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堀井 康之さん (33歳/三原市)
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少し怖かったけど、大それた事じゃない。
設計技術者として国内外を出張で飛び回ることの多い堀井さん。会社の有給休暇を取って臨む検査や骨髄採取の日程を、広島市の病院側とどう合わせるかに頭を悩ませた。提供のため、入院する前日まで、残業続きだった。
「正直言って、骨髄液を採取してもらうために入った手術室の照明が目に入った時は、怖かったですよ」。その日の夕方、全身麻酔から目が覚めると、骨髄提供に不安を示していた母の姿が目に入り、「終わったなぁ」と実感したという。しかし、体への影響はまったくといっていいほどなかった。
堀井さんが骨髄バンクに登録したのは、ある偶然からだった。
正月休みで山県郡千代田町の実家に帰省し、父親あての年賀状を整理していた時、骨髄バンク運動をバックアップする「ひろしま骨髄バンク支援連絡会」からの1通に、たまたま目が止まった。
父はその少し前に骨髄バンクへの登録を希望したものの、年齢制限(50歳まで)を超えているため果たせなかった。この縁で、登録手続きの問い合わせをした支援連絡会から、年賀状が届いていたのである。
中学時代に友人を白血病で失った経験のある堀井さん。実は骨髄バンクに関心を持ちながら、登録方法が分からずにそのままにしていた。そこで、あらためて支援連絡会に電話で問い合わせ、登録に踏み切ったという。
「自分の方は、ちょっと大きい程度の献血に協力したつもりです」。堀井さんは謙虚に振り返る。提供から半年後。骨髄バンクのコーディネーターを通じ、骨髄液を提供した男の子から「テレビを見たり、ファミコンができるようになりました。ありがとうございました」との手紙が届いた。
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