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KJの自選による、本やテレビ番組で読んだり見たりした怖い話>
「水で死ぬ」
〜「新「超」怖い話Q」(勁文社文庫)より〜
ある女性が美術大生の頃、新入生歓迎コンパでたまたま隣りに座った新入生の
女の子が告白した話である。
その女の子は片時もグラスを手から離さず、いきなり「私、水で死ぬの…」と
言う。
彼女が小学生のとき、転校生の女の子を仲良しの友人たちと3人で、いじめて
いた。いじめは次第にエスカレートしていき、あるとき転校生の父親が亡くな
り、2週間学校を休んで出てきた転校生を見て、「親が亡くなったのに平気な
顔してる」と気に食わない。
3人は転校生の父親の墓へ行き、こともあろうにその墓にマジックで落書きを
始めた。そこへ転校生が墓参りに来て、3人がやっていることを見て、血相を
変えて突進してきた。
3人は身をかわしつつ、転校生を突き飛ばし、転校生は墓石に頭をぶつけ、白
目を向いて気絶してしまう。さすがに3人は怖くなり、逃げようとした途端、
転校生が白目をむいたまま、むくりと起き上がり、3人を一人ずつ指差して、
「お前は火で死ぬ」
「お前は鉄で死ぬ」
「お前は水で死ぬ」
とつぶやいた。3人は悲鳴を上げて逃げ出した。
小学校を卒業し、転校生も関西へ出てしまい、3人もこのことは忘れかけてい
たが、ある日、3人の中の一人から彼女に連絡が入り、別の一人の子がたき火
をしていて、ライターに引火し、焼死したと知った。その連絡をした子も、後
日バス事故に巻き込まれて死んでしまう。
こう告白した彼女は、今は海や川、プールや温泉、果ては水族館に行くことも
しないと言う。
コンパが終わってまもなく、告白を聞いた女性は、女の子が死んだことを知る。
死因は肝硬変。若いのに不安を紛らわすためか、酒を飲み過ぎたのが原因であ
った。
「舞うと死ぬ曲」
〜フジテレビ「奇跡体験アンビリバボー」で紹介された話〜
日本古来の音楽、雅楽の中に、舞うことを禁じられた曲がある。
「採桑老」と言う曲がそれで、舞い方を細かく書いた物は伝わってるものの、
舞おうとする人はいない。人前で舞うと必ず死人が出るからという。
ある雅楽の舞踊家が、偶然「採桑老」の舞い方を書いた書物を見つけ、渋る師
匠に熱心に頼み込んだところ、「人前で決して舞わない」という条件で舞いを
教わった。
師匠が引退し、たまたまその「採桑老」を舞わないかという話が持ち上がって
くる。舞踏家は迷ったが、結局やることに。
しかし、稽古前に舞踏家が、衣装を着けた自分が舞台の上で死んでいる夢を見
たのを皮切りに、楽器を演奏する人が稽古中に血を吐いて入院したり、面職人
がガンで倒れたり、話を持ち掛けた舞台監督の息子が原因不明の病にかかって
しまい、とうとう舞踏家は公演計画を全て中止してしまう。
それからというもの、倒れて入院していた関係者が、皆嘘のように回復してい
った。しかし、面職人だけが、一旦回復して退院したものの、ほどなく急死し
てしまう。なんと面職人は退院後、「採桑老」の面を完成させていた。
舞踏家は面を寺に預けて供養してもらい、今も供養を欠かさないという。
なお、雅楽では国内最高峰の楽団を抱える、宮内庁ですら、この曲だけはみん
な恐れて演奏しないらしい。
「採桑老」とは、決して手に入ることのない不老不死の薬を求める老人を描い
た舞曲である。
「ヨセヨ、ヨセヨ…」〜「お化けの住所録」
(二見書房・絶版)より〜
作家の、故・平野威馬雄さんが出した名著に「お化けの住所録」がある。
日本全国のゴーストスポットをまとめあげた、日本初の本と言えるかもしれな
い。残念ながら、現在は絶版らしい。10数年程昔の本だけに、ゴーストスポ
ットの情報も古くなったからだと思う。
