「そそそ、そうだよ・・・リツコさん、何を言ってるんで
すか?」
「両思いじゃない子が抱き合ったりなんかする?」
それを言った途端シンジが少し恐れた口調でミサトに言う
「ミ、ミサトさん、見たんですか?」
「え、何を?」
と、シンジが言う前にアスカが怒鳴り散らした
「何って、シンジがあたしに抱きついた事でしょうが!と
ぼけないでよねっ!!」
此処でリツコがニヤニヤしながら二人が引っかけられた事
を伝える
「アスカ、あなた達ミサトに引っかけられたのよ」
「「え〜〜〜!!??」」
「やっぱ、子供ね〜こんな簡単な事に引っかけられるなん
てね」
アスカはミサトにしてやられ地面をダンダン!と足で叩き
付け吠える。
「ぁぁあああ!!シンジ!!」
「な、何?アスカっ」
アスカはジト目で何処か苦笑いしながら
「に、逃げるわよっ!」
「うんっ!」
で、二人は管制室を走りながら出ていった
「あ〜あ、二人をからかってもすぐに嫌な気分になる」
「ミサト、早く立ち直りなさいよね」
「無理よ、わたしの心は深海よりも暗いのよ・・・」
そのころ
広くて薄暗い指令室では二人の男が何も無い空間を見つめ
ていた
「冬月・・・そろそろ第十五使徒が来るな」
「あぁ、しかし碇・・・使徒はゼーレが送り込んでいるの
を知ってって何故知らんふりをする?」
「冬月は五月蝿いな・・・」
「碇・・・本気で怒るぞ・・・?」
横目で見ていた冬月から目を逸らすゲンドウ
「す、すいません、冬月先生」
「で、どうするのだ?」
ゲンドウは何時もの姿勢を崩し頬杖をする
「取り敢えず、最後の使徒までは何も言わないし事も起こ
さない・・・」
「ま、私はおまえがそうするなら良いがな・・・それにあ
れの力が無いとゼーレを壊滅させる事も出来ないからな」
「あれの傷はどれ位で回復する?」
「あと、2週間とちょっとだな」
「そうか、ちょうど良い位だな」
ふたたびシンジ達
「あぁ〜あ、ミサトにしてやられたわね」
「うん」
「まぁ、余り考えないでおきましょう〜か」
「うん、その方が良いかもね」
僕はアスカに同意していたが・・・実の所凄く気になって
いた。アスカは僕の事どう思ってるの?・・・僕があの時
アスカを抱き締めたのは好きだからなんだよっ
「あ〜・・・これから待機命令だなんて先が思いやられる
わね〜」
「それだったら、アスカ」
「ん、どうしたの?」
「これから少しトレーニングルームに行かない?」
アスカは両手を後頭部に持っていき、シンジに顔を向ける
「何?あたしと組手やりたいの?」
「うん、何となく」
「シンジ、あたしに勝てるの?」
「最初から勝とうとは思ってないよ」
「ふ〜ん、ま、良いわよ・・・頑張ってね」
エヴァのパイロットは何時どんな時に何が起こるか分から
ないからと言うことで、自分の身を守れる位の戦術の知識
を身に付けていた・・・が、やはりシンジはどうも戦いの
センスが無いようだ。それに比べてアスカは三人の中でト
ップを飾っている、小さい頃から大人達に戦いのやり方、
銃火器の使い方を教えてもらい、戦闘のプロ一人と戦って
もアスカはそう簡単にはやられないだろう。
「シンジ、ちゃんと防具は付けなさいよ」
「アスカもね・・・ちゃんと手加減してよ」
「はいはい、分かってるわよ・・・安心して」
と、何時の間にか顔・肘・銅・膝にプロテクターを装備し
たアスカとシンジが戦えるスペースのある部屋に入ってい
た
「さ、シンジはハンデとしてこの長い棒を使いなさい」
「え、良いの?」
アスカは両腰に手をあて、ぶぶっと笑い出した
「ぶぶっ、あんた、それが無かったら3秒でこの世からあ
の世に特急でゴーよ・・・それでも良いの?」
