しぶきバックナンバー

しぶき記事

よりよい保育の実現のため
組合のなかまを増やそう
保育園支部 第55回定期大会

保育園支部 第55回定期大会

 6月14日、保育園支部は第55回定期大会を西区民文化センターで開催し、78名の組合員が集まりました。
 冒頭、保育園支部畑野支部長が開会あいさつで「欠員解消を求めて要求書提出や協議を行ってきたが、担当課からは広く広報を呼びかけるという返答にとどまっている」「私たちも改善に向けて今までとは違う方法で運動をしてく必要がある」と決意を述べました。また、来賓の市職労塩見中央執行委員長は「全国の運動で国を動かして保育士配置基準を変えさせたが、広島市は緊迫感がない」「現状を保護者に知らせていくことで、大きな運動をつくっていく力になる。力を合わせて奮闘していきたい」と呼びかけました。

一年の活動を振り返り運動の成果を確認

 平田事務局長が活動報告を行い、昨年の確定交渉で会計年度任用職員の勤勉手当を勝ち取ったことや定年延長職員のフリー配置を求めて保育企画課(現:幼保企画)と繰り返し協議を行ってきたこと等を知らせました。また、今年5年ぶりに正規調理員の採用を勝ちとったが退職者数に見合わず、今年度も正規不在園が1園増えたこと等を報告し、正規不在園の実態を説明しました。子どもによりよい保育・調理を提供するための職場要求を実現するには、組合員を増やすことが必要であり、組合未加入の職員に対して職場での加入の呼びかけをお願いしました。

保育現場からの発言

 質疑討論では、次のような発言がありました。
●7月から横川保育園で『こども誰でも通園制度』が開始される。今日も予約がたくさん入った。6か月〜2歳までという場所や人を見知る時期の子どもたちなので、泣いて過ごすことが予測される。保育方法について工夫が必要。利用料は電子決済が導入される。
●正規職員が退職しても補充がない。病休に入った職員もいるため、時間外勤務をしながら保育に当たっている。
●頸肩腕検査は組合が勝ちとったものだが、希望性になり、厳しい人員体制の中で仕事を抜けて検査に行くのをためらう人もいる。保育士は床や子ども用の椅子に座ることが多く、若い頃からの積み重ねで腰痛や足のしびれを訴える人もいる。市がきちんと検査を行うべき。

 これらの発言を受けて畑野支部長が今後の運動につなげていくことを確認し、2024年度活動方針案や役員案が採択され、大会を終えました。

不当な要求には組織的に対応し
職員を守る体制の強化を

 最近、ニュースでもよく「カスタマーハラスメント」の問題を報道するようになりました。自治体の場合、相手が「顧客」ではなく「市民」であるため、自治体で起きている事案を「カスハラ」と呼ぶには違和感がありますが、職員が悩んでいる問題は共通しています。
 広島市職労では、「市民からの苦情対応が現場の担当職員任せにされている」といった声を受け、年間の要求書に、「困難な苦情に対し組織的な対応をすること」と、数年前から要求項目を追加しています。

人事委員会「人事管理の報告」でも取り組みを求める記述

 広島市人事委員会は、昨年度の人事委員会勧告の「人事管理に関する報告」のなかで、
「本市の業務は行政サービス利用者等と直接接する機会が多く、長時間のクレーム、業務の範囲や程度を明らかに超える要求等を受けることも想定されることから、こうした事案に対する組織的な対応方法について全庁で共有を図る等の取組を進めることが求められる」
と、広島市に対する取組を求める内容を新たに加えています。
 市民からの要求や苦情のなかには、実際に行政側に非がある場合や対応が必要な困りごとなど、私たちが業務のやり方を改善するヒントや気づきもあり、いままではこうした視点に重きを置いて、丁寧な市民対応が基本となってきました。

過度の苦情や不当要求 職員を守ることが重要に

 こうした「市民の声」を市政に活かす取り組みは維持しながらも、目的や要求が度を超えたり逸脱している場合や、過度に長時間にわたる対応を迫る場合など、ハラスメントへの関心が高まる社会情勢の変化から、「過度の苦情や不当な要求」をハラスメントと定義づけし、そこから職員・従業員を守ることが社会の要請となってきています。
 また、ネット社会へ変化が進み、SNSへ書き込みを行う行為を、脅しや報復として利用したり、そうした行為を匂わせて、要求を通そうとするといった事例も増えています。
 他の自治体のカスハラ対策として、名札を苗字だけに変える取り組みを進めるのも、こうしたリスクへの職員の不安を軽減するためです。他にも、市民対応用のICレコーダーを公費で調達するなど、できることがあるのではないでしょうか。
 広島市職労は、今年の要求アンケートで独自に設問項目をつくり、この問題をとりあげました。裏面に回答結果を掲載しています。
 市当局にも具体的な取り組みについて、要求・協議をしていきたいと考えています。

