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 ゲームもできる算数問題
  合計の範囲を問う
    −ゲームを通しての指導−
 

  TT授業の試み

  福 山 市 立 水 呑 小 学 校
    教諭     粟 村 啓 史
 
 一通りゲーム感覚で遊ばせた後、何気なく「問い」を発する。実はこの「問い」にこそ、子ども達に振り向かせたい一番大きなものがある。


 第1段階
  
 まず、下のようなプリントを用意し、児童一人一人に配る。
 まず、「位置を指し示す」ことを確認する。

    
E               
D               
C               
B               
A               
@               


(発問1)
   二年生の時に、「何列目の何番目」というのを勉強しましたね。では、「ウのB」を指さしてご覧なさい。

「アの@」「エのD」のように、3回ほど練習させる。



 第2段階
 


 

「位置を指し示す」ことが確認できたら、次のように指示する。


(指示1) 
  マス目が30個あります。どこでもいいですから、好きなマス目を10個選んで、そ
  こに○を1つずつ書いていきなさい。全部で10個○を書きなさい。
 
 
 全員が○を書き終わったのを確認したら、次のように説明する。


(説明1)
  例えば、「オのD」と言ったら、その場所に×印をしてください。その場所に○印を
  書いている人は、その○に×印をしてください。同じことを10回繰り返します。
  ×の付かない○がたくさん残った人が勝ちです。
 


例えば、次のように書く。

E  ○           ○ 
D     ×     ○  × 
C     ○  ×     ○ 
B     q         
A  ○     ○     q 
@     ○         


席順で10人の子に言わせる。一人言うたびに、「ヤッター、助かったー!」とか、「ウワー、ダメー!」とか、みんな大はしゃぎである。10人が言い終わった後、×の付かない残った○の数を調べる。
 「全滅の人」、「○が1個残った人」、「2個の人」、「3個の人」・・・というふうに、挙手によって簡単に素早く人数を確認するのである。ゲームを盛り上げるためには、誰がトップだったかも確認しておくとよい。最後に手を挙げたものの勝ちであるように、じらしながらもっていくとよい。


 

 第3段階
 
 
 同じマス目のプリントをもう1部用意しておいて、次のゲームをさせる。
 
 
[ゲームのやり方]  

(@)
  プリントの30個のマス目に、1〜30の数をアトランダムに書かせる。自分の好きな
  マス目に好きなように、バラバラに数を書いていくのである。ただし、デタラメにバラ
  バラに書いていると訳が分からなくなってしまうので、1〜30は順番に唱え、書く「場
  所」をバラバラにしながら、順番に数を書 かせるようにする。
  「数」は順番に、書く「場所」をバラバラにするのであ る。全員が書けたのを確認し
  たら、いよいよゲームの開始である。

(A)
  教師は子ども達に、10個の場所を指定することを告げる。例えば、「アの@」とか
  「エのB」とか言って、10個の場所を指定するのである。そして、子ども達には、そ
  の指定された場所に赤鉛筆で○印を付けさせる。あらかじめ自分が書いた数を大
  きく囲むように○印を付けさせるとよい。

(B)
  児童それぞれのプリントに、10個の赤丸が付いたことになる。赤丸の付いている
  「場所」はどの子も同じだが、そこに書かれている「数」は一人一人みな違うはずで
  ある。

(C)
  教師は、その赤丸の付いている数を10個分全部足させる。その10個分の数の合
  計が各自の得点となることを告げる。

(D)
  数名の子に得点を言わせてみる。そして、全体にもっと得点が上だった人がいるか
  どうか問うてみる。誰が一番になったか、きっと教室中が湧くことであろう。

 

例えば、次のように書く。

E  20   6  17  21  9 
D  13   1  12   4 26
C  24  16  29  22 10 
B   7  25   2   3 11
A  19   5  23  27 30
@  14  15   8  28 18


 10個の数を足し算させるのだが、5年生や6年生ではスムーズにできたが、3年生・4年生では随分手間取った。二人の教師は、机間指導しながら援助する。
 全員が各自の得点を計算したら、何気なく次のように問う。



(発問2) このゲームでの得点の範囲を考えてみよう。
     一番多く得点したとして、それは何点になるでしょう。
     一番少なく得点したとして、それは何点になるでしょう。
     それは、どのように考えたらいいのかな?
 


 つまり、最高点と最低点の「得点の範囲」を問うのである。このとき子ども達は、いくら最低点であっても0点になることはない、ということに気づく。では一番少なかったとして、それは何点になるのか。一番多かったとして、それは何点になるのか。子ども達の思考が始まる。しばらくすると、子ども達に明るい兆しが見えてくるのである。考えを発表させる。
 
   °一番少ない場合は、小さい方から順番に10個の数を足せばよい。
     1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=?
 
   °一番多い場合は、大きい方から順番に10個の数を足せばよい。
     30+29+28+27+26+25+24+23+22+21=?  又は
     21+22+23+24+25+26+27+28+29+30=?
 

(発問3) 
  この足し算の仕方にはいろいろな方法があるはずだね。どのような計算の仕方
  があるだろうか。できるだけたくさんの方法を考えてください。
 
 

(指示2) 
  一番少ない場合を(A)、一番多い場合を(B)とします。(A)を研究するか(B)を研究
  するか決めなさい。途中で質問がある人は、(A)を研究する人は○○先生に質問
  しなさい。(B)を研究する人は△△先生に質問しなさい。それでは始め!
 
 
 その後約6分程度考える時間を与えた。二人の教師は、それぞれ分担して机間指導をして回る。6分後に黒板に考えを書かせる。

(指示3) 
  では、(A)・(B)それぞれ、黒板に考えを書きたい人は、前に出て自分の考えを書
  きなさい。
 
 
 (A)・(B)それぞれに何人かが前に出て、黒板に考えを書いている。書き終わったのを見て、一人ずつ説明させる。
 
 
 
(A)の場合。
  ・前から順番に足していく。
  ・(1+10)、(2+9)、(3+8)・・・のように、「11」を5組作るという考え。
  ・(1+9)、(2+8)、(3+7)・・・のように、「10」を5組と残りの「5」という考え。
  ・台形の面積の公式に着目した考え。
 などが出てきた。
 
 
(B)の場合。
  ・一の位を先に合計し、十の位を合計してから足す。
    1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=55
    20×10=200
    55+200=255
 
  ・「51」になる組を作って計算する。
    (21+30)+(22+29)+(23+28)
                 +(24+27)+(25+26)=51×5 
                       よって、51×5=255
 
  ・「50」になる組を作って計算する。
    (21+29)+(22+28)+(23+27)
              +(24+26)+25+30=50×4+25+30
             よって、50×4+25+30=255
 
  ・21〜30を全部30として考え、
    30×10−(1+2+3+4+5+6+7+8+9)=300−45
    とする考え。
 
  ・21〜30を全部20として考え、
    20×10+(1+2+3+4+5+6+7+8+9+10)=200+55    とする考え。
 
 などが出てきた。
 
 
 
※TT授業としては、T1・・・授業の全体の流れを作る。
          T2・・・机間指導による援助または個人指導。



                                          

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