文章題の答え方の指導
 
     2000.6.20実践

 


 大阪書籍「しょうがくさんすう2年上」(P.31)

 長さ(1) まとめのれんしゅう より
 
 
問3
  ありが、さとうを とりに いこうと して います。 赤い 線の みちと 青い 線の みちでは、どちらが どれだけ みじか  い ですか。
  線の 長さを はかって しらべましょう。
  
 まず目で追わせる。



(指示1) チューリップの3番。まず先生が読みます。目で追いなさい。
 


と言うと、チューリップマークの問題番号にサッと指を当てる子が増えてきた。



 ありが、さとうを とりに いこうと して います。
 はい、次の一文字は何ですか。
 


 ちゃんと目で追っていた子は「赤です。」と答えられる。答えられなかった子は、ちゃんと目で追おうと意識するようになる。
 続きを読ませた。さらにもう一度全員で読ませた。続いて指示2。



(指示2) 問われているところに なみなみ線 を引きなさい。
 


 これまで、文章題が出てくる度に、「文章題の文章に線を引く」ということを指導してきた。次のような約束にしている。
 
・分かっていること      (分かっていることには定規でまっすぐの線を引く。)
・問われていること     (問われていることには、なみなみ線 を引く。) 
・問われている単位  ○       (主としてなみなみ線を引いた中で問われて
                      いる単位を○で囲む。)



(指示3) なみなみ線を引いた人は起立。
 


 線を引き終わったことを確認するためと、少しでもサッとすることを意識させたいために、線を引き終わった子を立たせる。
 「イチ、ニ・・・、サン、シ、ゴ・・・、」というように、立った子の順番を言っていく。教師としては今何人立っているかを確認できるし、子ども達には「サッとしなくちゃ・・・」という意識を持たせることにつながる。20番まで(29人中)は番号を言っていく。その後は全員に読ませる。



(指示4) 線を引いたところを読んでご覧なさい。
 


 子ども達、

赤い 線の みちと 青い 線の みちでは、どちらが どれだけ みじ
かい ですか。」
 
と答える。
 その後、何カ所の長さを測るのかを確認して、「長さを測ったらノートに式で表しなさい。」と指示。「このように書きなさい。」と言って、書き方も黒板に提示してやった。(下記)



P.44

  (赤)    cm +   cm =    cm

  (青)    cm +   cm =    cm

 
 「ではやってごらんなさい。」といって始めさせた。
 数分後、黒板に書き表して計算の確認をした。
 そこで発問。



(発問1) では、この問題には、どのように答えるのが正しいのですか。
 


 これまでにも、文章題の問題の時には「答え方」について指導してきたのだが、定着までにはものすごく時間がかかる。指導のチャンスがある限り、何度も何度も繰り返すべきである。どこにどのように留意しなければならないのか、子ども達には難しいのである。
 発問1に対する反応はすこぶる鈍い。一つ一つ確認する必要がある。



(発問2) 問われていることは、幾つあるのですか。
 


 以前にも似たような問題があった。すぐ分かった子もいる。「3つ」と答える。



(発問3) 何と何と何ですか。
 


 子ども達、




 
 
一つ目は?
二つ目は?
三つ目は?
  どちらが
どれだけ
みじかいですか。
 
 
 


と答える。



(発問4) 「どちらが」と書いてあります。何と何を比べているのですか。
 


 これがすぐには合格とはいかない。
 子ども達とのやりとり、





 
 
・赤と青   ブブーッ! 違います。
ブブーッ! 違います。
・赤い線と青い線  
 



 


である。
「え!」「えぇ!」と言いながら、「なんで?」と考えているようである。教科書の問題文に目を向ける子は少ない。
 そこで、「教科書の問題文をよく読んでご覧なさい。教科書の問題文には何て書いてあるのですか。」と問いかける。
 そして、やっと、




 

「赤い線のみち」 と 「青い線のみち」
 


の二つなのだということが分かる。ここまでもってきて、次の指示をする。



(指示5) では、ノートに正しく答えを書きなさい。書いたら、自信のある人、持って
      らっしゃい。
 


 しばらくすると「できた。」と思っている子や「書けた。」と思っている子がノートを持ってくる。しかしこの時点では全員バツである。上の発問3や発問4でやったことが全然生かされていない、全く意識されていないのである。



(指示6) 問われているとおりに答えるのですよ。
 


と念を押す。しかし、なかなか ○ にはならない。
 あれだけ言ったのに・・・と思えるくらい、平気で間違った答え方をしてくるのである。
 「赤」「青」とか「赤い線」「青い線」とか書いているし、短い方を問われているにもかかわらず、「赤が長い」と書いてくる子もいる。
 私はひたすら大きくバツを書くのみである。なかなか正解者が出ない。



(指示7) どのように答えなさいと書かれているのですか。教科書をもう一度よく読
      みなさい。
 


 ここまで来ると子ども達、やっと本気になって本を読み出した。
 その後、やっと正解者が一名出る。私は、



はい、合格第1号。もう、花丸つけちゃお!!
 


と、大げさに誉めてやった。
 しばらくすると、合格第2号、合格第3号と出てくる。波及効果は徐々に広がってくるのである。
 最後の一人まで、全員ノートを持ってこさせ、全員に丸を書いてやった。
 早く終わった子には、同ページの の問題をさせた。「教室の中にあるいろいろなものの長さを測ってみましょう。」という問題である。一つ測ったらノートに書かせ、ノートを持ってこさせた。このとき、いつもはダラーッとしている或る子の笑顔が印象的であった。一つ書いてノートを持ってきたとき、雑な字ではあったが、「よし、いいぞ。よーし、よくできた。」と言って大きな声で誉めてやったのである。私の顔を見て、笑顔を示した。とってもいい笑顔だなぁと思った。