「そ、それは片道切符かな?」
「ええ、そうでしょうね・・・終点まで逝きたい?」
「僕はまだそんな旅行には逝きたくないよ」
と、アスカに笑いながら言い棒を握り締める
「さ、何処からでもど〜ぞ」
「よ、よしっ!い、行くよ!」
「ええっ!」
シンジは長い棒を槍の様に使いそれを両手で持ち薙ぎ払う
「いやっ!」
その、薙ぎ払った棒をアスカは片手で掴み取り隙だらけの
シンジの足を片足で払いシンジを転倒させる
「はぁっ!」
「うわわっ!!?」
ドテ〜〜ンという風に倒れたシンジはすぐ様ゴロゴロと
横に身体を転がしながらアスカから逃げる
「ぷっ、何か面白い逃げかたよねっ・・・武器返すわ」
「いや、いいよ、やっぱり慣れない武器は使わない方が良
いみたいだ」
「そう?あたしは槍みたいな武器は使い易いし好きだな」
と、言いながらアスカは武器をポイッと遠くに投げ捨てる
「じゃ、シンジは三秒であの世ね」
「え、ちょ、て、手加減・・・?」
「あはは、分かってるわよ・・・せめて1分はもってよ」
「うん、じゃあ、改めて行くよっ!」
「ええ、シンジの強い所を見せてねっ」
と、僕は考えた・・・アスカに攻められたら僕は手加減を
されていてもすぐにやられるだろうね、だからこっちから
攻めてみたら本当に一分はもつかも・・・?!
「うわぁっ!!」
シンジはアスカに突進し、走りながら身体をクルッと右回
転させ右の拳で裏拳をアスカに放った、がそこにはアスカ
はいなかった・・・
「えっ!?」
シンジが右回転をした時に一瞬アスカが視界から消えてし
まい、アスカはそのシンジが自分を見なくなった瞬間を狙
いシンジの後ろに回り込んでシンジから姿を消したのだっ
た
「シ〜ンジッ」
「え?うわっ!?」
アスカはシンジの防具がない脇腹に手を忍び込ませシンジ
にコチョコチョしだした
「アスぅあはははっはははひゃひゃひゃ〜〜ごめんっ!ア
ス、クァ参ったかっりゃぁぁぁ!!」
アスカにより無限の笑いの苦しみをもたらされたシンジは
息も絶え絶えにジタバタした
「ぷぷっ、20秒もたってないじゃない」
と、アスカはシンジから手を離すとそう呟いた
「はぁ〜・・・そ、そう?」
シンジはその場でゴロンと後ろに倒れた
「シンジ〜、本当に体力無いわね」
「はぁ〜、だってアスカ、強いんだもん」
「当たり前よ、あたしはプロと戦ってもそこそこ行けるん
だから」
アスカは防具を取り外す、シンジも寝ながら防具を取り外
した
「でも、アスカは本当に強すぎだよね」
「へへ、昔からやってたからね」
アスカもシンジのそばに座り込み何となくシンジの身体を
見てみるとシンジの身体は汗だらけになっていた
「あんた、タオルちゃんと持ってきてる?」
「あ、僕は普段あんまりこういう事しないから・・・」
「持ってないの・・・ね?」
「うん、まあそうだね」
「はい、これを使いなさいよ」
アスカがシンジの顔面に自分のタオルをかぶせた。シンジ
は顔を隠されながら
「わ、良い匂いだ」
「当たり前じゃない、シンジが洗濯したものだからね」
「あ、そうか・・・・あ〜でも本当に疲れた〜」
タオルを首もとに置いてシンジがヨワヨワしく呟く
「ま、今は弱いけど、これから強くなりなさいよね」
シンジは何処か真剣な顔でアスカに呟いた
「僕は弱い、でもそんな僕でも今持てる全ての力を全力で
出しきって危険からアスカを絶対に守るよ」
アスカも最近収得した優しい微笑みをシンジに向ける
「・・・ありがとうシンジ・・・でも、あんたそれが言い
たくてあたしを此処に誘ったの?」
「え?!ち、ちがうよ別に今じゃなくても言うよ」
「へへ、そう?」
と、少し良い気分の二人に緊急事態が発生した
フィーーー!フィーーー!
