ぺんぺんの足跡の常連にしてさすらいのギャンブラー(笑)KJさんが、ついにこの
創さんのほめぱげに投稿するという暴挙に出ました(爆)
昨年夏にBBSでちょっと流行った怪談物の投稿です。季節外れということはこの際
置いておいて、お楽しみください。まずは三つのお話です。ただし、この物語はすべて
事実だそうですぅ。
それでははじまりはじまり〜。
「母の実家の話」
私の故郷は宮城県北部にある。両親もやはり宮城生れである。母の実家は戦前は大農家だ
ったが、戦後の農地改革で土地も結構削られたことで、今は普通の農家になっている。
私が子供のときは、いかにも農家らしく台所には釜があり、土間があったが、今は台所や
玄関は今風に改築してしまった。それでも昔ながらの面影をとどめている。
現在はどうなってるかは見ていないが、私が学生の頃は、母の実家の奥座敷の裏手には、
無縁仏の墓石が無造作に立っていた。子供の頃はあまり奇妙にも思わなかったが、今考え
てみると、これは結構気味が悪い。
私は経験は無いが、従兄弟と妹は、この家で何度か怪異に遭遇している。
例えば、従兄が奥座敷に行くと、見知らぬ男が正座していて、驚いていたらスッと消えて
しまったとか、古い家具や農具やガラクタで、足の踏み場なんて全くない天井裏の物置を
ドタドタと歩き回る音を従姉弟と妹が聞いて真っ青になったこともある。
しかも、天井裏の音の時は、パラパラ…と天井からホコリも落ちてきたという。
「父の話」
私の母は霊感と言うものとは無縁の人だが、信仰心は厚い。父はというと、かなりの霊感
の持ち主である。
父は自営業で、書き入れ時には夜中の2時まで帳簿を付けていることもある。ある日、例
によって夜中まで帳簿を付けていると、「ポク…ポク…」と木魚の音が聞こえ、「ナーム
ーアーミーダ〜〜」とお経が聞こえてきた。
そこにたまたま母も居合わせ、何と霊感ゼロの母までが聞いてしまったらしい。だから幻
聴ではないと、両親は真面目な顔で言う。
また、昔、家族ぐるみで付き合いのあった母の親友のAさんが病気で亡くなったとき、そ
れから数日後、母は夜中に突然、隣で寝てるはずの父に叩き起こされた。父は怒ってるよ
うだった。
不振に思った母が
「お父さん?どうしたんです?」
と聞くと、父は不機嫌そうにこう答えたそうだ。
「Aさんがさっきから泣いている。うるさくて寝られん」
「ピエロ」
私は高校時代、美術部に所属していた。美術室には定番のギリシャ神話の人物の石膏像の
他に、ラメ色の服を着た40センチほどの可愛らしいピエロの人形があって、毎年誰かし
ら女子部員が、このピエロをモチーフにして絵を描いていた。
私が1年生のときは1年先輩の人が、2年生のときは同級生が、そして3年生のときは1
年後輩の子が、それぞれ同じピエロをモチーフに使っていた。
1年生の頃、同期の男子部員がうっかりこのピエロを落として、破損してしまったことが
ある。幸い修復可能だったので、責任とって男子部員がボンドで修復しているとき、「あ
れ?このピエロ、先輩そっくりですね」と、モチーフに使っていた先輩部員に言って、み
んなで「まあ、ほんと〜」「Y子先輩(モチーフに使ってた人)って可愛いもんね」って
ワイワイにぎやかになったのを記憶している。確かにそのときピエロはY子先輩にウリふ
たつだったのも記憶してる。
2年生になって、同期のY美さんがこのピエロをモチーフに使い始めた。夏休み、文化祭
に出す油絵を描きに美術室に行くと、Y美さんが先に来ていて、熱心にピエロを描いてい
た。
「どう?」
「うーん…ラメって色出すの難しいわね」
どれどれ…とピエロを見て、ギョッとなった。ピエロがY美さんそっくりの顔になってい
る。Y子先輩とY美さんは似ていない。顔の輪郭も目の形も。
「ピエロ、買い替えたんだっけ?」
「え?何言ってんの?ウチの部の予算ってそんなゆとりないわよ〜。Y子先輩のと同じよ」
そのときはただの思い込みで、そう見えるだけだろうと自分を納得させてしまった。
3年生になり、1年後輩のRちゃんがピエロをモチーフにし始めた。そんなある日、同期
の男子部員が「おい…このピエロってRに似てない?」と言い出し、みんなで見てみると、
確かにRちゃんに似ている。RちゃんはY子先輩にもY美さんにも、どっちにも似ていな
いのに…。さすがにY子先輩のときにピエロを修復した同期の部員も、気味悪がり始めて
しまったが、後輩達を怖がらせるのは可哀相だということで、「ピエロの顔」の事は後輩
達には絶対言わないという暗黙の了解ができた。
それからしばらくして、最後の文化祭の絵の仕上げで、夜7時近くまで、私と後輩3人が
美術室に残っていた日があった。そのとき、後輩が「KJ先輩、美術準備室から話し声が
聞こえるんです」と泣きそうな顔で私に訴えてきた。準備室は顧問の先生が明かりを消し、
鍵をしっかりかけて帰っていったのを、私もみんなも見ている。誰もいない。
(準備室…、あのピエロがしまってある…)
私は背中がゾクッとなったが、後輩の手前、勇気を振り絞って準備室のドアの前に立った。
まず、ドアノブを回してみる。鍵はしっかりかかっていた。次に、補聴器のボリュームを
最大にして、ドアに近づけてみると、
「ウフフ…ウフッ、フフフ…ヒヒ…ヒッヒヒヒッ。ギャハハハハハハ、ギャーハハハハハ」
中から、女性のヒステリックな笑い声が聞こえてきた。
私が後輩達に向き直ると、後輩の中には恐怖の余り泣き出す子もいて、私は「今日はもう、
このままにして帰ろう。後片付けしなかった責任はオレが持つ!」と帰宅を指示し、みんな
で逃げるように美術室を後にした。
私の卒業後、ピエロがどうなったかは、知らない。
なお、このお話の内容は、ノンフィクションです。
特に「ピエロ」の話は、下手すると稲川淳二の「生き人形」に匹敵
するほどの目にあったかも…と、今想い出してもゾッとします。(byKJ)
続くのか?
いかがでしたか?KJさんのメールアドレスは勤務先なので、感想はぺんぺんの足跡に
書き込んでくださいね。調子に乗って続きを書いてくれるかもしれませんよ(爆死)
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