歯科医学教授要綱(平成6年改訂)の口腔外科学教授要綱によると、口腔外科学の教授の目的として、 「口腔・顎・顔面ならびに、その隣接組織に現れる先天性および後天性疾患について、その原因、症状、診断、 治療ならびに予後について教授する。また、これら疾患の診断と治療方針の決定に際し、全身症状を関連させ て理解できる素養およびこれら疾患の予防に関する知識を身につけるよう教育する。」 と規定しています。 佐々木元賢編著「口腔外科学」(口腔保健協会,1995)によると、 口腔外科学は「総合咀嚼器官の外科学」、すなわち「咬合と顎運動、顎関節を軸にした咀嚼機能に関する外科学」 であり、外科領域の3大疾患(腫瘍・外傷・奇形)への挑戦、すなわち「口腔癌、顎・顔面・口腔の損傷、唇・顎・口蓋裂 をはじめとする先天異常への取り組み」、「顔面形態の再建、顔面美の外科学」であるとも述べています。
「歯科口腔外科」(歯科医院)で取り扱う口腔外科的疾患
大学病院や大きい病院の口腔外科が取り扱う疾患は広範で、難易度の高い疾患も多く、種類も多岐にわたります。 しかし、個人の医療機関では設備・スタッフの能力によって取り扱う疾患は大きく異なります。ここでは私の歯科医院で 治療した口腔外科的疾患のいくつかについて具体例を挙げて説明します。一部は口腔外科症例のページでご覧になれ ます(上の写真は、お二人とも術後性上顎嚢胞の手術後に入院された患者さんです)。
(1)口腔・顎・顔面の外傷 歯の外傷(歯の脱臼など) 口腔粘膜・顔面軟組織の損傷(舌の咬傷、顔面の裂傷など) 顎骨の損傷(下顎骨骨折など)←クリックしてください (2)口腔・顎・顔面の炎症 歯性感染による顎骨骨膜炎(口蓋膿瘍、皮下膿瘍など) 歯性感染による急性口底炎 (3)口腔・顎・顔面の嚢胞 歯根嚢胞(歯根尖切除術など) 含歯性嚢胞 術後性上顎嚢胞 粘液瘤(ムコツェレ)←クリックしてください ガマ腫 (4)口腔・顎・顔面の腫瘍 良性腫瘍(エプーリス、乳頭腫、歯牙腫など) 悪性腫瘍への対応 (5)外科的矯正 歯の外科的矯正 歯の外科的萌出(埋伏歯の開窓と咬合誘導) 顎変形症(顎矯正手術) (6)形成と再建 小帯異常の形成手術(舌小帯、上唇小帯など) 義歯性線維腫の除去手術 骨瘤の除去 歯槽堤形成術 上顎洞穿孔の閉鎖手術 顔面外傷後の変形および瘢痕の二次治療 口唇口蓋裂手術後の二次治療←クリックしてください