インフリキシマブ(商品名レミケード)

  米国で開発された生物学的製剤で、遺伝子組換え技術により作成された2つ以上の蛋白質を結合させた融合蛋白です。これが可溶性TNF受容体製剤のエタネルセプトであり、遊離したTNF-αを中和することにより、他の炎症性サイトカイン産生を抑制して、関節リウマチの病態を抑制するものです。
  米国での臨床試験では抗リウマチ薬の効果が減弱した活動性のある関節リウマチ患者において有意にすぐれた抗リウマチ効果を示すことが明らかとなって、米国では1998(平成10)年11月に米国に承認されました。既に、世界40ヶ国以上で承認されています。日本では平成17年3月に承認されました。
  副作用としては米国の臨床試験では自己注射製剤(2回/週)であることから、皮下注射部位の紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹が起こりえますが、多くは3〜5日で治癒し、注射継続可能であったことから軽微な副作用であります。また、注射によるアナフィラキシーは認められませんでした。その他の副作用としては、感染症、悪性腫瘍がありますが、1988(昭和63)年発売後5ヶ月間で25,000例中30例に重篤な感染症(敗血症など)が発症したと報告されています。
  同じ生物学的製剤のインフリキシマブの副作用として結核発症が増加する懸念がありますが、エタネルセプトの臨床試験では結核発症の報告はありませんでしたが、市販後調査では6例のみ(0.00009%/患者・年)で非常にまれであるとされています。しかしながら、日本では結核の既往歴をもつ患者が多いことから、注意すべきと思います。
  また、副作用での悪性腫瘍の発生率は745例中7例という報告がありますが、頻度は一般の関節リウマチ患者の発生率と同じと考えられています。現在、国内ではエンブレルの投与が増加していますが、副作用情報に注意する必要があります。