長く勤めたら給料が増える
そう実感できる制度にしてほしい
非正規連絡会 第3回賃金確定交渉
11月15日、非正規連絡会での第3回賃金確定交渉があり、広島市労連の賃金確定交渉(11月13日)の結果を受けて、当局から最終回答の提示と説明がありました。なお、団結署名の追加分を提出し、総計3672筆になりました。
正規職員との格差に焦点
昨年度の交渉によって、今年度から勤勉手当が支給され、非正規連絡会としての重点課題は、住居手当や扶養手当、短時間勤務職員への退職手当など、会計年度任用職員に認められていない手当等の改善や、年1号しか上がらない昇給制度の改善など、正規職員との格差是正です。
昨年を上回り大幅な賃上げ
人事部長からは、正規職員の給料表の改定に合わせて、会計年度任用職員の報酬も大幅に改善されるため、それ以上の改善は困難との回答がありました。
1級の職種で平均11%、5時間45分勤務で月額おおよそ17000円、2級の職種で平均5・7%、11000円の引上げで、会計年度任用職員が在職している給料表の号給(格付)が若年層に重なることから、大幅な改善となっています。
経験年数への評価 実感できない
一方で、ベースアップの幅が大きい分、在職年数による昇給が目立たなくなり、経験年数による評価が賃金に反映されているように見えないという現象が起きてしまいます。中途退職による人材流出や欠員を防ぐためにも、長く勤めたら給料が増えていくということが、実感できるようにするため、昇給制度の改善が強い要求となっていました。
昇給上限を4年延長との前進回答
年1号昇給は 改善なし
これに対して、当局からは昇給上限を20年から24年に引き上げるとの回答が示されました。組合側としては「1年で上がる号数を1号ではなく、正規と同じ4号にしてほしい」「無理なら3号でも2号でもいい」と訴えていましたが、その点についての前進回答は得られませんでした。
市職労の木下書記長も「24号を20年で到達するなど、特別昇給も含め検討してもらいたい」と改善を求めました。
休暇制度 一部改善
妊娠障害休暇が7日から14日に改善。
また、子・孫の看護休暇は、障害者手帳等の交付を受ける子の看護について、中学生までを対象とするとの休暇制度の改善について回答がありました。
組合からは、子や子の妻が出産する際に上の子を世話する必要があり、そこを対象に加えてもらいたいとの要求を再度伝えました。
会計年度任用職員制度導入から5年が経過するなかで、業務内容が変化している職種等については、調査している段階として、職の見直しについて検討中であるとしました。
会計年度任用職員 二段階の給与改定による賃上げ額
会計年度任用職員(週5時間45分)職種ごとの試算 | 単位(円) |
昨年上回る 給与改定差額
今年度の賃金確定交渉では、二段階の給与改定を実施する内容で妥結しました。
詳細については、しぶき号外「一次回答提示」2024.11.7付、給料表改定案をまとめた回覧(妥結をもって同内容で確定)、しぶき号外「確定交渉決着」2024.11.19付の3つを見ないと全体像が見えません(近日、結果をまとめた特集号を発行予定)。「給与制度のアップデート」もからみ、近年にない、ややこしい内容です。学習会も開催していますので、しぶきを読んでもよくわからないという方は、ぜひご参加ください。
下の表は、今年度の給与勧告に伴う改定分ついてです。今年度分の給与改定ですので、今年4月にさかのぼって新しい基本給で再計算し、その差額を12月末頃に支給することになります。計算式や改定給料表の見方など、参考にしていただければと思います。
103万の壁
丁寧で全体的な議論を
地方財政に影響及ぼす「103万円の壁」の引上げ
国民民主党が先の衆議院議員選挙で躍進し、その目玉政策としていた、「103万円の壁」の引上げが、少数与党となった自民・公明との政策協議の俎上に乗り、政策実現に向けての動きが進んでいます。
これに対して、減収分の試算を示して、地方からは地方税の税収が危機的なダメージを受けると声が上がっています。地方財政が厳しくなれば、人件費カットや住民サービスへの影響など、私たちの労働問題にも関わります。また、自治体の自主財源が減れば、地方自治・地方分権が後退し、さらに交付税依存の中央集権的な政治になります。
