しぶきバックナンバー

しぶき記事

要求前進に確信を持ちくらしと平和を守る共同をひろげよう
広島市職労中央執行委員長 塩見信彦

 新年あけましておめでとうございます。新しい年に向けての抱負を述べたいと思います。

能登半島を襲った大災害 災害に備えたまちづくりを

 新しい年を迎えた元旦の夕方、能登半島が最大震度7の大地震に襲われました。石川県内では1月8日時点で死者168人、安否不明者323人にも及んでいます。3万人近くが避難所に身を寄せ、断水は6万6千戸以上、停電も2万3千戸以上と生活環境の劣悪さは厳寒の北陸で健康を保つことさえ厳しい深刻な状況になっています。災害によって亡くなられた方々に対して心からお悔やみ申し上げるとともに被害にあわれた方に心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興のために労働組合としてできることを尽くしたいと思います。
 広島でも大地震の起きる可能性は否定できません。広島市地震被害想定報告書(2013年度)によれば、南海トラフ巨大地震や伊予灘地震で死者が最大で4000人以上、建物やライフラインも液状化と津波で多くの被害を受けると想定されています。市民のいのちとくらしを守る視点で、大規模災害に備えた予算が反映されるよう、現場の声を届けるために奮闘したいと思います。

戦争 核使用の危機 核兵器禁止・平和外交が力に

 2021年に発効した核兵器禁止条約の批准国は69か国を超えました。ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルによるガザ攻撃では戦争の悲惨さがリアルに伝わるとともに、核兵器の使用に対する危機感も高まっています。
 被爆地ヒロシマは、軍備増強によって他国に脅威をもたらすのではなく、日本国憲法前文や第9条にもとづいた他国との信頼関係に依拠した話し合いによる平和外交、核兵器禁止条約の署名・批准を、日本政府に一層強く訴えていく必要があるのではないでしょうか。平和を希求する自治体、市民・平和団体、労働組合と連帯し、力を尽くしたいと思います。

要求が前進した 職場の声を力に引き続き奮闘

 広島市では、昨年10月13日に令和6年度の予算編成についての依命通達が出され、政策の企画・立案以外の業務については民間活力の活用を一層推進するなどが強調されています。
 広島市の行政部門には、直接に市民生活を支えている現場がたくさんあり、これまでも現場の困難な状況について交渉のたびに訴えてきました。昨年の交渉では、会計年度職員の賃金での大幅な改善や現業職場の多くの職種で来年度の新規採用が実現するなど、前進を作ることができました。引き続き職場の声を力に奮闘していきたいと思います。

住民の声が届く自治体づくり

 今年も住民のくらしを守り、職場環境の改善のため、職場の声に耳をかたむけて話し合い、そして地域住民との共同を通じて、職員が働きやすい職場環境と住民が主人公、住民の声が届く自治体づくりにむけ、市職労はこの1年、全力でとりくんでいきます。

正規調理員新規採用! 2年連続で勝ち取る!
学校給食調理員協議会 回答交渉

2023年12月21日に行われた学校給食調理員協議会(調理協)の回答交渉

 学校給食調理員協議会(調理協)は、12月21日、回答交渉を行い、市職労塩見中央執行委員長、現業評議会兼調理協平野議長と調理員12名が臨みました。当局からは、教育企画課、施設課、学事課、健康教育課、教職員課の各担当者が出席しました。

財政が厳しいなかでの老朽化施設の対応

 老朽化の進む調理場に対しての修繕や、点検などについては、「厳しい財政状況であり、不具合があった物については、学校と連携し適切に対応する」と例年同様の回答。健康教育課村上課長からは、「壊れる前に更新できるよう予算取りをしていきたい。予算執行残で冷蔵庫などの更新を検討する。ファン付き白衣についても、古くなった物については、交換できるよう対応していきたい」と、前向きな回答もありました。

正規調理員新規採用の朗報

 その後、「昨年度に引き続き、今年度も正規調理員を2名採用する」と一番の朗報がありました。自校調理を直営で堅持するためには継続した新規採用が必要だと、要求し続けてきた活動の成果だと感じました。

課題先送り 臨時的任用制度

 しかし、大きな課題である臨時的任用職員の待遇改善については、全く触れられず、調理協は「同一労働同一賃金の観点で大きく矛盾している」と指摘。これに対し、教職員課小田調整担当課長は「臨時の処遇と働きがリンクするように考えていきたい」と回答するに留めました。
 そもそも臨時的任用職員は、正規職員の欠員に対して臨時的に対応するための職であり、長期的な雇用は前提とされていません。この矛盾については、今後もいろいろな場で声を挙げ、訴え続けます。
 こうした現場の思いを直接当局に伝える場が持てるのは、組合があるからこそ。調理協は子どもたちのことを最優先した対応≠、これからも強く要求していきます。

