1.出会い編 序盤

幻魔、襲来


 高校受験を控えたその夏、FUJITAは予備校の夏期講習を受ける気になった。趣味は読書、読むものがなくなると暇つぶしに教科書や百科辞典を読むというFUJITAは、勉強がむしろ好きであったが、英語だけは百科辞典も役に立たず自信がなかったのだ。
 毎日講習が終わるとただ家に帰るのはつまらない。FUJITAはたいがいそばの書店にに立ち寄った。主としてマンガの立ち読みのためである。当時のFUJITAはマンガとは暇つぶし以上の役割を持たないものと考え、”釣りキチ三平”以外のマンガを買うことは決してなかった。
 その書店でFUJITAは様々なマンガを読んだ。このときはまだFUJITA自身のマンガ観を変えるほどの作品には出会わなかったが、どうしても続きが読みたいと感じた作品があった。もちろんそれが”幻魔大戦”であった。
 出版の日付が古いにもかかわらず続きは他の書店でもなかなか発見できない。が、ついに緑の表紙の小説を発見し、そしてそのまま凍りついた。

 全部で10巻以上!?いや量は問題ではない。問題はである。なにせ、当時のFUJITAのこづかいはすごく少なかった。FUJITAは普段あまり金を使わなかったので、それで十分、むしろ貯えがあるぐらいだったが、その貯えが一気に消耗する金額である。FUJITAは肩を落として家路についた。

 1ヶ月後、FUJITAは書店でその本をにらんで油汗を流していた。懐には臨時収入の図書券が1000円分。3巻までは買える。だがその先は著しいこずかいの消耗が待っている。
 ああ、果してこの小説にそれだけの価値があるのだろうか?


次回予告
 いきなりのピンチを迎えたFUJITA。果たしてFUJITAは幻魔を倒せるのであろうか!?


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