NEON GENESIS

EVANGELION

―幸せは何処?― written by 流れる音の流れ星

第壱話

−悲しさ、そして−

 

 

 

夜・・・葛城家

キッチンには二人の男女が居た

キッチン以外の部屋は暗く

静かで

キッチンの水道から時々こぼれ落ちる水滴の音と

電気系統が働く音だけだった

 

最後の使徒を葬り

シンジは一時期崩壊しそうな心を

何とか支えたが

今も夢に出るトウジとカヲルとレイに恐怖さえ覚えている

自分で作り出した夢にすぎないのに

 

 

アスカは崩壊した心から生還して

今もエヴァにシンクロ出来ない

夢に脅え、自分を支えているが

一人になると止め処なく溢れる涙

に悲しさ・寂しさを覚えている

この寂しさを断ち切ってくれる

人物は誰かは分かるが言いたくても

言えない・・・それもそうだろう

何時か自分はその人物を拒絶して

言いたい様に悪態をついていたのだから

 

最近はお互いがお互いを恐がり

あまり近づこうともしないが一定の距離を保って

何も話さず近くに居る・・・

お互いを感じながら

寂しさを紛らわしている

そして今日シンジが思い切ってアスカに話しかけた

 

 

「ねえアスカ」

僕は柱にもたれながらテーブルの椅子に座るアスカに顔を

向け話しかける、顔をアスカに向けるとアスカは頬杖をし

ながらずっと僕を見つめていた

 

「ん?なに」

あたしはびっくりした・・・此処1週間はお互いの顔は

見るものの話すという事は無かった

しかし今日シンジがあたしに話しかけてきた

あたしは少し恐かった、自分がまたシンジに心にも無い事

を話すのが・・・どうしても恐かった

 

「僕の事どう思う?」

「なによ?やぶからぼうに?」

僕はアスカに怒鳴られると思っていたが

アスカからは怒鳴り声が出なかった・・・

少し・・・いや、大分安心した

ほっ・・・

 

「アスカが僕の事をどう思っているか知りたいんだ」

シンジが初めてあたしがシンジの事をどう思っているか聞

いてきたのであたしは隠さずはっきりと言った

「・・最初は自分の目標を妨げる邪魔者だと思っていた」

「・・・今は?」

「・・・今は・・・よく分からない・・けど、いやじゃな

いな。あんたはどうなのよ・・・あたしの事」

 

えっ?!・・・しまった、アスカからそれが帰ってくると

は考えていなかった・・・でもよく考えなくても

アスカをどう思ってるか・・・

「僕は・・・最初はアスカの事パーフェクトだと思った・

・・何でもできるしね・・・家事以外はね」

 

あたしは痛い所を突かれた。家事は練習さえすれば簡単よ

「・・・・い、今はどうなの?」

「・・・よく分からない・・・」

「ア〜〜ンタバカァ?よく分からないって何よ?」

 

僕は今までアスカの事で考えても分からなかった事を

聞いてみる・・・因みにアンタバカと言われ少し安心

「ねえアスカ」

「ん、なに?」

「僕ねアスカの事が聞きたい・・・良いでしょ?」

 

・・・シンジから何か話してって言われても

あたしには明るい過去が無いから話せない・・・

良いの?・・・自分の暗い過去を話しても?

でも・・・シンジになら話しても良いかも

ねえママ・・・

「・・・余り良い話しじゃないわよ・・・まあ、あんたが

珍しく質問してきたから話してあげる」

「ありがとうっ」

あっ、シンジの顔が少し微笑んだ

な、何よあの優しい顔は・・・?

「あ、あた・・・あたしの隣に座りなさいよ、その方が聞

こえやすいでしょ?」

「うん」

 

僕はすくっと立ち上がりアスカの隣に座る

椅子を引き出すとアスカから遠すぎず近すぎずの隣に座る

「ごめんね、図々しく聞いてきて」

「いいわよ、別に今は嫌な気分にならないから」

あたしは左隣に座るシンジの方へ目線を変える

「それじゃ、昔話をしましょうか・・・」

「うん」

 

