しぶきバックナンバー

しぶき記事

平和とくらしを守りたい
住民の声が届く自治体づくりにむけて
広島市職労中央執行委員長 塩見信彦

 新年あけましておめでとうございます。まだ終息がみえないコロナウイルス感染拡大の防止のために奮闘されている職場のみなさんに心から敬意を表します。

「新しい戦前」にしないため平和求める広島にできること

 昨年末に放映された「徹子の部屋」にゲスト出演したタモリさんの言葉に衝撃を受けました。
 黒柳徹子さんから「来年はどんな年になりますか」の質問にタモリさんは「新しい戦前になるんじゃないですかね」と答えたのです。「新しい戦前」とは、今生きている多くの人が経験したことがない「戦前」が、すぐそこまでやってきているという意味ではないでしょうか。
 政府は、「敵基地攻撃能力」の保有を宣言し、防衛費をGDP比2%、現在の防衛予算を倍増する計画(今でも世界第9位だが5年後にはアメリカ、中国に続いて世界第3位になる)などの防衛3文書(国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画)を閣議決定しました。物価高騰や医療・教育・福祉での自己負担の拡大など、コロナ禍で苦しむ国民にさらに負担を押し付けようとしています。
 こうした状況のなかで今年の5月、G7の会議が広島で開かれようとしています。被爆地広島は、軍備増強によって他国に脅威をもたらすのではなく、日本国憲法前文や第9条にもとづいた他国との信頼関係に依拠した話し合いによる平和外交、核兵器禁止条約の署名・批准を、日本政府により強く訴えていく必要があるのではないでしょうか。そのために平和を希求する市民の声を束ね自治体、市民・平和団体、労働組合と幅広く連帯し、力を尽くしたいと思います。

住民サービス維持するため職員体制確保は不可欠

 「市民の命と暮らしを守れない」「職員の健康と暮らしが守れない」こうした現状は、私たちの職場にも現われています。3年に及んでいるコロナ禍の応援体制など、職場体制の不十分さが明らかになっています。こうした災害に伴う体制を臨時的対応で済ましている職場の現状は、限界をとうに超えています。人事当局も人員体制の不十分さを認め、職員削減ではなく増員に転換すると回答しました。
 こうした中で一部ではありますが、学校給食調理員が、6年ぶりに来年度の新規採用をすることになりました。また、昨年12月に広島市に提出された保育園児死亡事故検証報告書では、
@3歳児保育士の配置基準の改善 20対1から15対1へ
A全園で主任を専任化し業務の負担軽減を図る
B配慮を要する園児の保育士加配基準の改善 4時間から8時間へ
など労働組合として要求してきた実施体制の見直しが提言されています。

働きやすい職場 住民が主人公の自治体を

 職場の実態に即した改善を、すべての職場で実現するよう、市民生活にかかわる課題では地域住民と共同の取り組みを通じて要求実現をめざします。
 職員が働きやすい職場環境と住民が主人公、住民の声が届く自治体づくりにむけ、市職労はこの1年、全力で取り組んでいきます。

正規調理員採用 要求叶う!
学校給食調理員協議会 回答交渉

学校給食調理員協議会の回答交渉

 学校給食調理員協議会(調理協)が8月に提出した要求書に対する回答交渉が、12月20日に行われました。当局からは教職員課、健康教育課、教育企画課、施設課の各担当者が出席し、組合からは、塩見中央執行委員長、平野現業評議会(兼調理協)議長と調理員12名が臨みました。

ついに認められた正規職員の新規採用

 交渉は、平野議長の「調理協の要求はすべて重点要求であり、子ども達のことを第一に考えた内容。心あるより良い回答を」の力強い挨拶でスタートしました。
 昨年度は、大規模センター化提案を理由に、あらゆる要求が前進しませんでしたが、今年度は遂に、正規給食調理員の新規採用≠ェ認められ、組合側からは喜びの声が上がりました。2017年の採用を最後に正規調理員の採用がストップしており「このままでは、正規不在の調理場ができ、技術継承もままならず、安全安心な給食の提供ができなくなる」と訴え続けてきた調理協ですが、その訴えが当局側に認められたということです。
 諦めず、現場の声を届け続けた組合活動の成果だといえます。

