第四話
一緒に行こう!!
前編
宇部新都市郊外のマンションの一室、ここの主の名前は碇シンジという。ただいま時刻は夜の7時、世間の家庭では夕ご飯を食べる時間である。各家庭ではお母さんや奥さんが腕によりをかけて食事の支度をしていることだろう。もっとも一人暮らしである彼は自らがキッチンに立っていた。今夜のおかずはどうやらハンバーグのようだ。彼に言わせると『毎週水曜日はハンバーグの日』なのだそうだ。
理由は簡単である。毎週水曜日は彼の職場では『ノー残業デー』となっているため定時に帰宅することが出来る。よって、ハンバーグのように手間のかかる料理には好都合らしい。もっとも中学校時代には彼の親友鈴原トウジの彼女、洞木ヒカリ女史とならび、『第一中学の料理の鉄人』とまでよばれたシンジにはさしたることでもなかった。つまり『ハンバーグの日』というのが決められたのは、彼の意志の及ばなかったところで決定された事だからである。その日を決めたのは誰でもない、いまシンジのうしろでテーブルにお皿をならべている、惣流・アスカ・ラングレーその人であった。
ただ、これには理由が無いわけではない。アスカは現在山口大学工学部の研究室に第三新東京大学から派遣されて来ているが、実験の関係でどうしても晩御飯の時間が不規則になってしまう。ふつうはシンジが作ってくれたご飯を暖めて食べているのだが、やはりリアルタイムで作られたものに比べるとどうしても一味落ちてしまう。そこでシンジのノー残業デーに合わせて『毎週水曜日にはリアルタイムで大好物のハンバーグを食べる日』と決めて、この日は自分も実験の都合をつけて、シンジとハンバーグを『リアルタイムで一緒に作って食べる日』とする事にしたというわけだ。もっとも、彼女がハンバーグを作れるようになったわけではない。やはりそれは専属シェフ(アスカ任命)のシンジの仕事である。ただ、彼女がつけあわせのサラダを作ったり食卓にお皿をならべたりしている光景を、アスカの昔しか知らないものが見れば目をむいて驚くだろう。
「シンジ、お皿ならべたよ。サラダはこれで良いかな。」
「うん、上出来だよ。こっちももうすぐ焼きあがるからさ、席についててよ。」
「はーい!えへへ〜実はきょうはこーゆーものがあるんだ。」
そういいながらアスカがテーブルの上に置いたのは一本のワイン。
「どう?シュタインベルガーの1999年ものよ!」
「すごいね!どうしたの?」
「このあいだ加持さんがね、ネルフのドイツ支部に出張で行った時に買って来てくれたの。きのうミサトが送って来てくれたんだ。」
「そっか。じゃあ後で御礼の電話しとかなきゃね。・・・・・・と、さあ焼けたよ。」
シンジはコンロの火を止めると、手際よくハンバーグを皿に盛り付けた。その向かい側ではアスカがワイングラスにシュタインベルガーをそそいでいく。
「じゃあ食べようか。」
「そ・の・ま・え・に、乾杯しよう!」
「何に乾杯するのさ?」
「う〜ん・・・・・じゃあ、来週の水曜日にもおいしいハンバーグが食べられますように!」
「アスカ、それ本気で言ってる?」
「いいの!それはそれで幸せな事なんだからさ!」
「そうだね、じゃあ・・・」
「「乾杯!」」
コクコクコク・・・・・・
「ぷっはあぁぁぁ・・・やっぱりワインはドイツよねぇ!」
「それじゃあまるでミサトさんだよ。」
『そういえば今日で何回目のハンバーグの日だっけ・・・・』
食事をしながらアスカはふと考えた。
14歳の時に、エヴァンゲリオン弐号機とともにドイツからやってきて、気がつけば10年近くが過ぎていた。目の前に居るのはかつてはサードチルドレンと呼ばれた男性。さすがに今ではチルドレンと呼ぶわけにはいかないが・・・・。
『コイツとのつきあいも結構長くなっちゃったな・・・・・・・・』
いつのまにかアスカは食事をしていた手を止めて、シンジを見つめていた。
一方シンジといえば・・・・・・・