僕はす〜っと目を閉じアスカの言葉に集中する

アスカは僕が目を閉じると静かに何処か優しく

「昔々・・・ある所に小さな女の子とお母さんが居ました

その子の母親は優しく強く暖かい人でした。その人の名前

はキョウコと言いました。小さな女の子は…」

「・・・アスカ」

「ええ、その母子は掛け替えの無い家族でした、母は仕事

で何時も夜遅く帰ってきましたが休みの日は二人でよく買

い物をしたり公園で遊んだりそれはそれは幸せでした。時

は2005年・・・アスカの母はネルフ・・・ドイツ支部

ではそこそこの身分がある人でした。ある時ドイツでエヴ

ァの機動実験がありその実験の被験者にされ・・・そのま

ま帰らぬ人となり・・・いいえ・・・母は帰ってきた、し

かしそれはもう何も無い空っぽの抜け殻で・・・

母は精神を心を無くし何もかも忘れてしまい・・・

母はあたしを見ずに自分の手もとにある人形をアスカだ

と思いそれを抱き締めていました。アスカは母が人形とた

わむれるのを羨ましそうに見ていました・・・・・・・・

そして、ある時アスカの下にネルフの職員がやってきて 

『君は選ばれた人間、私達と来てください』 

アスカは何に選ばれたか気づいていました・・・エヴァ弐

号機・・・アスカは自分が特別な存在だと思い・・・世界

を守るエリートになり・・・・それを母に言えば母は自分

を見てくれると信じていた・・・アスカは綺麗な黄金色に

染めた草原を力の限り走った・・・そして母が居る精神病

院につきました、アスカは母が居る個室のドアを開け母が

居るはずのベッドを見つめた・・・しかし母はそこには居

なかった

不意にアスカは宙に浮かぶ足を見つけ部屋の天井を見つめ

た・・・そこには空中にぶら下がる・・・母が居ました・

・・母は幸せそうな顔で笑って死んでいました、ふとアス

カは床に転がる人形を見つけた、その人形は首がちぎれ横

たわって笑って死んでいました、アスカはこう思いました

そうか・・・あたしも死んだのか・・・もう・・・今日か

ら泣かない一人で生きていく・・・そして少女の悲しい人

生が始まりました・・・・おわり・・・」

 

僕は目をユックリと開けると隣に居るアスカを見た・・・

僕がアスカを見るとアスカが小刻みに震えているのを目の

当たりにした

僕はそんなアスカに

自分が思った事を口にする

「アスカ・・・人は誰もが悲しい時・・・泣くんだよ・・

・泣いたって誰もアスカを責めないよ・・・ね、アスカ」

僕が言うとアスカがどんどん大きな声で泣き始めた

「ぅ・・・ぅ・・ぇ・・・ぅぇぇぇえええええ!!」

アスカは激しく泣きじゃくった

大声を上げ・・・髪は乱れ、顔もクシャクシャにして

「あぁぁあああああああヒックうええええぇぇ!!」

「アスカ・・・・」

テーブルに顔をふせアスカは僕に泣き顔を隠す

僕はそんなアスカの背中を身体全体で抱き締める

「アスカ・・・悲しい事を思い出させてごめん」

 

あたしは自分からシンジに過去を話して

複雑な感情を持った

安心・嬉しさ・悲しさ・孤独感を・・・

「うううぅっ・・・つ、強くヒック・・・抱き締めてぇ」

 

僕は抱き締める力を強くする

アスカの震えを身体全体で感じ

 

あたしはシンジに痛い位抱き締められたが

自分の身体の奥底から出てくる震えが治まらないので

「もっと!強くっ!」

「うん・・・」

「もっともっと・・・あたしがシンジから逃げられないよ

うにもっと力を込めてっ!!」

「アスカっ!!」

何時の間にかアスカは僕の肩に顔を埋め力強く僕の背中に

腕を回す

「あたしはこれから生きていくには悲しすぎる思いを一杯

背負ってしまった・・・シンジィ〜・・・あたしを離さな

いでぇ・・・絶対に」

「うん、絶対に離さない・・・」

「今日、頑張ってあたしに話しかけてくれて・・・本当に

ありがとう」

アスカが顔を上に向け目を閉じる

「アスカ・・・」

僕は知らず知らずアスカにキスをしていた

「・・・ん・・」

長い長いキス・・・このまま時間が止まってしまえばいい

のに・・・このキスが終わるのと同時にアスカを苦しめる

過去を消し去れればいいのに

そしてキスもおわり

何時しか、どちらからともなく

お互い抱き合っていた身体を離す

僕はアスカからどうしても聞きたかった事を聞きだそうと

ある事をする

 

あれ?シンジがあたしから少し離れる・・・

どうしたのシンジ・・・側に居てよ・・・

もうあたしはシンジ無しの生活はやって行けないのよ・・

だからあたしを見つめてよ・・・

どうしてあたしに背を向けるの?