そのゴーストスポットの中でも、今も通用するものも多いが、中でも京都の円
山公園内の公衆トイレの話は怖い。
ある男性が、用を足したくなり、夜中に円山公園のトイレに入った。「大」の
方なので、個室でしゃがんでホッとしてると、誰かが背中をトントン叩いて、
「ヨセヨ、ヨセッタラ…」と言う。その男性、結構酒が入ってるので、怖いと
も思わず、無視を決め込んでいた。
また背中をトントンと叩かれ、「オイ、ヨセヨ、ヨセヨッテバ」と言われる。
せっかくホッと幸せな気分にひたってるのに、邪魔をするのはどこのどいつだ
と、怒った男性は後ろを振り返り、次の瞬間腰を抜かしてへたり込んでしまっ
た。
男性が見たものは、宙からブランとぶらさがる、2本の足の爪先であった。
それが背中を叩いていたのであった。
その爪先から視線を天井に移していくと…。
この光景を想像してください。
「山が呼ぶ」
〜番組名は忘れたけど、私が小学生のときに見た番組より〜
随分昔見たのに、今も鮮明に覚えている、怖い実話である。
ある日、山で友人同士二人が遭難死した。同時に死んだのではなく、先に死ん
だ友人の死体を抱えて下山する途中、もう一人も遭難死したのがわかった。
その遭難死した男の遺留品であるメモに書かれていた恐怖の出来事である。
二人の内、一人が足を滑らせ、滑落死した。残った一人は死体を寝袋に入れ、
下山し始めた。すると、山のどこからか、「おーーい」と呼ぶ声が聞こえた。
何か、死んだこいつの声に似てるな…と思ったが、気のせいだと気を取り直し
てまた寝袋を担いで歩を進めた。
歩を進めるにつれて、なんだかだんだん、寝袋が重くなってくる。登山で鍛え
てるから、人一人担ぐぐらいなら何とも無いのに、やはり疲れが出てきたのか
な…。
ちょうど、道端にちょっとした広いスペースがあった。そこに寝袋を下ろし、
一服しようとして、ポケットを探ると、ライターが無い。仕方なく、友人の死
体から友人のライターを借りようと、死体のポケットを探ると、貸した覚えも
無いのに、自分のライターが出てきた。
日も暮れてきたし、とりあえずここで夜を過ごすしかない。
…相変わらず、「おーーーい」という声は続いてるような気がする…。
水を汲みに、小川へ降りてきて広場へ戻ると、何と死体が消えている!熊にで
も咥えられてしまったのか?とあわてて付近を捜すと、ちょっと離れたところ
に死体を入れた寝袋があった。奇妙なことに、まるで死体が勝手に移動したか
のように、寝袋に乱れが無い。
ホッとして、寝袋に手を掛けようとしたとたん、男は恐怖に思わず悲鳴をあげ
た。今までしっかり閉じていた死体の目がカッと見開いていたのである。
…死後硬直だ、何でも無いことなんだ、そう思おう。…
その晩、広場で夜をあかしながら、男はたき火のそばで、この日のことを日記
としてメモにしたためた。
メモに書かれていたことは、これだけである。
しかし、不可解なのは、下山途中なのに、二人の死体が見つかったのは、最初
に死んだ男が滑落した場所だったことであった…。
まさに、「おーーーい」という声に誘われたかのように、ふたたび山に戻って
いったのである。
「生き人形」
〜「恐怖耳袋1」(朝日ソノラマ)収録・永久保貴一著〜
あの稲川淳二の体験談でも、最大の恐怖を持つエピソードを、永久保貴一がコ
ミック化したもの。
稲川さん自身も、最近ではテレビなどでは、この話をめったにしなくなったが、
というのも、この人形に関わった人はほぼ例外なく霊障を受けてしまい、死人
も何人か出てしまったからである。
人形に憑いている、という子供の霊を、大阪のテレビ局が生で映してしまった
という騒ぎまで、実際に起きている。
また、この話をテープだったかCDにして発売しようという企画もあったが、
発売後すぐに、凄まじい霊障が購入した人に起きたため、稲川さん自身の強い