『いくら週に一回でもなぁ・・・・。ハンバーグのバリエーション変えるのって結構大変なんだぞ・・・・。来週はどうしよう・・・・?先週がイタリア風で今日がドイツ風だろ、和風ハンバーグはアスカはあまり好きじゃないみたいだし・・・・。そうだ、ハンバーグカレーは最近作ってないよな・・・。』
などど考えながら食べていたが、アスカの視線に気がつくと、
「どうしたの?味がおかしかったかな?」
「ううん、そんなことないよ。ただね・・・・・・・・。」
「ただ?」
「あいかわらずボケボケっとした奴だなーって思っただけ。」
もちろんシンジもそれがアスカの冗談とはわかっていたが、
「悪かったね、代わり映えが無くって。」
と、すねてみたりする。
などといっているうちに今週の『ハンバーグの日』は、終わりを告げた。
「「ごちそうさまぁ。」」
「どうする?アスカ。ワインまだ余ってるけど、アスカの家に持ってかえる?」
「せっかくだから、二人で飲んじゃおう。アタシが持ってかえって一人で飲んでもつまんないしさ。それに枯れ木も山の賑わいっていうじゃない。」
「・・・・・・・枯れ木って、もしかして僕のこと?」
「あら、そう聞こえなかった?」
「・・・・・・・・・・せっかくつまみを作る気になってたんだけどなー。」
「あーん!冗談だってぇ〜!」
結局そのあとシンジの家のリビングで残りのシュタインベルガーはきれいに無くなった。
「あーあ・・・無くなっちゃた。さらばシュタインベルガ〜、アウフウ゛ィーダーゼーヘン〜。」
「おいしかったね。」
「ん・・・・・ひさしぶりだったな・・・・・ドイツのワイン・・・・・。」
シンジはテーブルの上を片づけながらふとアスカの方を見ると、アスカは空になったワインのボトルをテーブルの上でコロコロところがしていた。
「空き瓶かして、あした粗ごみに出しとくから。」
「いい、アタシが出しとく。」
「・・・・・・・・・そう・・・・・。」
「じゃ、アタシ帰るわ。きょうはごちそうさま。」
そう言うとアスカはワインの空き瓶を持って立ち上がった。
「ねえ、来週はどんなハンバーグ?」
「それは次週のお楽しみってことで。」
と、その時、電話のベルが鳴った。
リリリリリリリリリ・・・・・・・・
「だれだろう?」
シンジは身体をひねって後ろにあった電話の受話器を取った。
「はい、碇です。・・・・・・・・・・・・あ、綾波?どうしたの?・・・・・・・アスカなら今ここにいるけど・・・・・・
うん・・・・・・・わかった。」
「アスカ、綾波から電話だよ。」
「えっ?アタシ?」
「もしもし?アタシよ、アスカ。どうしたのよレイ。」
『ごめんなさい、碇君のところにまで電話して・・・・・。貴方のうちにかけたら留守だったから・・・・。』
「そうだったの、アタシもこれから帰るところだったのよ。で、なにごとなの?」
『実は・・・・・アスカにお願いしたいんだけど・・・・今度の日曜日、空いてる?』
「アタシはかまわないけど・・・」
『そう、よかったぁ・・・・あ、あの・・・一緒に・・・映画に行って・・・欲しいの・・・・』
「映画ぁ?」
話は2時間ほど前にさかのぼる。レイは仕事を終えて自分のマンションに帰ってきた。部屋に入って服を着替えると、端末を開いてメールのチェックをする。これは手話関係の連絡事項を確認するためだ。かつては聴覚障害者の連絡手段としてはFAXが主流だったが、21世紀の今日ではEメールが使われている。しかし、年配の聴覚障害者の中にはいまだに昔ながらのFAXを使う人もいるので、レイはどちらにも対応できるようにしていた。とはいいながら、そう毎日連絡が入ってくるわけではないのだがこれも彼女の習慣であった。
『あ、1件届いてる・・・・。』
さっそくレイはメールを開いた。
するとそれは、一人のろうあ青年から送ってきたものだった。発信人の名前は『周防ナガト』となっていた。