『総員、第一種戦闘配置。対空迎撃戦用意』
と、あたし達の耳に青葉さんの声が聞こえてきた
「使徒っ!?まだ来るの?・・・って、ほらっ、シンジ早
く立ちなさいよっ」
「ちょっ、待ってよっ」
「あ〜、早くっ」
アスカはシンジの両腕を掴み取り思いっ切り引っ張り出し
た。がアスカはシンジを思いっ切り引っ張りすぎてしまい
自分が後ろに倒れてしまった
「きゃっ?!」
倒れたアスカの体重で一度は起き上がれたシンジだったが
、そのアスカが倒れた反動でシンジもアスカ目掛け倒れこ
んでしまった・・・ズテ〜〜ンという音と共に
「いた〜、シンジさっきあたしを守るって言ったでしょ〜
守ってくれる本人が守る者を苦しめたら駄目じゃな・・・い?」
シンジはアスカの14才ではソコソコ大きい胸に顔を埋め
ながら息が出来ない事にもがいていた
「シ、シシ、シンジ?」
「ぷふっ、うう、アスカァ無茶しないでよ〜」
「こぉのっこのっ!!エッチスケッチバカシンジィィ!!」
パチィン!とアスカは倒れた状態でシンジにビンタを放つ
「グハッ!?」
発令所には待機命令から解放されたレイがプラグスーツを
着込みじっと立っていた
「レイ、待機命令から解放されたあなたは疲れてるでしょ
うが、アスカと頑張ってね」
「はい・・・弐号機パイロットは?」
「そのままエヴァに搭乗してもらったわ」
「それでは私も・・・」
「ええ、頑張ってね」
駆け足気味にレイは走って行った・・・
そして、三人が揃い出撃準備を始めだした
「揃ったわね、初号機は碇指令の絶対命令で凍結だからレ
イ・アスカ、あなた達に戦ってもらうわ」
「・・・攻撃方法はなんでしょうか?」
「今回は使徒が衛星軌道上にいるもんだから」
「超長距離射撃ね?」
「ええ、だから武器は二種類のポジトロンライフルで戦う
わ」
「了解・・・」
「あたしが使う奴は?」
「アスカは連続発射が可能な20Xライフルよ」
「じゃ、ファーストがポジトロンライフル改ね」
「そう、これはシンクロ率が高い方が命中しやすいから強
力なライフルをレイに使ってもらうわ」
「分かったわ、であたしはバックアップ?」
「ええ、良いわよね?」
「ええ、あたしはシンクロ率低いから仕方が無いわ」
「じゃ、二人共出撃っ!!」
「「了解」」
「零号機・弐号機発進!!」
凄まじい重力を感じながら射出される零号機・弐号機
暫くすると地上では射出警報が鳴り響き二体のエヴァが地
下から地上に現れた。地上は相変わらず大雨
「よし、今度こそヘマはしないわよ・・・アスカッ」
自分に言い聞かせるように静かに呟くアスカ、そして地面
から弐号機が使う20Xライフルが飛出てきた
「さぁ、早く来なさい・・・」
あたしは焦った・・・、中々衛星軌道上からこちらに近づ
かない使徒に対しむしょうに苛立った・・・
「アスカっ、落ち着いて」
シンジがあたしの事を気遣ってくれてる・・・
「う、うん、すぅ〜はぁ〜・・・ふぅ」
「落ち着いた?」
「ええ・・・あたし、相当苛々してたみたい」
「頑張ってね」
「うん、助かったわ、ありがとね」
アスカは20Xライフルを空に向けて使徒が射程距離範囲
に入るまでジッと止まっていた。しかしそれも終わろうと
していた。
「射程距離に入った・・・・・・いけっ!!」
ライフルから光弾が三発放出され、勢い良く空に向けて飛
び立っていった
「衛星軌道上の使徒は?」
「・・・駄目ですっ!効果ありません!!」
アスカの使う武器が使徒には有効的ではなかったのでミサ
トはアスカに防御に徹する様に促す
「アスカっ、攻撃は断念してあなたは防御に徹してっ!」
「く、分かったわ・・・」
「ポジトロンライフル改は?」
「まだ30%しかエネルギー充電出来てませんっ!!」
「っ・・・急がせてっ!!」
その時、衛星軌道上の使徒が沈黙を破った。使徒は地上の
