職場と住民の声を届けて
くらしと平和を守っていきたい
広島市職労中央執行委員長 柴野敏雄
新年あけましておめでとうございます。組合員の皆さまには、健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。新しい年に向けての抱負を述べたいと思います。
賃上げの流れを作った労働組合 職場の声を力に今後も奮闘
昨年を振り返りますと、労働者にとって重要な春闘では、二年連続となる高水準での賃上げを実現し、実質的な賃上げの流れが生まれつつあります。現在の労働法制や社会保障制度を確立し、この間の賃上げの流れを作り出してきたのは労働組合の力ですが、若年層を中心に労働組合離れが進んでいるのも事実です。私たちは、職場や日々のくらしの問題点を話し合い、当局や地域住民に訴えかけることで問題解決につなげてきました。個人主義の時代にあっても、労働組合への求心力を高め組織力を向上させるため、多様性を認め合いながら、職場の声を力に奮闘していきたいと思います。
核なき世界の実現に向けて
そして、アメリカによって広島と長崎に原爆が投下されてから、今年8月で80年を迎えます。昨年、「核兵器は2度と使われてはならない」と訴え続けてきた日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。核兵器廃絶を求める声があらためて注目されていますが、ウクライナなどでは厳しい情勢が続いており、「核兵器が再び使われるのではないか」という危機感も高まっています。核兵器のない世界実現のため、平和を希求する自治体、平和団体、労働組合と連帯し、力を尽くしたいと思います。
働きやすい職場と 住民の声が届く自治体づくり
今年も住民のくらしを守り、職場環境の改善のため、職場の声に耳をかたむけて話し合い、職員が働きやすい職場環境と住民の声が届く自治体づくりにむけ、市職労はこの1年取り組んでいきます。
現業評議会 緊急申し入れ
新規採用数を増やさないと もう限界
退職者数に追い付かない来年度の採用者数
市職労現業評議会は、12月25日、「正規職員採用に関する緊急申し入れ」を児玉人事部長に提出しました。
新規採用実施されるも退職者数に足りず 人手不足が深刻
昨年度に引き続き、今年度も全ての現業職場において新規採用が実施されることとなりました。しかし採用者数は定年退職者数を補充できるだけの数ではなく、委託化・非正規化の歯止めとはなっていません。どの現業職場でも、正規職員の減少と高齢化は深刻さを増しており、このままでは技術の継承どころか、住民サービスの提供にも支障がでてしまいます。
正規職員がこれ以上減ると現場はまわらない
各支部協議会からは、「安全安心のため神経をすり減らすほどの細やかな配慮を実施しているが、どれだけ人員が手薄であっても、問題が起きれば現場が責任を負わなくてはならず常に不安がある」「正規職員を次々に再任用職員や臨時的任用職員に置き換え、非正規に頼りすぎた人員配置を増大させることに危機感を感じている」「フルタイム再任用職員について、賃金はカットされ、会計年度任用職員とは引き上げ格差が大きく、正規職員として一人役としているのはあまりにも業務負荷と見合っておらず現場の不満も大きい」「現業職場全体が人手不足で余裕がない状況だが、気持ちだけで奮闘し続けるのにも限界がある。内示が出たこの時期に、緊急で申し入れを行う重大さを理解して頂きたい」と、切迫した現場の状況や思いを訴えました。
退職者に見合う正規採用を強く要求
「人数に根拠のない<判を押した様な>少人数採用ではなく、現場の状況に見合った退職者補充を行うこと」「応募者に広く門戸を開き、より適性のある者の採用へと繋げるために、正規職員の採用年齢を引き上げること」「正規職員の一人役として配置されている定年延長職員・フルタイム再任用職員・臨時的任用職員の人数分の正規職員を採用すること」「年度途中の欠員への速やかな対応と、欠員が生じないために万全の対策を講じること」を強く求め、申し入れを終えました。
子どもたちにおいしい給食を届けたいのに・・・
足踏みばかりの回答
調理協 回答交渉
12月17日、学校給食調理員協議会(調理協)と教育委員会は、7月に提出した要求書に対して、回答交渉を行いました。組合側は、市職労柴野中央執行委員長と調理協役員10名が臨み、当局側は、教職員課、健康教育課、総務課、教育企画課、施設課、学事課が出席しました。
検討ばかりの不完全燃焼な回答
冒頭、調理協平野議長は「子どもたちのためにという強い思いを織り込んだ要求に対し、しっかり寄り添った回答を期待する」と挨拶しました。
交渉の内容は
健康教育課・・・
○夏の暑さ対策で空調設備を要求し続けてきたが、平成24年から25年にかけて1台目、今年度末で2台目が設置完了。今後は状況に応じて冷房能力の高い機器の導入も検討している。衛生基準をクリアしているためトイレの洋式化の予算取りはできない。
○大規模給食センター建設計画を見直し、自校調理の存続という最重点要求については、センターも自校調理も経費の上昇は同様。センター給食は給食の内容、経費、衛生管理、どの点においても基準をクリアしている。
総務課・・・
○災害時の炊き出しに給食施設を使用できるようにという要求に対しては、状況や被災者のニーズに応じて、区の災害対策委員会から要請があれば、教育活動の兼ね合い、調理員の勤務調整等が整えば検討する。
教職員課・・・