To Rei Ayanami From Nagato Suoh こんばんわ、聴障会の周防です。いつもサークルではお世話になってます。 えーと・・・こんどの日曜日、ふたりで一緒に映画を見に行きませんか? OKなら返信ください。 |
レイは彼の事はよく知っていた。というのもこの周防という青年は市内の聴覚障害者福祉協会でも若手のリーダー的存在で、聴障会の行事はもちろん手話サークルの学習会や手話講師も積極的にこなしている。歳はレイ達より5歳年上で、その気さくな人柄は他のろうあ者からも手話サークルの会員からも好かれている。また、聴覚障害者の和太鼓のグループにも所属しており、レイ達も何度か公演を見にいったことがあった。
『通訳の依頼かしら?』
と、初めは思った。しかし正式な手話通訳依頼ならば、余程の緊急時以外は手話通訳者派遣協会から依頼が来るはずである。改めて読み返してみるとどうみても通訳依頼にはみえない。
『ふたりで・・・・・・一緒に・・・・・・・????』
『男の人と・・・・・・ふたりで・・・・・・・映画に・・・・・・いくの?・・・・・』
ぼん!
とにかくこの時のレイの顔は、彼女の瞳の色と十分にタメをはれるくらい真っ赤になっていた。
たしかに第3新東京市に居た時は、シンジと出かけた事も何度かあった。が、簡単な買い物程度のものだったし、ましてやデートなどした事も無かった。
ファーストチルドレンにしてエヴァンゲリオン零号機専属パイロット、それだけがレイとこの世界を結び付ける絆だった。しかしサードインパクトの後、レイは自分と他人を結んでいた絆がたくさんある事を知った。そして、自分で見つけた絆も・・・・・・・・・・・・。
とはいってももともと引込み思案な性格だったため、ここ宇部新都市に来てからも仕事や手話通訳以外に男性とふたりだけで出かけた事はなかった。
これがエヴァに乗っていた時の緊急事態であったら、マニュアルに沿って行動すればいいだけであるが、男性からデートに誘われた場合の対処法など考えた事も無かった。
『どうしよう・・・・・・ことわるのも悪いし・・・・・・』
普段冷静な人間は不測の事態が生じた時には、落ち着いて行動すると思われている。それはその対処方法を知識や経験として積み重ねていてなおかつ瞬時に判断出来るからこそ可能なのである。
もちろんレイはいつもはきわめて冷静である。それがためかつてはアスカに皮肉を込めて『優等生』と呼ばれていた時期もあった。もちろんいまではアスカもそのような呼び方はしないが・・・。ともあれ多少の事であわてたことなど無かったのだけれど、こと恋愛問題についてはいままで考えた事もなかった。もちろん知識としての『恋愛』『デート』等といった単語は知っていても、よもやそれが自分に関係するなどどは思ってもみなかった。
『やっぱりふたりきりだと・・・・・・・・・』
さんざん悩んだ挙げ句、メールを出すことにした。
To Nagato Suou From Rei Ayanami こんばんわ、綾波です。メール読みました。 Nagato Wrote >一緒に映画を見に行きませんか? 誘っていただきありがとうございます。友達も一緒に行っていいですか? それでよろしければお返事をください。 |
メールを送信すると、無性に喉が渇いていることに気がついた。
そこで紅茶を飲むことにした。余談だが、レイは喫茶Neonライブに行った時にはカプチーノを飲んでいるが実は紅茶党である。職場には自分専用の紅茶を持っていくほどだ。先日もライブの常連さんが学会でイギリスに行った時に紅茶を買ってきてもらったほどである。
準備をしてキッチンからリビングに帰ってくると、周防からのメールが届いていた。返事はもちろんOKということだった。
レイは紅茶のことも忘れてアスカに電話をかけた。
「というわけよ、シンジ。」
受話器を元に戻したアスカはレイからの電話の内容をシンジに話した。
「だからシンジも一緒に付き合って!」
「なんで僕まで行かなきゃなんないんだよ・・・・・」
