TOSSランド : 授業・教科等/基礎学力定着/算数/2年生


 2年 「ひきざん(2)」 第1時
       -「向山型算数」での筆算指導-
 
2000.9.18
大阪書籍2年上巻
   P.59〜P.60
福山市立水呑小学校
教諭    粟村啓史
 「向山型算数」での指導を心がけた。
 この単元では、子ども達は「(3位数)−(1,2,3位数)」の学習をする。
 本時はその第1時。繰り下がりのない場合の計算の仕方の学習である。
 まず、日付、単元名、ページを書かせた。


(指示1) ノートの新しいページを開きなさい。9月18日、ひきざん(2)と書きなさい。
      ページはP.59〜P.60。ページ数を赤鉛筆で囲みなさい。物差しを使って線
      を引くのですよ。
 
 
と、指示した後、隣同士で確認させた。指示通りにしていない子には、指示通りにやらせる。
 その後すぐ黒板に、1学期の復習であるひき算の筆算問題を2問書いた。繰り下がりのない「(2位数)−(2位数)」の筆算である。

          54            76   
        −23          −34   
 

(指示2) この2問、すぐノートにやりなさい。できたらできたと言いなさい。
 

 「問題と問題の間をキチンとあけ、物差しを使ってまっすぐ線を引くのですよ。」と、注意を促す。しばらくすると、「できました。」「できました。」と次々と反応が返ってくる。
 8割方の子ができているのを確認して、「筆算の読み」をさせた。これも1学期の復習である。

(指示3) 2問ともできている人は黒板を見ながら一緒に読みます。まだできていない
      人は、その間にやってしまいましょう。
 

 「ごじゅうよん ひく・・・、はい、どうぞ。」という合図と共に、子ども達は一斉に読み始めた。1学期に、次のように読むように指導していた。

     (1)54ひく23は、         (1)76ひく34は、
     (2)4ひく3は1           (2)6ひく4は2
     (3)5ひく2は3           (3)7ひく3は4
     (4)こたえ、31           (4)こたえ、42
 

(指示4) あってた人は赤鉛筆で丸。違っていた人は直しなさい。直したら丸していい
      ですよ。まだの人は見て写しなさい。写すのもお勉強です。一番いけないの
      は、何もやっていないことです。
 

 私は、「一番いけないのは、何もやっていないことです。」というフレーズは子ども達に覚えさせることにしている。「一番いけないのは」と言うと、「何もやっていないことです」と返ってくるのである。
 その後教科書を見させる。

(指示5) 教科書、59ページ。鉛筆番号1番。
 

と言うと、「鉛筆番号1」の鉛筆の絵にサッと指を当てる子が増えてきている。「指の目も添えて読みなさい。」という指示と、指を当てて読んでいる子を誉め続けてきたことが少しずつよい方向に向かっているように感じられる。このときも誉めてやった。

おおっ、すごい!! すぐ、サッと指を当てた子がいる。サッと反応できる子はかしこい。かしこくなる練習を1回したことになる。とってもすばらしい!!
 

と言って、少しオーバーに誉めてやる。短く、力強くにである。すると、教師のそれを聞いた途端にハッと気付いたように素速く反応しようとする子がいるはずである。当然その子らもバッチリ誉めてやるのである。

・・・あっ、今の先生の話を聞いてサッと指を当てた子がいる。その人もすごい!!とってもすばらしい!! サッと反応できる子はかしこい!!
 

 続いて次のように指示する。

(指示6) まず先生が読みます。目で追いなさい。

(問題文)
ぎゅうにゅうパックを 345こ あつめました。
おもちゃを つくるのに,132こ つかうと,あと なんこ のこって  いますか。 
 

(指示7) 「ぎゅうにゅうパックを 345こ あつめました。おもちゃをつくるのに,132こ
      つかうと,あと なんこ。」
      はい、次読む一文字はどれですか。指で差しなさい。
      はい、自信ある人?
 
 
このごろは、指の目を当てながら目で追っている子がとても多くなった。「自信ある人?」と問うとほとんどの子が手を挙げる。
 「じゃあ、次読む一文字は何ですか?」と問うと、「のー」と一斉に返ってきた。

(指示8) では、全員で、声をそろえて問題文を読んでごらんなさい。
      では、どうぞ。
 
 
そろわなかったらやり直させる。うまく読めたら、「はい、とっても上手に読めました。」と誉める。

(指示9) ノートにと書きなさい。その下に、今の問題を解く式を書きなさい。書けた
      ら、書けましたと言いなさい。
 

 しばらくして、子どもを指名して言わせる。(345−132)

これ、簡単ですね。どうして簡単なのですか?
 