弐号機に向け光の光線を放出しだした。
「・・・えっ?!!・・・い、いやぁぁぁぁあああ!!」
「アスカ?!どうしたのよアスカ!!」
「いやっ!いやっ!いやぁぁぁあ!!!やめてぇぇ!!」
ミサトはアスカの凄まじい悲鳴を聞き身震いする
「リ、リツコ!これは一体なんなのよ?!」
「これはっ・・・使徒の心理攻撃?!」
それを確信させるマヤの声
「心理グラフが乱れていきますっ!!」
「いやぁっ!!覗かないで!!見ないでよっ!!!」
「アスカ!戻ってっ!!」
「うぐぐぐぅぅ・・・思うように動かない・・・!!」
モニターに写る弐号機は何かを一生懸命守ろうとするよう
な何処か異様な感じのする動きだった
「僕が初号機で出ますっ!」
と、不意に発令所にシンジの声が鳴り響いた、しかしそん
なシンジの出撃を却下する者がいた
「駄目だ・・・」
「な!?なんでだよっ!父さん!?」
「言う必要は無い」
「そんなっ!このままじゃ、アスカがっ!」
「・・・おまえは黙って大人しく見てろ」
「くっ、もういいよっ!!僕が勝手にするからね!!」
「命令違反だぞ・・・」
「そ、そんなの知らないよっ・・・!」
そしてシンジは拘束されている初号機をむりやり動かし大
切な仲間・・・大好きなアスカを救出しに出撃した
「アスカっ、待ってって!」
「伊吹二尉、エントリープラグを強制射出しろ」
「・・・はっ・・・」
マヤはいやいや手元のキーを打っていく
「駄目です、プラグ側からロックされています」
「・・・それではLCL圧縮濃度を限界まで上げろ」
「・・・はっ・・・・・こちらも駄目です、信号が拒否さ
れました」
「ちっ、俺に世話をやかすな・・・」
ゲンドウの隣で冬月が言い出した
「碇・・・もう、やらせてやったらどうだ?・・・そんな
にシンジ君を困らせるとユイ君に嫌われるぞ?」
「う・・・わかった・・・やらせる」
そんな二人の会話とは対象的に下ではみんなが慌てていた
「零号機、ポジトロンライフル改の充電完了!!」
「レイっ、撃って!」
「くぅっ!!」
零号機がライフルのトリガーを引くと同時に凄まじい爆風
が巻き起こる
ライフルから強力な閃光が衛星軌道上の使徒に届くまで発
令所面々は息を飲む・・・
「日向くん!効果は!?」
「まるで駄目です!この距離からの攻撃は使徒には効果は
ありません!!」
するとミサト達がいる発令所の指令席から声が上がった
「レイ、ドグマに降りてロンギヌスの槍を使え」
「はい」
「い、碇っ?!あの槍は、最終決戦でっ!」
「・・・今、弐号機・初号機を失うのは駄目だ」
「そ、そうだが・・・」
「シンジが行かずとも、レイに槍を持たせて戦わせるつも
りが・・・ちっ、あの馬鹿が」
「だったらそう言えよ・・・お前の方がもっと馬鹿だぞ」
「う・・・」
そして零号機は命令に従い地下のドグマに向けて射出口を
降りていく・・・
「もう、もう駄目です心理グラフが限界に!!」
「そんな!・・・・ア、アスカ!!」
「ぅあぁあぁぁあぁあぁぁあっ!!」
此処は?・・・・何処かしら・・・道路?
(あ〜〜〜んあぁ〜〜〜〜ん)
あれ、あの子・・・泣いてる・・・
(ぅあ〜〜ん・・・ヒックうぇ〜〜ん)
どうしたの?
(捨てられたの・・・)
っだ、誰に?誰に捨てられたの?
(・・・ヒック・・・ママに捨てられたの・・・)
・・・そ、そんな!?これってあたし?!
(・・・うふふ、そうよあたしはあたしなの)
ち、違うっ!あんたなんかあたしじゃないっ!!
(何を言ってるのよ、これはあたしよ)
こんなのあたしなんかじゃない!
(ねぇ?あたしの心ね、捨てられたの・・・だからあたし
の心を頂戴)
いやよっ!なんであんたなんかに!!
(ふふ、でもだめ・・・あたしが勝手にもらうわ)
やめてっ!あたしの中に入らないでっ!
