深刻な人員不足 仕事を続けられる職場に
会計年度任用職員 賃金交渉
団体署名1518筆提出
10月20日、広島市嘱託連絡会の4労組(市職労、会計年度職員労組、留守家庭指導員労組、児童館指導員労組)が会計年度任用職員の賃金確定交渉にのぞみ、12項目の重点要求書を児玉人事部長に提出しました。併せて各職場から集まった1518筆の団結署名を手渡しました。
中途退職と負担増の悪循環脱出を
連絡会の平松代表は「今年は改定率が大きいので、報酬の引上げには期待している。また来年度から会計年度任用職員にも勤勉手当が支給できるように改正されたが、今年度からの支給が私たちの強い要求だ。職場の欠員が年々深刻化していて、欠員の解消のためには、途中で辞めないよう、退職を思いとどまる改善が必要。厳しい状況で働いている仲間の実態を聞いてもらいたい」と交渉に向けての思いを語りました。
各組合の仲間が、職場実態を報告し、欠員が業務負担を増やし、仕事を続けられないと退職者が出る悪循環に陥っていることを訴えました。
なし崩しでの業務拡大に歯止めを
市職労木下書記長は、「制度導入から3年半経過し、正規職員削減や欠員による負担増で、制度当初より年々業務の負担が増えている。業務範囲が限定されず、なし崩し的に仕事が増えており、管理者側が『職』の設定上の業務範囲をしっかり把握する必要がある」と指摘しました。
また、日任用職員のなかでも、通年任用となっている65歳を超えた再雇用の会計年度任用職員や、実質通年任用のマイナンバーカード業務推進員など、今年度の改定差額が大きくなることも見込まれるなかで、遡及適用の対象とするよう要求しました。
各職場からの声を伝える
保育園支部からは、「パートタイム保育士が年度当初から60名の欠員が生じ、パート保育士が担う6Hのフリー保育士が足りず、休憩を確保できない。フリー担当保育士は細切れで常にどこかのクラスにはめ込まれ、負担も責任も過大になっている」と訴えました。
会計年度労組の認定調査員の職場からは「軽自動車の公用車を増やしてほしい」という要求、学校給食調理員からは「大規模センター化で、自分の職場がなくなる不安を抱えて仕事をしている」と訴えがありました。消費生活センターでは「若い世代の採用ができておらず、後継者がいなくなる。開所時間が長く、休日も仕事のシフト勤務がネックになっている」との課題を伝えました。
事務補助員や市民課出張所業務推進員が制度導入時から、初任給の格付が低い問題を指摘し、格付を改善するよう要求しました。また、嘱託時代からの勤続年数が長い職員が、昇給上限に近づいていることから、上限を引き上げるよう訴えました。
確定交渉に向け団結し
職場要求を実現しよう
広島市職労 第1回中央委員会
10月19日、アステールプラザ会議室にて、市職労第1回中央委員会をオンライン併用で開催しました。
市民生活より開発優先の市政 くらし守る職場の改善を
冒頭、あいさつに立った塩見中央執行委員長は、「今の広島市政は、二葉山トンネル工事や市内中心部の再開発事業には予算を惜しまず、物価高騰に苦しむ市民生活の支援には後ろ向き。また、職場では長時間労働と人員不足がいまだ深刻。住民生活を守るため、正規職員での人員増、会計年度職員の処遇改善を強く要求していきたい」と情勢・課題について触れました。
幅広い職員の賃金アップを 交渉課題中心に方針提案
木下書記長から経過報告、方針提案があり、月例給、一時金ともにプラス改定の広島市人事委員会勧告を受けて、今年の賃金確定交渉、春闘前段に向けた取り組みについて説明しました。「国や他の政令市でも、プラス改定のもとで月例給と一時金の大幅改善を行う流れとなっている。若年層だけでなく、再任用職員も含むすべての職員に及ぶ給与の引き上げ、期末・勤勉手当も引き上げる勧告となったものの、職員の奮闘と苦労、物価高騰には不十分な内容。そして、人材確保のためには、職場環境の整備をより具体的にして、実効性のあるものにしていかなければならない」として、来月の確定交渉に向けて取り組んでいく姿勢を示しました。
討論では、保育園職場や児総センター、女性部などから職場の現状や課題、取り組みについて発言がありました。
最後に運動方針を採択し、賃金確定闘争など職場要求実現のため奮闘する決意を固め合いました。
広島自治労連 連続学習会
税金の使い方変え
市民が豊かになる施策を
10月4日、広島自治労連主催の連続講座が開催されました。第3回は下関市立大学経済学部の関野秀明教授を講師に、「新しい平和・福祉国家構想と公共部門の役割」というテーマでオンラインをつないで講演していただきました。
