繁忙期の休日開庁日 突然追加で2週連続に
システム負荷軽減のため職員が犠牲に
今年の繁忙期の休日開庁 突然の計画変更
3月末から4月当初、市民の住所異動が集中する時期であり、市民課などの窓口は繁忙期となります。
窓口の混雑緩和と市民の利便性向上のため、平日は19時までの時間延長、そして土日の午前中を休日開庁としています。今年は3月28日(月)〜4月4日(月)で、4月2・3日(土・日)を休日開庁日として、住所異動届とそれに伴う国民健康保険や児童福祉関係の手続きを行うため、職員が出勤・時間外勤務をして対応するよう予定していました。
ところが突如、元課である企画総務局総務課から、「3月26日(土)・27日(日)も休日開庁日とする」との通知がありました。
マイナンバーカード普及率増でシステム障害の懸念
職員は2週間連続で土日出勤を強いられることになり、職員によっては3週間の連勤になりかねない内容です。繁忙期で多忙の職員にさらなる負担をかけるにも関わらず、急に開庁日を増やしたのは、地方公共団体情報システム機構からの依頼があったからです。
同機構がなぜ、自治体の休日開庁に口をはさむのかと言えば、マイナンバーカードのシステム状況に起因します。
昨年は、マイナポイントの申し込み期限の関係で、3月・4月はカードの新規発行が大幅増となっている時期でした。
これに住所変更によるマイナンバーカードの券面情報の更新処理等が重なり、住民基本台帳ネットワークシステムに全国的な通信の集中による大きな負荷がかかって、通信が極端に遅くなりエラーが生じるなどカードの処理が困難な状況が生じました。
今年は、新規発行件数は昨年ほどではないものの、マイナンバーカードの取得率が倍化しているため、通信の混雑が予想されます。そこで、通信処理を少しでも分散するために、特に人口が多い政令市で土日を開庁して、円滑なシステム運用への協力するよう要請があったようです。
実際は効果の薄い取り組み
しかし、実態としては、4月に入って増える転入届と異なり、3月中に多い転出届では、住基ネットシステムを使用することは少なく、周知期間が短いために3月の休日来庁者数自体も知れています。システム負荷の軽減効果は微々たるものと考えられるなか、職員のプライベートの犠牲ばかりが大きい休日開庁となりそうです。
この間、組合交渉のなかで指摘している「システムが人を助ける」のではなく「システムを職員が助ける」を地で行く状況です。
また、「現場の意見を尊重すべき」という組合からの指摘も届かず、相変わらず現場は振り回されています。
実態に目をつむる国 甘い見通しで現場に負担
総務省は、マイナンバーカードの普及率を引き上げることに懸命ですが、現在、全国で4割程度の普及率で、こうした事態になっています。さらに普及が進んだ場合、窓口はさらに混雑し、システム負荷も大きくなります。
総務省のカード普及の計画の見通しが甘く、現実を見ていない―そのことも現場にさらなる負担を強いている一因と言えます。
要求に対し 改善もあったが
進まない処遇改善…
会計労組 調理員支部回答交渉
3月11日、会計労組・学校給食調理員支部は10月28日に提出した要求書に対する回答交渉を行いました。
待遇面についての回答
教職員課穐鹿課長より待遇面について、「今回に限り一時金の引き下げ月数を緩和・昇給の上限の引き上げを行う」「地方自治法で正規職員と同様の手当などを制度化することは出来ない」「来年度は夏休み中の研修に6時間調理員も参加できるよう検討中であること」「通勤先は全体のバランスを考慮して適切に配置をする」と回答を受けました。
応援パート制度について改善策提示
応援パート配置校と未配置校とで不平等感があったり、うまく機能できていないと感じている現場の声を受け、今後の改善策についても説明がありました。引き続き現場の実態を把握し、私たちと協議の場を設けていくということです。
給与加算支給 学校給食調理員は対象外
国の処遇改善事業として、保育園の調理員は給与加算が支給されています。これについて教職員課は「人事給与課と協議したが、学校給食調理員は対象にならなかった」と説明しました。この回答にその場は愕然としました。
学校についての条件も早く見直してほしいと改めて要求し、現場の声を伝え続け粘り強く交渉していきます。
正規不採用・パートは欠員
来年度の体制に不安高まる
学校給食の提供体制等に対する申し入れ書提出
3月2日、学校給食調理員協議会(調理協)は、教職員課、健康教育課に対して申入れ書を提出しました。その主な内容は、「大規模センター化反対」「正規調理員の採用」「中学校給食の開始にむけての不安の払拭」等です。
速やかな正規の採用を
提出にあたり、調理協平野議長が発言し、
●そもそも、大規模センター化について、調理協は承諾した覚えはなく、それを理由に正規調理員を採用しないこと、大規模な施設改修を行わないことについて、納得できるものではない。
●臨時的任用職員は、あくまで正規の欠員を臨時的にカバーするものとし、速やかに正規を採用していただきたい。
●正規として働いたことがない者に正規の職を負わせるのであれば、あらゆる面で考慮した配置としてもらいたい。
