[目的]
慢性関節リウマチ(RA)は続発性骨粗鬆症の代表的疾患としてあげられることが多いが、腰椎骨密度の実際の測定では大量ステロイドを使用した例を除き、殆ど骨量減少を認めないとされる。すなわちRAによる全身性の骨粗鬆症の多くはステロイド治療が主因であるとする報告もある。RAに少量のステロイドを使用した時の腰椎骨量への影響については結果が確定していない。我々は女性RA患者において腰椎骨密度と少量ステロイド治療との関連を年齢別に検討した。
[対象及び方法]
ステロイド未使用あるいは10mg以下の少量のステロイドでコントロールされている35才〜80才の女性リウマチ患者101名において腰椎の正面、側面X線を撮影、QDR−1000plusにて第2〜4腰椎の骨密度測定、StratecのpQctにより橈骨骨量を測定した。全例について同一の測定者が骨量の測定と解析を行った。
[結果及び考察]
RA患者における骨量に関しては重症度に相関し骨量減少するとの報告もあったが、その減少の程度は著明でなくステロイド量の関連との見解が一致していない。最近ではRAのコントロールが良好に行われ、ステロイドが少量にとどまっている場合には有意の骨量の減少は認められないとする報告が多い。我々の検討でも同性、同年齢で比較すると著明な骨量の減少は認められなかった。ステージ、Lansbury
Indexとの関連も検討したが減少の程度は著明でなく相関も明確でなかった。年齢群でさらに検討を行ったところ、10mg以下の少量のステロイドを使用した場合、60才以下ではステロイドによる影響は殆ど認められなかったが、60才以上の症例では用量反応性に骨量減少が認められた。高齢者で少量のステロイドが骨減少の促進に働くのか骨硬化の抑制を示すのかは不明であるが興味深く思われた。
[結語]
女性リウマチ患者に於て少量のステロイドを使用した場合年齢により骨減少反応が異なる可能性が示唆された。