第25回現業評学習交流集会
第24回現業労働学校
魅力ある現業職場のつくり方を学ぶ

広島市職労現業評議会からも7名が参加した第25回現業評学習交流集会および第24回現業労働学校

 6月8日から9日にかけて、第25回現業評学習交流集会および第24回現業労働学校が、大阪市において開催され、20地方組織より、43単組140名が参加しました。広島市職労現業評議会からも7名が参加し、各々の立場で多くのことを学んできました。

被災地に必要なのは「技能」と「人手」
現業職員の必要性を実感

 1日目の特別報告は、能登半島地震ボランティア派遣について(吹田市)、地震支援派遣について(豊橋市)、学校給食の現状とひろしま給食まつりの取り組みについて(広島市)の3件でした。吹田市、豊橋市の仲間の被災地での奮闘や葛藤を学ぶ中で、10年を経過した広島土砂災害、その際おこなった避難所での炊き出しを思い起こしました。いつどこで起こるか分からない大規模災害が、今、自分の身の回りで起こったらどう対応すればいいのか。踏み込んだ議論と準備が急がれると感じました。また、被災地で必要なのは技能≠ニ人手≠ニいう発言から、専門的技術を持つ現業労働者の必要性を改めて強く感じました。

どんな時でも働きがいと魅力ある現業職場を

 続いて、大阪自治労連副執行委員長の久保氏を講師に迎えた記念講演「平常時も、災害時も、住民の安全と暮らしを守る働きがいと魅力ある現業職場を取り戻そう」は、特別報告とリンクした内容で、とても分かりやすいお話でした。政府や財界は、自治体をどう変えようとしているのか。現業の仕事を民間に委託して、どんな問題が起こってきたか。働きがいと魅力ある現業職場を作るために必要なことなどを学びました。

意義ある交流ができた労働学校

 2日目は、労働学校と、分科会(用務、給食、清掃、土木、技能業務)に分かれて、学習や意見交流を行いました。給食分科会では、委託で職場が消失する保育園調理員の心情、1年で雇用を切られる会計年度任用職員の悩みなど、切実な状況が吐露されました。
 労働学校では要求書の作成や模擬交渉など、具体的なアドバイスを受けることができ、参加者からは「今から要求書作成、提出、交渉が控えており、タイムリーな授業だった」と感想が寄せられました。全国の仲間との交流で、今後の組合活動へのパワーを充填することができました。

2024春闘アンケートE
回答に込められた 苦情対応への切実な声

質問16 市民等からの度を超えたクレームや過度な要求等に対して、どういった対策を求めますか。(複数回答可 5つまで)
質問16の答え

 今年の春闘アンケートでは、市職労の独自の質問項目として、「カスタマーハラスメント」対策についての設問を設けました。

広島市としても対策を

 市民の要求・要望や苦情を伝えに窓口に訪れる人を「カスタマー」とは言えませんが、今回取り上げた「長時間のクレーム、業務の範囲や程度を明らかに超える要求等」は、いわゆる「カスハラ」との共通点も多く、問題意識を共有するため「カスハラ」と表現しています。
 昨今、「カスタマーハラスメント」については、メディア報道で取り上げられる機会も増え、認知度や関心が高まっているところです。カスハラ対策を検討・実施している民間企業や自治体も増えてきています。
 組合として当局に対策を求めていく上で、職員のニーズや問題意識がどういう点にあるのか探るため、今回アンケート項目に加えました。

早い段階での組織的対応に期待

 質問への回答では、「応対する職員任せにせず組織として対応(上役が早めにフォローに入る等)する」を望む声が最も多くなりました。次いで、「『これ以上は不当要求に該当する』等、本人に告知(職員が責を負わない)できるようにする」が多数でした。
 3番目が「方針の明確化、方針の内外への周知」です。職員対応の限度をあらかじめ設定し、その限度を超えたら、相手の要求をはっきり断れるということが、求められていると言えそうです。

会計年度任用職員に頼っている実態

 区役所等の窓口職場では、会計年度任用職員が市民応対をすることが多くなっています。各種相談員も多くが会計年度任用職員です。困難ケースに対し正規職員や上司からフォローがなかった場合への不満の声も寄せられました。
 いずれの項目も市職労として要求に加えていきたいと考えている内容ですが、当局がカスハラ対策を具体化する際に、「職員の声」として届け、実効性のある対策の策定に寄与できればと考えています。