(あ、これはあたしの中にいるヒカリ・鈴原・相田)
いや!いやいやっ!!抜き取らないでっ!!
(こっちはミサト・加持さん)
お願いだから・・・取らないでよぉっ!
(だめよ、あたしの心は全部持ってくからね・・・あれは
ママ・・・ママだっ!これも、もらうからねっ)
ううぅっ・・いやよぉぉ、グス・・・取らないで・・・・
(う〜ん、最高に良い気分だ)
ヒック・・・やめ、もう・・・グス、もうやめて・・・
(良いじゃない、あたしとあたしは同じだから)
お、同じじゃなぃぃ、うぅぅ、みんなを返してぇ・・・
(あら、まだみんなを取ってないわよ・・・うふふ、あと
一人いるじゃないの・・・ほら)
えっ?!いい、いやっ!これだけは絶対駄目!取らないで
よ!
(シンジにいちゃ〜ん、早く行こうよ)
あっ、シンジ!
(やあアスカ、相変わらず元気だね)
(シンジにいちゃん、早くどっか行こう?)
やだっ!シンジぃ、そいつについて行かないでっ!!
(は?君は誰?)
何言ってるのよっ!あたしよアスカよっ!!
(何を馬鹿なことを・・・君、アスカはこのちっちゃいの
だよ)
(そうだよっ!あたしがアスカよ!)
シンジぃ・・・そんなのニセモノよ、お願いだからあたし
だけを見てよぉ!!
(うるさいなっ、おまえは!・・・アスカはこの子だって
さっきから言ってるだろっ!)
(そうよっ!このっニセモノっ!!)
そんなぁ!シンジぃ!あたしを見てよっ!あたしだけを見
て!もうシンジしかいないのよっ!
(も〜・・・うるさいね、こいつ)
(そうだね、もう行こうか?こんなのほっといてさ)
(そうね、にいちゃんっ)
いやっ!行かないでシンジっ!
(さようなら、ニセモノアスカ)
(じゃあね〜、気持ちの良い心をありがとっ、ニセモノ)
もう・・・もうあたしにこんなの見せないで・・・なんで
あたしの心を持っていくの?どうしてシンジはあたしの事
を・・・見てくれないの?どうしてあんな奴についてくの
?もういや、もういやっ!こんなのいやよぉぉぉ!!
「ううぅ・・シンジィ、見てよ・・・あたしだけを見て」
心の世界から現実世界に戻ってきても使徒からの心理攻撃
はアスカを苦しませた、しかしそれもそろそろ終わろうと
している
グガシャァァン!・・・バギャァァン!
エヴァ射出口から大きな爆炎と共に初号機が這い出てきた
「アスカぁぁぁぁあ!!」
「グス・・・シンジ?」
地上まで来るのに5分以上掛かったが初号機は止まる気配
がない・・・それは前の使徒との戦いでS2機関を取り込
んだ為、半永久的に初号機は動かせる様になっているのだ
「アスカっ!」
「シンジッ!シンジィィィ!!」
シンジは初号機を素早く弐号機の側にまで走り寄って行く
「フィールド全開っ!」
シンジは弐号機の前に出ると巨大なATフィールドを展開し
周辺のビルをまっぷたつに切り裂いた
「うぐぐぐぐ・・・ア、アスカっ、今のうちに逃げて!」
「いやよっ!シンジを置いて逃げられないわよっ!」
「なんでっ!?」
「いや・・・いやよっ!もう、一人はいやなのっ!」
「頼むよっアスカ!ATフィールドが全然役にたたないんだ
よっ!だからアスカだけでも・・・逃げてっ!!」
「絶対ヤッ!!」
シンジは使徒からの心理攻撃を受け、少々アスカを乱暴に
しかし何処か優しく・・・
「ぐぐぅぅ、ご、ごめんっアスカ!!」
シンジが叫ぶと同時に初号機は弐号機のエントリープラグ
を強制的に抜き取る、そして出てきたプラグを優しく掴む
、エントリープラグを強制的に射出されたアスカは力の限
り叫び散らす
「なんでぇぇっ!??シンジィィィィ!!!」
初号機は手短に近くのビルにプラグをコトと置く、置いた
瞬間プラグからはアスカが飛び出してきた。
「ひぃ、一人にしないでよぉぉぉぉぉお!!!」
しかしその叫びも空しくシンジには届かなかった・・・