福祉と医療の充実のため 人員・予算の確保を訴える
児総センター支部 回答交渉

2023年12月26日に行われた児総センター支部の回答交渉

 12月26日、児総センター支部は15名が参加し、回答交渉に臨みました。

支援体制充実のために職員の増員図る

 来年度の人員に関しては、発達障害児クラスや診療体制の充実と医師の働き方改革などのため、正規17名、非正規2名の増員要求を上げていることが明らかになりました。
 各療育センターでは、診察待ちが問題になっており、メディカルソーシャルワーカーやメディカルクラーク、看護師などの増員ができることで、不安を抱えて受診される多くの家族が受診や支援にスムーズにつながっていけることは重要です。評価をするとともに、福祉・医療の人材不足が続く中で、採用までつながっていくことを期待します。

深刻な欠員状況改善するため嘱託職員の処遇改善を

 また、現在も欠員が出ている職種について、採用をかけても応募が来ない現状もあります。
 特に嘱託職員の待遇については、広島市会計年度任用職員に比べて格差が広がっています。障害児療育の専門性をもって働く職員にとって、同一労働同一賃金は当然の権利です。広島市が障害福祉に公的責任を持つため、理事長は市長をおいています。指定管理の各労組とも団結しながら、社会福祉事業団の職員の労働条件を改善するため、力を合わせて訴えていきたいと強く思います。

子どもたちのための予算確保は必至

 私たちからは、児童福祉法の改正後の報酬改定において、利用料が上がることのないよう、また、親子療育期間の利用料軽減などを訴えました。支援が必要な子どもたちへの金銭面での負担増になることには絶対反対です。そして、老朽化した園バスについては、市議会でも取り上げられるほど喫緊の問題です。安全に通園保障ができるために予算の確保が必至です。

家族支援と仲間づくりの大事さ

 山ア支部長からは、「今年度、コロナ禍から平常の療育へと移行してきて変化の多い年だった。家族も参加する行事の再開などで改めて家族支援の大事さを感じる。そのこととリンクして4月から全国障害者問題研究会の月刊誌に療育センターで大事にしていることを連載している。その中で、障害のある児とその家族にとっての幼児期の初期支援や仲間づくりの大事さを実感している。制度が変わる中で、どうやったら職員も働き甲斐を感じながら、充実した支援につながるか、ともに考えていきたい」と伝えました。

よりよいセンターとなるように

 児総センター支部として、今後も共に働く事業団労組と保護者と共同でよりよいセンターになるよう取り組んでいくこと、広島市の障害児保育・療育全体を見据え、ねがいを合わせていきます。

組織のパフォーマンス向上で注目の「心理的安全性」を学ぶ
広島自治労連連続学習会
「心理的安全性」でチーム力を発揮できる職場を

2023年12月20日に行われた4回目広島自治労連連続学習会

 12月20日、 広島自治労連連続学習会の4回目がオンライン併用で開催され、42名が参加しました。岡山県労働者学習協会事務局長の長久啓太さんを講師にお迎えして、「心理的安全性で安心して話せる職場づくりを」をテーマに学習と交流を行いました。「心理的安全性」とは、大まかに言えば『みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化』のことです。

安心して会話できない環境は組織の機能低下を招く

 コロナ禍では、オンラインを活用した会議が増え、同僚や仲間同士のちょっとした会話の機会が減り、職場や労働組合内では「集まってしゃべれない」「食事もひとりで」の声が多く聞かれました。長久さんは、このような状況に触れ「そのことで、お互いの状況がよくわからない、安心して頼みごとをできなくなったなど、チームや組織の機能低下が注目されるようになりました」と指摘したうえで、「一見、無駄や面倒と思われていた雑談は、人間関係を築くうえで大切な役割を果たし、チームの心理的安全性を高める潤滑油となっていました」と解説されました。

一朝一夕には実現できないが心理的安全性の担保された職場へ

 その一方で、心理的安全性の担保された組織をつくることは、実際には想像以上に大変なことであるとのこと。長久さんは「任用形態やジェンダー、セクシャリティなど、色々な違いをもった人が集まる職場は、『マイクロアグレッション(明らかな差別に見えなくとも、先入観や偏見を基に相手を傷つける行為)』が発生しやすい場所」として、「親切心や褒め言葉が、マイクロアグレッションにつながってしまう場合もあり、どこからがマイクロアグレッションなのかというのは非常に難しい問題です。もしかしたら無意識に人を傷つけているかもしれないと、常に頭の隅で意識しながら取り組んでください」と語られました。
 その後の交流では、労働組合の会議や管理職の対応、職場の人間関係など、具体的な話を交えながら感想や悩みを語り合いことができ、人と向き合う自治体職員として学ぶことが多い学習会となりました。

お詫びと訂正

 12/7付特集号(No.1669)ならびに12/14付(No.1670)のしぶきに掲載していた行政職の給料表に誤りがありました。詳しくは「自治体の仲間」に添付してある別紙をご参照ください。