希望で、すぐに発売中止になってしまった事件も実際にあった。
永久保さんも、コミック化にあたって、散々な目に遭っているし、その詳しい
事は「恐怖耳袋1」にエピソードとして収録されている。
ちなみに、人形の霊障は現在も進行中なので、どういう話かは、直接コミック
を購入して読んでください。
私も話の中味を書いて、どんな目に遭うかわかったものではないので…。
とにかく怖い。
「筑波学園都市の怪」
京都に住む知人から聞いた話である。
彼は、学生時代は筑波学園都市にある大学に通っていた。
当時の学園都市は、街灯もかなり少なく、夜はとても寂しく、子供が
夜遅くまで遊べるような環境ではなかった。今もそうだが…。
彼の住んでいたアパートには、「子供の幽霊が出る」という話があり、
彼自身も遭遇したそうだ。
夜遅く、アパートの自室のドアを開けた途端、真っ暗な部屋の中から
子供が脇を駆け抜けて、あっという間に見えなくなってしまうのであ
る。
自分の持っている鍵で開けるまでは、確かにドアには鍵がしっかりか
かっていたし、前述したとおり、子供が夜遅くまで遊べるような環境
ではない。
しかし、知人はこうも言った。
「脇を駆け抜けていくぐらいなら、まだマシだぜ。ある先輩なんか、
ドアを開けた途端、入り口の天井からいきなり子供がさかさまにブラ
ンと下がってきて、腰を抜かしたって言うしさ…」
「心霊写真」
私(KJ)が中学生のとき、クラスメートと面白半分で、心霊写真を
撮ろうということになり、「お焼き場」つまり火葬場に行くことにな
った。
当時、火葬場は故郷の町のお寺のはずれにあり、周りは竹薮で囲まれ
た、昼間でもちょっと気持ちの悪い所。
今では郡内共同の火葬場が出来て、取り壊されて更地になっているが。
さて、何枚かバシャバシャ撮って、「じゃ、後で出来たら見せ合おう
ぜ」と、その日はクラスメートと別れた。
しかし、私は帰宅した途端、熱が出ていきなり寝込んでしまった。
夕方になって、また唐突に熱が下がったので、「何だ何だ?」と思い
ながらも起きて、下の居間に降りてみると、母と兄が怒った顔で待っ
ていた。
「お前、お焼き場に何しに行ってたんだ!」
「何って…あの、写真を撮りに」
「この馬鹿!」
私たちがお焼き場に行ったのを見た近所の人がいて、母に言ったそう
で、私がカメラを持っていたのを見ていた兄が、私が寝込んだとき、
「もしや…」とフィルムを引っ張り出して、さっき燃やしたというこ
とであった。
燃やし終えたときに、私が下に降りてきたというわけである。
一緒に行ったクラスメートも、それから3日ばかり「風邪」とかで学
校を欠席した。フィルムは親に没収されたらしい。
以来、私は「心霊写真」を意識して撮るようなことはしない。
「T印刷の独身寮で起こったこと」
私の勤務先は、T印刷である。D印刷と双璧をなす大手だが、元上司
に言わせると「潰れそうもない」ことが取り柄で、賃金レベルは低い。
情けないけど…。
そのT印刷の、板橋区にある工場の男子独身寮で実際にあったことで
ある。
T印刷の男子独身寮は全て、二人一組の相部屋である。
ある部屋に住む二人のうち、一人が飲み会に出かけていた。もう一人
は早々にベッドに潜り込んでしまった。
深夜にドアの開く気配がして、隣りのベッドで「ドサッ」という音が
したので、「あ、帰ってきたのか…」とそのまま気にせず寝てしまっ
た。
翌朝、飲み会に行っていた人がベッドの上で冷たくなっていた。
死因は急性アルコール中毒による心不全。
死亡時刻は、ちょうど彼が帰ってきた時間であった。
可哀相なのは、死体と一晩過ごした格好になった、もう一人である。
その後、心身に異常を訴えて、まもなく辞めていったそうである。
ぺんぺんの足跡
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