  ・こう問うと幾人もの子が手を挙げた。あまり多かったので、「さん、はい」    と言って一斉に言わせた。(本に書いてあるからでーす。)

そう、そのとおり!! 本に書いてあるからです。教科書をキチンと見ている子はちゃんと分かります。教科書をしっかりと見られる子は賢くなっていくのです。お勉強もちゃんとできるようになっていきます。
 

と言って、教科書をキチンと見ることの大切さを、毎回毎回、くどくくどく、言い続ける。

(指示10) 式を書いたら、筆算の形に書いてご覧なさい。今まで習った通りにやったら
       できます。自分で計算の答えも書いてご覧なさい。
 

 「三点セットで書くのですか?」と問うた子がいた。

(指示11) 全員、三点セットで書いてご覧なさい。
 

と指示した。2学期が始まったばかりの最初の授業の時(たしざんの単元)、「文章題の問題をノートに書くときの約束は?」と問うたが、最初は何にも反応がなかった。「ノートにはどのように書くのだったのですか?」と問い、「式」「お助け計算」「答え」の3つを確認し、三点セットの復習をしたのであった。
以下のように板書した。


     しき 345−132=213

          345
        −132    
         213
 
      こたえ、213こ
 
 
筆算の部分は、






 

 (1)345−132は、
 (2)5−2は3
 (3)4−3は1
 (4)3−1は2
 (5)こたえ、213
 
と、全員で読ませた。

(指示12) ちゃんとできていた人は、「式」「お助け計算」「答え」の3つに丸を書きなさ
       い。三点セットで書いたら3つ丸ができます。 
 
 
まだできていない者には、見て書き写すように促す。

(指示13) 教科書60ページ。イルカの1番。今サッと指を当てた子は賢い。
      問題は全部で何問ありますか?
 

 「7問です。」と子ども達。

(イ1)      296       647         916
       −135     −140       −603 


         547−531        879−871

         376−52         765−2

 

(説明1) 筆算の形で書いてあるのが3問あります。指差してご覧なさい。その下に、
      筆算の形になっていないのが4問あります。どれですか。指差してご覧なさ
      い。筆算の形になっていない問題は、筆算の形に書き直して問題を解くので
      すよ。

(指示14) 1番目の問題、指差しなさい。読んでご覧なさい。次、2番目の 問題、指差
       しなさい。読んでご覧なさい。次、3番目の問題、指 差しなさい。読んでご
       覧なさい。次、4番目の問題、指差しなさ い。読んでご覧なさい。
       今読んだところまでノートにやったら、先生の所に持ってきなさ い。4問目
       だけ見てあげます。先生に丸をもらった人は最後の7 問目までやりなさ
       い。全部終わったらもう一度先生の所に持って きます。
       では、用意、はじめ。
 

 もちろん、問題と問題はキチンと間を開けること、物差しを使って線を引くことをその都度その都度指導する。指示通りでない者はやり直させる。
 (2年生は12マスのノートを使わせている。「問題と問題の間」は、横の場合は3列開けること、上下の場合は2行空けることとしている。)(※注:実は徹底できていない。反省すること多し。)
 しばらくすると、次々と4問目までやって持ってくる。4問目だけ素速く丸付けをして返す。ノートを持ってくるとき注意すること、

  両手を添えて出しなさい。
 

と言い続けることである。教師にノートを見せるときのノートの出し方、手渡し方である。片手で出したり、逆さまに出したりしたら、キッチリとやり直させる。このことだけは今でも徹底させている。
 余談ではあるが、子どもによっては、「お願いします。」と言ってノートを出したり、「ありがとうございました。」と言ってノートを受け取る子がいる。

おっ、すごいね。「お願いします」のご挨拶ができる子がいるよ。素晴らしいね。・・・「ありがとうございました」ってご挨拶ができる子もいるね。とっても素晴らしいね。
 

と言いながら、その都度その都度誉めていく。言った子には必ず誉め言葉を掛けてやる。そうこうしていると、「お願いします」とか「ありがとうございました」とか言う子が増えてくる。
 さて、指示14の次である。
 しばらくすると、7問目まで全部終わった子がノートを持ってくるようになる。 7問目だけを見て丸付けをする。そして、7問目まで終えて持ってきた順に、@、A、B・・・と番号を書いてやる。
 5人〜10人ほどできたところで、

(指示15) さっきの番号、7番までの人、出てきて黒板にやりなさい。
 

と指示する。
 7人が黒板に書いている間にも次々とノートを持ってくる。通し番号を書いているので今何人できていて、あと何人できていないかが分かる。
 8〜9割方できたところで、答え合わせをさせる。一問ずつ読ませるのである。読ませ方は上述のとおりである。

(指示16) 7番まで全部終わった人は全員前を向きなさい。黒板を見ながら、 全員で
       声を出して読みましょう。まだ終わっていない人は、続けて問題をやりなさ
       い。
 

と言って、一問ずつ読ませる。一問終わるたびに、

(指示17) 合っていた人は丸。違っていた人は直しなさい。分かんなかった 人は見て
       写す。
 

と言う。7問終えたら最後にもう一度、

(指示18) 合っていた人は丸。違っていた人は直しなさい。分かんなかった人は見て
      写す。見て写すのもお勉強です。一番いけないのは何もいていないことで
      す。
 

と念を押す。やらずに済まそうとする子がいるかもしれないし、ついうっかりやり忘れたり、やりとばしたりしていることがあるかもしれない。時には教師がノートを集め、チェックすることも大切である。或いは、



 

・全員できているかどうか、班の中で確かめなさい。
・隣り同士でチェックしなさい。
 

などの方法で、子ども同志でチェックさせ合うことも有効である。



                                       
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