予算の制約うけ設備の補修・改修は進まず

 しかし、老朽化が進む調理場の大規模改修についてと、ガス器具の業者による定期点検、洋式トイレの整備などについては、例年同様「市の財政上困難であり、補修が必要な所については行っていきたい」と回答されました。
 健康教育課村上課長から「夏場の暑い時期の温度管理は重要であり、冷蔵庫等の更新を優先して予算要求している。スポットクーラーの増設を、12調理場の予定を16に増やし入札を予定している」と前向きな回答もありました。
 また、教職員課小田調整担当課長は、「長く働いて頂くために、4Hから6H、6Hからフルタイム、そして臨時的任用と伸び上がれる積極登用の道を作りたい」と述べました。

団結強めて新規採用増やしていきたい

 最後に塩見委員長が、「現場の意見を聞いてくれたことは本当にありがたい」と発言。続いて、平野議長が、「学校給食だけでなく、他の現業職場でも正規の採用を実現していきたい。これからも子ども達のため、人材育成のため、精進していきたい」と締めくくりました。
 調理協は、来年度以降も継続した新規採用を強く要求し続け、より団結し、現場の声を届ける活動を続けて行きます。

子どもたちを守るために
女性部の活動は欠かせない
広島自治労連女性部定期大会

オンライン併用で開催された広島自治労連女性部第29回定期大会

 12月11日、広島自治労連女性部第29回定期大会がオンライン併用で開催され、40名が参加しました。
 来賓の広島自治労連の平松執行委員長は「ほこりといかりの3Tアクション」の取り組みについて報告し、「自治体にはたらく女性の8割が非正規」「今、ジェンダー平等に取り組む女性部の活動は必要です」と挨拶しました。

性教育について みなで学ぶ

 記念講演では、田頭愛美氏(自治労連女性部元部長・元保健師)が「本当はこんな性教育受けてみたい!」というテーマで講演し、同氏は「心の変化はとても大切でイライラする子が多いが、ホルモンのアンバランスによるもので、大人へと成長するための大事な通過点。でも、憂鬱な気分や無気力・不安感や眠れないなどの状況が続く時は医師に相談してほしい」と呼びかけました。

それぞれの報告 子どものことを考えていない実態

 事務局から活動報告や運動方針案、役員案が提案・採択された後、各団体からの報告がありました。
〇調理協…教育委員会から発表された「学校給食の充実に向けた給食提供体制の見直し方針」では、おおむね5年以内に中学校のデリバリー給食を廃止。また、1万食以上作る大規模センターを後3か所増やし、各小学校の給食室もそこに吸収する計画がたてられている。今のままでは学校から給食室が消えてしまうかもしれないことを保護者、教職員、市民全体に伝えることが急務。子どもたちのことを第一に考えた給食を守る活動を市民と共に粘り強く続けたい。
〇保育園支部…担当課は「閉園方針が決定している高南保育園で、集団保障の観点から近隣の三田保育園で令和5年4月より合同保育を開始する」「朝夕は近隣の公民館で過ごすことになるが、子ども用に部屋の改修は行わない」と発表しており、朝夕の保育は「預かり」程度の認識であることが非常に残念。鈴峰園保育園は工事期間中に募集停止を行い、2026年度から認定こども園として再開するとしている。待機児童が解消されないまま、募集停止はあり得ない。

女性部として守るべきもの

 このほかにも留守家庭子ども会や児童館、公民館等で働く職員からの報告がありました。これらの発言を受けて、「平和を守り、子どもたちを守り、女性の働く職場を守ることを女性部としていろいろな団体といっしょに活動していこう」と団結し、大会を締めくくりました。

業務協回答交渉
施設の老朽化と人手不足
業務員職場は負担が増すばかり

学校業務員協議会の回答交渉

 12月15日、学校業務員協議会は9月12日に提出した要求書に対する回答交渉を行いました。
 冒頭、福本議長は「ブロック体制が始まり17年、ブロック体制が完成して4年目になる。学校業務員は6年前を最後に正規職員の新規採用はなく、その数は減少し高齢化してきている。また学校施設も老朽化が顕著であり、修繕をしたくても人も予算も時間もない。学校業務員職場ではさまざまな問題や課題がある」と述べました。

