奇跡の価値は
徳間からの平井和正個人誌”犬神”の出版が止まっていた。何故だろう?
FUJITAはパソコン通信をやっていた。それは大学の将棋部の後輩、Y氏に誘われたためであって、単に連絡を取り合ったりメール将棋を指す目的であった。(ちなみにY氏はFUJITAの最も親しい後輩の一人で、在学中にAI将棋として知られるソフトを開発した人物である。)
ある日、”覆面作家のオンライン出版”というような文字が偶然FUJITAの目に入って来た。ピンと感じるものがあった。
(もしかして・・・いや、期待してはいかん。)
ニフティに登録されると、FUJITAはできる限り早く見に行った。
まずはヒントから・・・・・・SF作家・・・・・・ベストセラー・・・・・・・これは何人もいるもんじゃない。
では、肝心の作品を・・・・・・なんかみたことのない文体だ・・・・・・こ、このキーワード!・・・・・・主人公の名前!?・・・・・・うむ、ほぼ間違いあるまい。
FUJITAは速攻で作者当てクイズに応募した。サイン本を手に入れる絶好の機会と考えたのだ。そして・・・・・・。
そして奇跡が起こった。
サイン本を手に入れるというFUJITAの野望はこうして崩れ去ったのだった。