そのかわりに近くのエヴァ射出口から大きな警報が鳴り響
き、そこから零号機がユックリと出てきた
「ファ、ファースト!?」
アスカは少し驚きの声を上げた、それもそのはず・・・零
号機の右手には巨大な二股の長い槍を持っていたのだから
「あれはっ、ロンギヌスの槍!!・・・・は、早くっ、早
くそれを投げてぇぇぇえ!」
零号機は助走を付けながら何百mも走りそしてロンギヌス
の槍を衛星軌道上の使徒に投げ放った。
発令所の職員達はそれを祈るかのように目を閉じる、しか
しそれを見つめるネルフ最高幹部と冬月・ゲンドウ
「・・・!やったっ!!」
それを叫んだのは葛城ミサトだった、その声を聞いた者達
は一気に歓声をあげる、まるで「うお〜〜」と言わんばか
りに・・・
その頃地上では初号機がアスカの立っているビルに近付い
ていた所だ、そして初号機のエントリープラグが半分出る
とハッチが開きそこからシンジが出てきた
「・・・アスカはあんな攻撃をあんなに耐えたのか・・・
我慢強いなアスカは」
シンジはアスカがペタンと座り込んでるのを目の当たりに
して大きくアスカを呼ぶ
「アスカァァァァ!」
その声を聞くとアスカはハッと顔をシンジに向けた
「・・・ウェ、ぅぅう・・・ヒック・・・シンジィ!」
シンジは初号機の背中からビルに飛移りアスカに走り寄る
「アスカッ!」
アスカは嬉しさの余り、腰が抜けて立つことが出来なかっ
た。そのかわりに両手を広げシンジが来るのを待ちうける
「ウァァア〜シンジィィ!!」
アスカの顔は涙の所為でクシャクシャになっていたが、そ
んなのお構いなしに泣き叫ぶ。
「アスカァ」
ようやくシンジがアスカを抱き締めた
「バカァ〜!なんでっ!?なんであんなことしたのよ!」
「ごめん、アスカ・・・あの時はああするしかなかったん
だよ、ほんとにごめんね」
「ウェェエ!このっバッカバカバカァ・・・あたし、本気
であんたのこと心配したんだからぁ!!」
シンジの肩に顔を埋めアスカは泣きじゃくる、そんなアス
カの背中を抱きながらポンポンと優しく叩くシンジ
「本当にごめん、でもねアスカ・・・僕はこう言ったよ」
「ヒック・・・なぁに?」
シンジはアスカを抱く力を少し強める
「僕は弱い、でもそんな僕でも今持てる全ての力を全力で
出しきって危険からアスカを絶対に守るよ・・・てね」
アスカも力強くシンジを抱き締める
「バカッ・・・あんた、強すぎよ」
アスカは悲しみの涙から嬉しい涙へと変わる。シンジは何
となく空を見上げるとそこには綺麗な虹が七色に彩られて
いた・・・
「・・・アスカ、空を見てごらんよ」
「え?・・・」
シンジから離れ手を繋ぎながら空を見上げるアスカ
「グスッ・・・綺麗・・・綺麗な虹だなぁ」
涙を流しながら優しく微笑むアスカ、二人は何時までも綺
麗な空と七色の虹を見つめていた
つづく
次回
−少女は憧れの男の死を予感する、そして少年は−
どうも、流れる音の流れ星です。毎度こんな曖昧な小説を
読んでくださってありがとうです・・・
僕はお年玉が貰える年齢なので、三日前だったかな?エヴ
ァのSECOND IMPACT BOX上巻を購入したんですけど、悲し
いことに僕はまだDVDを持っていない・・・あ〜悲しすぎ
る・・・はぁ
おわり・・・
そ、創さん、何か突っ込みをお願いします・・・なんだか
自分が馬鹿みたいだぁぁぁぁ
な、何でも良いですから、お願いします〜〜〜ぅ
エヴァキャラのツッコミ(笑)
「不様ね。」
「あんた、ばかぁ?」
「おまえには失望した」
「わしはおまえを殴らなアカン!」
「また恥をかかせおって…」
「…不潔」
だそうです。By創
感想はこちらへ
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