あたしの事きらいになったの・・・・?

 

僕はアスカから2m位離れ

アスカに背を向けしばらく呼吸を整えた

今から言う事は殆ど告白みたいな事だからね・・・

そして僕は後ろに居るアスカに身体を向けた

 

シンジ・・・?

どうしたの?

顔が・・・真っ赤っ赤よ・・・?

なんでそんなに真剣な顔を・・・?

 

僕は思い切ってアスカに語った

「アスカ・・・こんな時に言うのは卑怯だと思う・・・け

ど今じゃなきゃ多分僕は一生掛かってもアスカに言えそう

にないから・・・今此処で言うよ」

 

あたしは嬉しさに身体を震わせた

シンジ・・・それってまさか・・・

「う、うんっ・・・・」

 

「僕は・・・自分が生きていくにはアスカが必要なんだ・

・・アスカの事が好きなんだ・・・・・・アスカの返事・

・・その・・えっと・・・聞かせてくれないかな?」

と僕は言いアスカに手を差し伸べた

 

あたしはそれを聞き、

また大きな声をあげ泣きだしちゃった

「シンジィ〜!あたしも・・・あたしも!シンジ無しの人

生はいや!・・・ヒックあたしもシンジの事が好き・・・

大好き・・うぅぅうう・・・うぇえぇええっえええ!!」

 

シンジがあたしの事を必要としてくれている

あたしもシンジの事が必要

もう、悲しいのも寂しいのも嫌なのっ!

・・・あたしは分かった・・・どうしてシンジが少し離れ

たか・・・あたしの本当の気持ちを知りたかったのね

 

アスカが2歩歩き僕が差し出した

手の平を両方の手で包み込む様に

握り締めた

 

「アスカッ、ありがとう・・・」

僕は残った腕でアスカを抱き締めた

もうアスカの震えが無い

 

「絶対幸せになろうね」

「うん、絶対・・・幸せをアスカに贈るよ」

「ありがとシンジ・・・あたしも贈るわ」

そしてあたし達はどちらからとでもなくもう一度

キ、キキ、キスをし、しちゃった

なんかさっきより恥ずかしい

 

長い長いキスもおわり

アスカの顔を見つめると

 

「ぷっ、アスカの顔がとろんとしてるよ」

「な、なによぉ・・・バカシンジのくせにっ」

 

あたし達はお互いを見つめ合って何分が立っただろうか?

あたしはやばかった・・・

駄目・・・眠たい・・・あ、あくびがでちゃうっ

 

「ふぇ・・ふぇ・・・ふわああぁぁぁぁ・・・・あ・・」

 

僕は最初・・・くしゃみかと思った・・・

「ぷぷっ、アスカもう寝ようか・・・遅いしね」

 

「へへ、そうねっ」

あたし達はお互いに寝る用意をして

お互いの部屋の前に行き

「おやすみっ、バカシンジ」

 

「おやすみ・・・アスカ」

僕はアスカが自分の部屋に入っていくまで

アスカを見つめていた

「さてと、僕も眠ろうかっ」

僕は嬉しかった

お互いを愛し合い

お互いを守り合い

お互いを理解し合い

最高に嬉しかった

 

そして長い眠りの時間がやってきた

「今日は嫌な夢は見そうにないわね」

 

「今日は良い夢が見れそうだ・・・」

 

 

僕はふと思った

「ミサトさんってまた飲んでるのかな??」

 

つづく

 

 

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ありがとうです

ー幸せは何処?ーは(短編)

僕が初投稿した作品より

頭を一万一千回転させ作ったやつです

しかし僕はワンパターンなんですよね

此処は変やったよのお返事が貰えるとうれしいです


創さんのこめんと

矢継ぎ早にこの作品が送られてきました(笑)

作品の掲載に当たっては、作者さんもいろいろとパニックになったようですが、

がんばって書き続けるとのことでした。

この作品は、短編のようです。

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流れる音の流れ星さん

 

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