デフレから物価上昇局面になり、確かに生活費分の基礎控除を上げるという点での政策論議は大切ですが、財源問題で、地方公務員の人件費や住民サービス後退につながるとなれば、地方公務員の労働組合として、スルー出来ない問題です。
昭和の価値観前提の制度でジェンダー平等進まない
実は、この103万円の壁は、ジェンダー問題でもあります。扶養の範囲内という、夫が世帯の主な収入を得て、妻は専業主婦やパート労働という、昭和の家族像を前提にした制度設計で、年収の壁が女性の自立を妨げてきたとする、女性運動側の主張は昔からあります。例えば、妻はもっと働きたいのに、収入の壁を意識して、夫が妻に年収の壁を超えないよう押し付けているという事例は、今でもあると思われます。
壁を引き上げるということは、この構造を温存する作用もあり、新しい壁の手前で働き控えが起き、女性の自立を妨げる部分は解決されません。
賃上げの情勢 壁はそんなに高くない
それより、法定最低賃金の引上げによって、時給が上昇してきていることを考えれば、「壁を飛び越えて働こう」という方針の方が合理的です。
103万円の壁を意識する労働者層は、多くが最低賃金近傍の時給で働いていると思います。そして、最低賃金は労働組合の運動や政府の賃上げ政策を受け、着実に増えています。2019年10月1日の広島県の最低賃金は、時間額871円でしたが、今年の10月1日は1030円と18%上昇しています。
5年前に103万円を意識していた人は、年間約1180時間以内の労働時間に抑えるという計算になり、これが現在も103万円を守ろうとすると、1000時間未満になり、年間で180時間も労働時間が短くなってしまいます。
労働時間を5年前の水準に戻し、180時間分多く働くと、18万5千円年収が増えます。毎年最賃は上がっており、年数の比較を広げれば、もっと大きい年収差になります。社会保険加入の問題等もありますが、同じ財源を使うなら、壁がなだらかになるよう社会保険料の負担軽減などに回すという考え方もあります。学生アルバイトに関しては、教育予算を拡充して学費を抑えるとか、学生向けの特別控除等を設定するなど、もっと効果的な方法があると思われます。
いずれにせよ、目先の減税額(手取り増)の議論だけでなく、総合的で丁寧な議論が必要ではないでしょうか。
第20回こどもパレード開催
子育てしやすい広島に
400人が市民にアピール
こどもたちに健やか育ちを
11月10日、「こどもたちに健やか育ちを」のスローガンで、こどもパレードが開催されました。保育・学童保育・児童館・療育・放課後デイ・教育・給食にかかわる団体から400人を超える参加者が元安橋からアリスガーデンをパレードしました。私立保育園職員による荒馬踊りが先頭に立ち、お囃子のリズムに合わせて「ラッセラー!」と声を上げながらスタートしました。公立・民間の保育園職員・保護者は「保育士を増やしてー」「公立保育園を減らさないでー」など声を合わせて道行く人々にアピールしました。また、カエルやネコバスも登場し、笑顔で手を振る親子連れの姿もありました。
アリスガーデンでの集会
アリスガーデンでの集会では、ステージに立った各団体から報告を行いました。市職労給食調理協から、安全・安心でおいしい給食を子どもたちに提供していることや子どもと作り手の顔が見える自校調理場を残していく大切さを訴えました。保育園支部からは、公立保育園の欠員状況や八幡東保育園の廃園方針の問題等を参加者に報告しました。また、留守家庭・児童館労組からは指導員が欠員のなかでの増設や有料化されても施設の改修が進んでいないことなどを訴えました。最後に、子どもを真ん中に置いた広島市行政を求めて「子育てしやすい広島に〜!」と元気よくシュプレヒコールをして集会を終えました。
参加者からは「さまざまな団体の訴えを聞いて、欠員がいろいろな職種で起こっていることを知った」「未だに和式のトイレしかない施設があることに驚いた」「子育て世帯への現金給付だけでなく、安全・安心に子どもを預けられるようハード面も強化してほしい」などの感想がありました。
これからも子どもたちに健やかな育ちを合言葉にして、さまざまな団体と手をつなぎながら活動していきます。