「アンタばかぁ?アタシ独りで行ったら2:1でつりあわないでしょう。」
シンジは苦笑しながらも
「わかったよ・・・・とりあえず頭数をあわせりゃいいんだろ、枯れ木も山の賑わいで・・・。」
「ふふっ・・・まあ・・・・・そんなとこね。」
「そういえば、耳の不自由な人って洋画はけっこう人気あるんだってね。字幕がついているしさ。」
「そうね・・・でもそれは人気があるって言うよりもそうせざるをえないってことじゃないかしら。」
「そうだよね・・・・・。邦画の字幕付き映画はいちいち情報センターにいかなきゃ見ることできないもんな。」
「そう・・・それに字幕がついたとしても全部の邦画につけられるわけじゃないもの。どの映画に字幕を付けるかはアンケートを取ったりしてるらしいし。自分の見たい映画につかないことだってあるわ。」
聴覚障害者への情報提供。これこそ聴覚障害者福祉の基本中の基本であり、大命題である。その砦となるのが聴覚障害者情報提供施設である。1995年1月17日におきた阪神・淡路大震災のとき、耳の不自由な人たちは生活情報を得られず大変な苦労を強いられることになった。各地から大勢集まったボランティアの中には大勢の手話通訳者がいた。2000年におきたセカンドインパクトもふくめ、災害が起きるたびに弱者の生活は脅かされていた。(注:ほんとは『弱者』っていいかた嫌いなんですけど・・・・)
ひとしきり聴覚障害者の情報提供について『熱烈な』議論を展開していた二人だったが、そこはやはり友人の初デートのほうが最大の関心事であることに帰結した。
「で、綾波たちってどこまででかけるの?」
「ふふーん、キャナルUよ。」
びっくりしたのはシンジであった。
「キャ、キャナルUぅ?!博多じゃないか!なんでわざわざそんな遠くまでいかなきゃなんないんだよ!」
「とうぜんよ!いい?もし、市内の映画館にいってごらんなさい。レイの性格だったら映画館の前で待ち合わせて映画を見るだけでデートが終わっちゃうわよ。」
「そうかもね・・・・。」
「だ・か・ら、映画を見る前にインターバルが必要になってくるわけなの。ここから博多までだったら車で3時間ぐらいでしょ?その間に二人が盛り上がることが出来るってーもんよ。」
「ということはつまり僕の車でみんなを乗せていけって寸法なんだろ・・・・・?」
「あら、今日は頭の回転が早いわね。」
実際レイはアスカの言うとおり映画館の前で待ち合わせるつもりだった。それを博多までいくことにさせたのは半分はこの理由によるものであるが、実は・・・・・このキャナルUは映画館のほかに大型デパートや専門店街、はてはホテルや病院までが一緒になった巨大な施設だ。アスカは前からここに行きたいと思っていたのだが、荷物もちのシンジ(これまたアスカ任命)と自分の都合が合わなかったり、サークルの行事が重なったりでなかなか行けないでいた。だから今回のレイのデートはまさにわたりに船だったのである。そこでそれにかこつけてシンジを巻き込むことにした。さすが惣流・アスカ・ラングレー、伊達に13歳でドイツの大学を卒業しているわけではなかった(爆)。もっとも、シンジもうすうす気がついていたりする。
そして運命の日曜日、シンジの運転するステーションワゴンは一路博多を目指して中国道を西に走っていた。本日の主役レイと周防は仲良く?後席に並んで座っている。当然アスカは助手席に座っているのだが、後席の2人から目を離してはいない。ふつう助手席から後席は身体を振り返らないと覗く事は出来ないので、アスカは昨日わざわざ○ート○ックスまでいって助手席用のミラーを買ってきてこっそりシンジの車に取り付けていた。
あの水曜日以来レイは緊張しまくっていた。職場でも大きなミスこそ無かったものの学生の質問にとんちんかんな事を答えたり、仕事中にボーっとしていたりあまりにも日ごろと様子が違うため、研究室の教授たちも『病気になったのではないか?』と本気で心配していたほどである。今日だって目を覚ましたのは朝の5時だった。
