石井 隆博さん (35歳/東広島市)
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自分に自信が持て、大きなものを得た。
「もう1人、自分に子供ができたような気持ちでした。今も、元気で成長してくれていると信じています」。
石井さんは、自分が骨髄液を提供したと聞いた、名も知らない女児に、そんな思いを今も寄せている。
骨髄バンクに夫婦で登録したのは、初の子供となる女の子が誕生したすぐ後。骨髄バンク運動のことを伝えるテレビを一緒に見て、「うちの子には幸い病気はないが、もし白血病のような病気になったら…」と思ったのがきっかけだった。
文化財発掘を担当する公務員である石井さん。骨髄液を採取された時期は、予算づくりの仕事もあって忙しい時期だったが、職場の上司の理解で、骨髄ドナーのボランティア休暇を県内の自治体で初めて取得できた。
採取日までは「とにかく体調だけは整えるよう気をつけた」。全身麻酔は初めての経験で、不安もあったが、何事もなく4日間の入院は終了した。骨髄液を採取した腰の部分に鈍い痛みがわずかにあったが、それも1週間ほどですっかり消えてなくなった。
「実は、そのころ仕事のうえで迷っていたころだった。しかし、骨髄提供をさせてもらったことで、自分でも社会に役立つことがあるんだ、と自信になりました。それから、仕事に迷いがなくなったんです」。
骨髄ドナーとなった経験を通じ、石井さんが得たものは大きい。
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