老朽化進む学校施設 整備・改善の必要性を訴える

 本市の学校施設・設備の老朽化が年々加速度的に進行し、修繕・点検業務の量は増加の一途を辿っています。令和3年2月に広島市学校施設長寿命化計画を策定したようですが、学校現場には全く説明がありません。また、フェンス・樹木・遊具などの調査点検をするが、結果報告やその後の方針や指示がないことをあげ、「学校も限られた予算の中で対応しているが限界がある。もっと施設課・学校事務センター・学校が連携をとり、効率的に整備をしていく必要性がある」と訴えました。
 その他に、ごみの回収やごみ置き場(違法建築物)については、衛生面や教育指導の観点からも改善が必要だと訴えました。

人手不足の業務員職場 会計年度任用職員の負担増

 正規職員が減少し高齢化している中、今後のブロック体制の方針と正規職員の採用について説明を求めました。当局からは「今後のブロック体制の方針については現在協議中ではあるが、直営体制をどう存続させていくかがカギであり、中長期的な体制の中で正規職員の採用を見出したい。スピード感をもってやりたい」と回答がありました。
 平成30年度以降、正規の学校業務員は採用されていません。このまま正規職員が減少すれば、ブロック体制の維持は困難になり、会計年度任用職員の負担は増すばかりです。
 ブロック体制開始以降、学校業務員職場は、慢性的な人員不足であり、65歳以上の職員数は他に類を見ない状況です。「現状のブロック体制は会計年度任用職員で成り立っていると言っても過言ではない」と伝え、労働条件の改善を訴えました。

業務員の存在と技術の継承は必須

 学校施設の維持には、学校業務員の存在と技術の継承は必須です。計画的な正規職員の採用と会計年度任用職員の処遇改善を求めるとともに、これまでの経験や知識が十分活かせる長期的な体制の構築のため、協議・交渉を重ねていきます。

2022平和を守る母親集会開催
生命を生み出す母親は
生命を育て生命を守ることをのぞみます

広島市母親連絡会主催の平和を守る母親集会

 12月11日、広島市母親連絡会主催の平和を守る母親集会≠ェ、西区のいきいきプラザにて開催されました。当初の予定では60人でしたが、予想を大きく上回り108人が参加しました。

平和を望む人々に日本がなすべきこと

 元中学校教員の是恒高志さんを講師に迎え『ウクライナの歴史・現在・これから』と題した講演は、まるで社会科の授業のようで、一時間があっという間でした。
 「ロシアのウクライナ侵攻から10ヶ月。戦争の背景にあるロシアの歴史観や、ウクライナの350年にもわたる独立を求めた闘いの歴史を学びました。ウクライナの人たちが望むのは、自由に物が言え、人としての尊厳が大切にされる国であり、強権的な国ではない。日本が今なすべきことは、軍拡は軍拡を生むという負の連鎖を断ち切り、憲法9条を輝かせることではないか」という言葉に、参加者は大きく頷いていました。

未来にどう生きて何を残すのか

 集会後半の活動交流のテーマは二つで、広島市の学校給食についてと、図書館移転問題についてでした。学校給食調理員協議会(調理協)平野議長が、学校給食の大規模センター化と自校調理給食について説明し、「このままでは学校から給食室が消えてしまう」と強い危機感を伝えました。
 続いて、子どもの本作家の中澤晶子さんは、「老朽化したら別の場所で建替えればいいという広島市の考えは、給食の問題も、中央図書館の移転問題も同様。経済性や効率ばかりを重視するのではなく、未来のこの街でどう生きていきたいのか、次世代のために何をするのかが大切」と話し、会場は大きな拍手で包まれました。

一人一人が持つ大きな力 正しき方向に向けていこう

 今、世界で、広島で、何が起こっているのか自分のこととしてアンテナを張り、私たち一人一人が、おかしいと思ったことを少しずつでも正しい方向に向けていくことが、大きな力になるのだと思えた集会でした。