●中学校給食のスタートを前に、あまりにも情報伝達が遅すぎる。早急に今後のスケジュールを各校に下ろしてもらいたい。
と述べました。
今後の職員の採用 いまなお検討中
調理員の発言に対して、教職員課穐鹿調整担当課長は、「正規調理員の採用については、今後、センター化に向けての具体的なスケジュールが明らかになれば検討する。現時点での採用は、65歳定年までの雇用の継続が測れないため難しい」「臨時的任用職員の採用は、苦渋の選択。正規不在校の数次第で、継続して雇用する予定」「6時間パートは、来年度も欠員が予想され、65歳を超えた方に留任を依頼しているところ。募集の工夫、処遇改善に向けた方策を考えなければならないと考えている」「応援パート運用の不公平感を払拭する手立てについても課内で検討中」と回答しました。
健康教育課田中課長補佐は「中学校給食のスタートについて、1月下旬に学校名を発表した。校長会で説明は行った。2月から各校の訪問を開始したが、これからの学校もある」と、回答しました。
市職労塩見中央執行委員長は、「臨時的任用職員は、地公法に基づくものであり、あくまで正規の欠員に対するもの。本来、置くべきものだと認識しているのか。認識しているのであれば、なぜ採用しなかったのか。来年度に向けて十分検討していただきたい」と言及しました。
設備の定期点検 今後も要求していく
併せて、3月3日に、ガス機器の業者による定期点検の実施について、施設課、学事課と協議を行いましたが、12月に行った回答交渉における当局回答から、前進した回答は得られませんでした。今後、施設設備の老朽化はさらに加速すると予想されます。調理協は、各職場に対して日々の業務の中で少しでも違和感を感じたら、迷わず業者の点検を受けるよう周知するとともに、センター化ありきの予算編成に屈することなく、業者による定期点検の実施を強く要求し続けます。
「ポイントで釣る」デジタル化
普及のためには非効率でも税金投入?
6月実施の見通しで「2万ポイント」付与を宣伝
マイナポイント第2弾のテレビCMも始まり、最大2万ポイントを付与するという、マイナポイント制度が動き出しました。と言っても、現在は、新規にカードを取得した場合に付与される5千ポイント分(第1弾)が、期限を設定しなおして再開された状況に過ぎません。
残りの1万5千ポイントはシステム構築の関係で6月頃の実施が見込まれている段階であり、まだ始まっていない「2万ポイント」を宣伝しているのです。
もしこれが、一般の会社のCMだとしたら、誇大広告と批判されて炎上してもおかしくありません。今すぐ2万円もらえると錯覚させるかのような「広報」です。
マイナンバーカードの普及率を向上させるため、こうした手法をとることに疑問を禁じえません。
個人情報流出のリスク それを無視したカード普及
マイナンバーカードについては、「個人情報の流出等のリスクはないのか」との懸念が付きまとっています。安全性を確保するために、セキュリティ対策がされていないわけではありません。しかし例えば、高齢者を騙してマイナンバーカードとその暗証番号を入手するのは、銀行員や警察官のフリをしてクレジットカードをだまし取るのと同じくらいの難易度でしょう。
インターネット環境があれば、様々な手続きが可能になるマイナンバーカードは、ひとたび暗証番号とともに、誰かの手に渡れば、他人になりすまされる危険が大幅に増します。「誰かと対面することなく、様々な手続きができる利便性」が高まれば高まるほど、不正な方法でカードを入手することの「価値」も高まり、裏で高額で取引されるといった事態が起きても不思議ではありません。
また、高齢者がカードといっしょに暗証番号のメモを財布やカバンに入れるケースは少なくありません。健康保険証の代わりとして持ち歩き、それを紛失したり、盗まれたりしたらどうなるのでしょうか。
個人情報を心配する心情と「ポイント」を天秤にかけさせる
総務省は、こうした危険性を想定して安全だと言っているわけではなく、暗証番号のついた電子証明書と顔写真がついているから「安全です」と言っているに過ぎません。安全性を高めようとすればカード交付の手続きが複雑になるし、取得希望者が減るため、目をつむっています。そして、多額の税金を投じて「2万ポイント」でカード取得を誘導しています。
市民の中には、「本当は危ない気がして持ちたくないけど、生活のためにポイントは必要」と、このやり方に腹立たしさを感じながらも、カードを受け取る気持ちを窓口で吐露する方もいます。
制度の矛盾を感じている市民が多いため、カード普及が進まないのに、さらに無理やりカード普及を進めるには、より多くの税金を投じることになりかねません。
マイナンバーカードよりもコロナ対応を優先せよ
いま、こんなことをしている場合なのでしょうか。私たちの加盟する全国組織の自治労連では、自治体はコロナ対応で大きな負荷がかかっており、緊急性がないマイナンバー関連事業の事業展開を抑え、コロナに集中するよう総務省に要請しています。
お詫びと訂正
3月10日付(1631号)のしぶきの市職労回答交渉の記事にて、2段目に「出産補助休暇」と記述していましたが、正しくは「育児参加休暇」です。訂正しお詫び申し上げます。