福祉の弱さが貧困をまねいている
関野氏は、グラフを用いて諸外国と比較し日本の公共部門が停滞していることを紹介しました。日本の失業率は諸外国と比較すると低いが、相対的な貧困率は高く、その要因として高い医療費や高い学費、低い年金などといった福祉が脆弱化していることをグラフを用いて解説しました。その上で、福祉が脆弱なために、早く失業から脱しようと労働者は劣悪な仕事に従事せざるを得ない。高い勤労意欲を生むため、高賃金で人間らしい持続可能な「働き方」が必要だと、労働条件と福祉政策が結びついたお話が印象的でした。
一部だけが得する税制の歪み
また、日本の財政の歪みとして、大企業や富裕層を優遇した税制の仕組みがあると指摘し、実質大企業しか使えない優遇税制を廃止することや、高額所得者の所得の大部分を占める株式配当や投資の売買による収入が、所得税に比べると税率が低く、高額所得者から税負担が下がっていく抜け道をふさぐこと、タックスヘイブンと呼ばれる地域に避難させている資産への課税など、公平な課税を目指すだけでも十分な財源はあるとしました。
これら税制の歪みを是正し、社会保障や公務部門に税金を投入することで人間らしい働き方ができ、住民のために力を発揮できると話されました。
広島自治労連 第34回定期大会
私たちの運動が社会を動かしている
仕事に誇りが持てる処遇改善を
10月15日、広島自治労連第34回定期大会がアステールプラザ会議室にて、オンライン併用で開催され、63名が参加しました。
全国の仲間と力合わせた成果
平松執行委員長は冒頭のあいさつで、「会計年度任用職員の勤勉手当支給の道が拓いたことは、全国の自治労連の仲間が署名やアンケートなどに取り組み、職場の切実な訴えを国に届けた成果だ」とし、「労働組合の運動に確信を持ち、仲間を増やそう」と呼びかけました。
新たな「戦前」にさせてはならない
来賓からのあいさつでは、防衛費を大幅に拡大し、新たな「戦前」に向かおうとする動きに警鐘を鳴らし、国民の声に耳を傾けず増税や負担を押し付ける岸田内閣の問題点、国民の声が届く政治への転換に触れる話題が相次ぎました。
いのちとくらしを守るため公共を取り戻す運動
今年の運動方針は「戦争国家化を阻止し、憲法を実行する政治への転換」「いのちとくらしを守る社会保障制度と公務公共体制の拡充、民主的税制をめざす」「すべての労働者の大幅賃上げ・底上げと格差解消」など5つの運動の柱でたたかうことを意思統一しました。
秋闘に向けて、職場の人員不足解消や会計年度任用職員の処遇改善、「こんな地域と職場をつくりたいー公共を取りもどす」運動に取り組み、組織拡大を目指していくことが提案、採択されました。
市民と共同の取り組み 参加呼びかけ
討論では11名の代議員が発言し、保育園支部からは死亡事故を受けた危険アンケートの取り組みや、広島市幼児教育・保育ビジョンによる公的保育の削減について報告し、11月5日に予定しているこどもパレードについて参加者に呼びかけました。調理協からは、給食まつり実行委員会で、11月19日の給食まつりの準備を進めていることや、大規模センター化が市民に知らされていない問題について訴え、討論に参加しました。
平和の取り組みやジェンダー問題についての発言も多く、広島自治労連らしい定期大会となりました。
消費生活センター要求書提出
相談内容の高度・複雑化に対応し
組織の体制強化を
市会計労組は、10月11日に、消費生活センターに対して「消費生活センター相談員の労働条件改善等に関する要求書」を提出しました。
はじめに、亀井委員長が、相談業務の高度・複雑化に見合う相談員の格付けの改善、賃金の引き上げ、消費生活センターの開館時間と相談員の不規則な勤務体制について言及しました。
その後、相談員から「対応困難な事案が増加、自己抑制力など高い人間力が要求され、相談員の負担は年々大きくなっている」「消費生活問題に長けた行政職員の配置・育成を行い、相談業務をハンドリング・サポートできる体制を組織として整えて欲しい」「人材確保と流出防止のため、65歳定年制を延長して欲しい」「若年層の相談員確保のため、子育てと両立できる勤務体制にして欲しい」などの意見がでました。
特に、「行政職員の相談業務関与体制と対応困難者等の危機管理体制の構築は喫緊の課題。早急に対応をして欲しい」と切実な訴えがありました。
回答は3月に予定されています。労働条件・就業環境が改善されるよう、実のある回答を望みます。