『今のところ問題はなさそうね・・・・・・・』
アスカは専用のミラーを見ながらそうつぶやいた。車が発進した時からレイは周防と手話で話しをしていた。正確には周防が語り掛けてそれにレイが答える、というパターンの方が多いようではある。シンジはそんなアスカの様子を見て苦笑しながらも、やはり自分も気になるのか時折バックミラーを覗いていた。
ところが車が関門大橋を渡って九州に入ってしばらく経った頃、ちょっとしたアクシデントがおきた。
トントン・・・
不意にアスカは右の肩を叩かれ、後ろを振り返った。周防だった。
{注:手話の会話}
{どうしたんですか?}
{うん、レイちゃんの様子がおかしいんだ。}
あわててレイの方をふりかえるアスカ、
「どうしたのレイ?!具合でも悪いの?」
みると顔色が少し青いようだ。もともと色白なレイではあるが、それでも普段に比べると明らかに違っていた。
「綾波、だいじょうぶ?」
シンジもびっくりして聞きかえす。
「くるまに・・・・よった・・・・みたい・・・」
「「乗り物酔いぃぃぃ?」」
おもわず必殺のユニゾンで聞き返すシンジとアスカ。とりあえずアスカはこの事を周防に伝えて安心してもらい、
「シンジ、少し休憩していこうよ。」
「わかった、もう少し行ったら古賀のサービスエリアだから。綾波、少しの間がまんして。」
やがて車は古賀のサービスエリアに入っていった。シンジは車を停めると、
「ついたよ、綾波。車から出て外の空気を吸ったら楽になるから。アスカ、あそこのベンチに綾波を座らせてよ。」
「わかったわ。レイ、立てる?」
「ほんとにごめんなさい・・・・わたしからお願いした事なのにみんなに迷惑かけて・・・・・」
「何言ってんの・・・・いちいち細かいこと気にしてんじゃないわよ。さ、ベンチにすわろ。シンジ、何か飲み物買ってきてくれる?」
シンジはアスカにうなずいて
{周防さん、綾波はアスカに任せて飲み物買いに行きましょう。}
周防はレイの事をしきりに気にしているようだったが、シンジに促されて一緒にSAの売店に向かった。
一方ベンチでは、
「それにしてもアンタが乗り物酔いだなんて初めてじゃない?」
今までにもレイ、アスカ、シンジは3人一緒にシンジの車でドライブに行った事は何回かあった。
「うん、・・・ずっと周防さんの手話を見てたからだとおもう・・・。」
つまりレイは今日デートに誘ってくれた周防の手話を一言も見逃さないように、いつも以上に必死になって見つめていた。それが緊張と重なって、身体に影響が出てしまった。早い話が車の中で本を読んでいるうちに車に酔ってしまったのと同じ状態になったわけである。
「そっか、アンタでもそんなことがあるんだ。だけど安心したわ、ここでデートが中止になったんじゃシャレにもなんないわよ。」
「そうね、ほんとにごめんね。」
「いいっていいって。それよりもこんどはアンタの方から周防さんに話しかけるのよ。そうすれば車にも酔わないし、なにより周防さんも喜ぶと思うし。」
「そうね、やってみるけど・・・・」
「けど?」
「・・・ねえ、・・・デートってエヴァで出撃するより大変なのね・・・。」
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「ぷっ・・・・・」
「ふふ・・・・」
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「じゃあ、がんばってねファースト!」
「わかったわ。弐号機パイロット・・・・」
あとがき
まいどおなじみ?エヴァ手話劇場、第四話のUPです。前回の腰砕けを反省して今回は少し書き方を変え、3人の日常に重点を置いてみました。第四話はレイの初デートです。これにからめて耳の不自由な人の生活や情報提供施設のことについて書いてみる予定です。年内には四話を終わりたいな。