田中 豊光さん (40歳/広島市)
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健康の大切さと命の尊さを痛感しました。
「えっ 本当ですか」。
骨髄液の提供へ向け、最後の検査となる3次検査を要請する連絡を受けて、田中さんはびっくりした。登録の手続きをしてから、既に2年が経過していた。「まさか自分のHLAが誰かに合うとは思っていなかったし…。正直、忘れかけていましたから」。
友人のすすめで、軽い気持ちで骨髄バンクに登録した。仕事は経済団体の職員。「仕事の都合で、検査日など何度も変更して迷惑をかけました」と苦笑いする。
骨髄液の採取日は、海外出張のためずれこんでしまった。採取では全身麻酔を伴う。担当医から十分な説明を受けたものの、「これまでまったくの健康体だったので、麻酔よりも、入院したり手術室に入ること自体が不安でした」。しかし、採取は順調に終了。麻酔からさめた気分も良く、ほっとしたという。
骨髄採取のすぐ後、提供先の男性の家族から匿名で感謝の手紙が届けられた。その後、骨髄バンクのコーディネーターを通じ、田中さんからも手紙を書き、先方のご本人からは数か月後、「元気に回復し、仕事に復帰した」とのうれしい連絡が届いている。
「今回のことを通じ、本当に健康の大切さと命の尊さを知りました」と田中さん。当時、小学2年生だった娘さんもなんとなく興味を持ち、田中さんがまったく知らないうちに、父親の貴重な体験を学校の作文で紹介していた。
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