○来年度の正規調理員の採用は2名程度。採用年齢の引き上げは、来年度以降の検討課題。定年延長後の働き方や、会計年度任用職員の待遇改善については、教育委員会個別での対応は難しく、総合的体制の検討が必要。
という不完全燃焼な回答でした。
子どもたちの健やかな成長のために
採用があるとはいえ、退職者数には遠く及ばず、フルタイム再任用職員や臨時的任用職員が正規のポジションに配置される学校は来年度も増えてしまいます。60歳を超えてもそれまでと変わらない働き方をしなければなりません。そんな、おかしいことに対して団結して怒りの声をあげることが大切です。調理協の掲げる要求の実現は、子どもたちの健やかな成長につながることを信じて、これからも粘り強く活動を続けます。
児総センター支部 回答交渉
「広島市に生まれてよかった」
そう思える療育をめざして
12月26日、児総センター支部は15名が回答交渉に臨みました。
嘱託職員の欠員を正規採用で補充
来年度の人員に関しては、発達障害児クラスや診療機能の充実のため、職員の増員13名が上げられました。嘱託保育士の欠員は恒常化しており、過去最多の18名の欠員を出しました。そんな中、令和7年度に9名分の欠員を7名の正規で採用すると回答がありました。しかし、福祉職場は採用をかけてもなかなか人材が集まらない現状もあります。引き続き、福祉職場の処遇改善にも力を入れていきたいと思います。
専門性とやりがいに見合った賃上げを
また、今回広島市社会福祉事業団嘱託職員の一時金が大幅改善されたことは大変喜ばしいことですが、昇給幅は据え置きです。また、経験加算が外された分、障害児療育の専門性を培っていくためには、まずは、広島市の給与形態と同様にし、さらに専門性を強化するための増給を求めていかなくてはなりません。さらに、この物価高に応じた賃金保障が最優先されます。引き続き、働くやりがいとそれに見合った賃金の要求を広島市や広島市社会福祉事業団とともに行っていきます。
行政の責任で施策の充実を求める
私たちからは、こども療育センターの親子通園に対する療育期間の保護者利用料軽減を訴えました。また、老朽化した施設や園バスについても、安全に療育を行うために予算の確保が必至です。ほかにも、西部こども療育センターの直営給食の意義についても発言しました。
広島市の全ての子どもたちを行政が責任をもって支えるのも保健センターの役割です。コロナ禍で家に閉じこもっていた親子が、ようやく今年度になってセンターに来るケースが増えました。広島市に生まれてよかったと思えるように、行政の権限をもつ保健センターとの連携、充実を施策として発展させていきたいと思います。
協力しよりよい療育となるように
山ア支部長からは、「職員が子どもたちのために、家族のために、地域のためにと何でも話し合いながらできることを積み重ねていくことが大事で、そのために療育の環境、職員の待遇をよくしていかないといけない。私たちも協力しながら同じ方向を向いていきたい」とありました。
児総センター支部として、今後も共に働く事業団労組と保護者と共同でよりよいセンターになるよう取り組んでいくこと、広島市の障害児保育・療育全体を見据え、これからも運動を続けていきます。
業務協回答交渉
要求し勝ち取った新規採用
職員減少に歯止めをかけれるか
12月19日、学校業務員協議会は、8月に提出した要求書に対する回答交渉を行いました。
人も予算も時間も足りない 実施体制の確保は切実な課題
冒頭、宮脇議長は「学校施設は老朽化が進み、学校要望は多様化・高度化している。学校業務員の職責は年々重くなる中で、長年にわたり退職不補充が続き、正規職員は減少と高齢化の一途をたどってきた。改善をしたくても人・予算・時間のどれもが足りない状況は深刻さを増している。一方、この数年間、体制見直しの協議を重ねてきた中で、昨年度7年ぶりの正規職員の採用へ繋がり、目指す体制の形も徐々に明確化してきている。積み上げてきた協議の土台が崩れることのないよう、そして先行きの不透明さで現場のモチベーションが下がることのないよう、要求事項に対し誠意ある回答を頂きたい」と述べました。
厳しい財政状況のなか 今後につながる新規採用
加茂教職員課調整担当課長は、「新たな定数に向けて、学校の安定的な維持管理と技術継承を目指す中、ようやく昨年度、7年ぶりに新規採用を実現することができた。しかし今年度は、32年ぶりの大幅増の給与改定や物価高騰により、財政状況が一段と厳しいものとなった。こうした状況のもとで次年度体制を検討し、2名の新規採用となった」と回答しました。
現在の学校業務員の年齢構成や技術継承に必要な期間を考えると、2名採用は決して十分な数とはいえません。しかし、昨年度に続き、2年連続で複数名の新規採用を勝ち取れたことは、「学校施設の維持管理には直営での学校業務員が必要。そのために継続的な新規採用が絶対」と強く訴えてきた成果であり、将来に繋がるものです。
学校に必要な業務員の存在 現場からの声を訴えていきたい
児童・生徒が安心して学校生活を送るためには、多岐にわたる学校要望に、即時的に対応できる学校業務員の存在が必要です。これからも正規職員・会計年度任用職員がともに、それぞれの職責に見合った働き方ができるよう、職務内容を精査し労働環境・労働条件の改善を訴えます。また、若手・シニア双方が安心して学校現場で活躍できるよう、全体でサポートできる組織構築を目指して、協議・交渉を続けていきいたいと思います。